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ミステリの祭典

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殺人七不思議
オーウェン・バーンズシリーズ

作家 ポール・アルテ
出版日2020年09月
平均点6.00点
書評数4人

No.4 6点 E-BANKER
(2024/07/05 13:42登録)
名探偵オーウェン・バーンズシリーズの二作目に当たる長編。先に四作目に当たる「あやかしの裏通り」を読んでしまっていたけど、あまり関係ないはず。
作者らしい不可能犯罪てんこ盛りのシリーズ。今回も「てんこ盛り」かどうか?気になるところ。
2006年の発表。

~「探偵のなかの探偵オーウェン・バーンズが、お力添えにまいりました」。密室で生きたまま焼かれた灯台守。衆人環視下で虚空から現れた矢で体を射抜かれた貴族・・・。「世界七不思議」になぞらえた予告殺人の捜査に乗り出したオーウェン・バーンズは、「犯人を知っている」との報せを受ける。ある令嬢を巡る恋敵であったふたりの青年が、互いに相手こそが犯人だと名指ししたのだ。令嬢は彼らにこう言ったという。「私を愛しているなら人を殺して見せて。美しい連続殺人を!」。不可能犯罪の巨匠が贈る荘厳なる殺人芸術!~

うーん。いったいこりゃなんだ?
というのが、読了後すぐの偽らざる感想。
「世界七不思議」になぞらえた七つの不可思議な殺人事件。突然に人体が燃えたり、目の前に水差しがあるにもかかわらず脱水症で死んだ男、ありえない位置から大弓で射抜かれた男、などなど、とにかく不可能趣味あふれる状況での殺人が続いていく。
これ自体は、いかにも「ポール・アルテ」らしい、ケレン味に富んだ作品といえる。

ただ、その解法がなあー。実に簡単に、実にアッサリと解決させられてしまう。
「もっと大上段に構えて、もっともったいぶって、大掛かりなトリックを見せろよ!」っていう読者の希望とは裏腹。割と地味に、割と現実的に、割と「まぁそうだよねぇー」という感じで片付けられていく・・・
そりゃ、ねぇー。仕方ないと言えば仕方ないのかもしれんが、ここまで期待のハードルを上げられた身にとっては、肩透かしというかしぼんだ風船、というような表現になってしまう。

あとはフーダニット。紹介文のとおり、序盤からほぼ特定されてしまう。ただ、そこには作者の欺瞞が隠れてはいるんだけど、テーマとしては「ミッシング・リンク」の関心もあるだろうに、そこは最初から捨ててかかっていることは残念ではある。
その代わりに作者が拘ったのが、ヒロイン役のアメリーとオーウェン・バーンズとのラブストーリー的要素ということなのかな。
(個人的にそこはそれほど響かなかったのだが・・・)

ということで、いい意味でも悪い意味でも作者らしさ全開の作品とは言えそう。
個人的に本作をひとことで表現するなら「龍頭蛇尾」。
でも、決して嫌いではないです。(ここまで辛口評価しておいて?)

No.3 6点 レッドキング
(2023/07/15 23:52登録)
世界七大不思議に見立てた、七つ(一見豪勢!)の密室・不可能殺人。で、トリック七つを平均評価
   「大灯台」見立ての発火トリックに3点
   「アルテミス」見立ての、「くたばれ健康法」「仮面劇場の惨劇」オマージュに7点
   「空中庭園」見立ての、鮮やかなる消失・入代りトリックに7点
   「ゼウス像」「ロードス島巨像」「マウソロス霊廟」見立てに各3点づつ
   「ピラミッド」見立ての足跡トリックに4点。で、平均で約4点(内実ちとショボイ)
そこに、真犯人キャラ一捻りトリック・・クリスティ十八番の・・付いてプラス1点。
葉を二枚・・一枚でなく・・隠すには、のユニークWhyにプラス1点。で、計6点。
※カー描く悪女は非英国人でも英国風なのに、アルテの悪女はなんかラテン風。

No.2 6点 YMY
(2021/08/10 23:22登録)
古代世界の七不思議をモチーフにした予告連続殺人事件を相手に名探偵オーウェン・バーンズと相棒のアキレスが奮闘する謎解きミステリ。
次々と起こる不可能犯罪、警察に送られてくる暗号付きの予告状と、J・D・カーの後継者と自任する作者らしい作品といえる。冒頭に語られる「愛」にまつわる一文が作品に通底するテーマになっており、その一文があるゆえ謎解きが終わった後に、読者に提示される情景は残酷なれど美しい。

No.1 6点 nukkam
(2020/09/30 22:16登録)
(ネタバレなしです) 1997年発表のオーウェン・バーンズシリーズ第2作の本格派推理小説で、何と世界七不思議になぞらえたような連続殺人に挑戦です。犯罪予告状が送られてくるし、しかも不可能犯罪だらけというこの作者らしいサービス旺盛な謎を詰め込んだ作品です。あえて不満を表明するなら、作中でも触れられていますが世界七不思議の中で現存が確認されているのはギザのピラミッドのみで残りの不思議のイメージがわきにくく、せっかくの見立てが読者に伝わりにくいところでしょうか。推理と自白を混ぜ合わせた結末は合理的なような幻想的なような不思議な読後感を残します。

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