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ミステリの祭典

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骨と髪
キャロラス・ディーン

作家 レオ・ブルース
出版日2005年08月
平均点6.25点
書評数4人

No.4 6点 いいちこ
(2023/01/04 15:37登録)
ムダのない叙述で、サスペンスとユーモアを両立させる作品世界を演出しており、ストーリー・テリングの腕は確かであるものの、真相が非常に見えやすくなっている点は、大きな難点。
トリックの独創性の高さや、真相解明プロセスの論理性で勝負する作品でもないだけに、本格ミステリとしてのスケールの小ささは否定しがたい。
好意的に捉えている作品ではあるが、6点の最下層というところ

No.3 7点 人並由真
(2018/11/23 19:41登録)
(ネタバレなし)
 マクロイの『月明かりの男』を思わせる<目撃者の証言ごとに食い違う、該当人物の姿>という謎。そのケレン味で読ませる一冊。一方で大きな事件がなかなか起きない分、やや緩慢な感触もあるが、愛すべき変人や妙にいい人とかが続々と登場してきて、読み手を飽きさせない小説作りのうまさは感じる。
 事件の解明のために自宅に押しかけてきたキャロラス・ディーンに戦死した息子の面影を見て、捜査に協力してくれるハムベル老夫妻。名探偵を脇から支える市井のゲストキャラとして、とても味わい深い描写である。

 人をくった事件の真相というか大ネタは、19世紀末の某名作短編作品にインスパイアされて、それを膨らませたという感じもするけれど、別のアイデアとの組み合わせでなかなか面白く見せている。
 キャロラス・ディーンものって、まだまだ未訳がいっぱいあるんだよね。どんどん紹介してほしい。

No.2 6点 nukkam
(2016/08/23 19:00登録)
(ネタバレなしです) レオ・ブルースのミステリーはビーフ巡査部長シリーズが大胆なプロットや奇抜な結末など技巧を凝らした本格派、キャロラス・ディーンシリーズはオーソドックスな本格派というのが私のイメージでしたが、1961年発表のキャロラス・ディーンシリーズ第9作である本書は結構技巧派ぶりを発揮しています。失踪人探しが中心の物語なのでサスペンスには乏しいですが、失踪したラスボーン夫人の容姿が背が高かったり低かったり、太ってたり痩せていたりと証言がバラバラという変わった謎を用意して退屈の一歩手前で何とか踏みとどまっています。

No.1 6点 蟷螂の斧
(2014/10/12 19:50登録)
裏表紙より~『「従妹のアンが行方不明になった。財産狙いで夫が殺して逃げたにちがいない」。依頼を受けたキャロラス・ディーンが調査を進めてるうち、次第に不可解な事実が明らかになってきた。かつて夫婦が住んでいた場所でもアンは失踪し、やはり夫が殺して逃げたという噂が流れていた。しかしその「アン」はキャロラスが探しているアンとは別人としか思えない。背格好も性格も違いすぎるのだ。しかし本当に別人なのか?軽妙で洒落たストーリーテリング、巧みで切れのある仕掛けで読者に挑む本格推理。』~                                ミステリーの王道を外したユニークな作品ですね。真相(伏線はしっかりしています)はおもわず笑ってしまいました。

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