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ミステリの祭典

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金時計
オーウェン・バーンズシリーズ

作家 ポール・アルテ
出版日2019年05月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 6点 レッドキング
(2024/02/06 17:16登録)
二十世紀初頭と終盤、ほぼ一世紀隔てた二つの「事件」。相互描写とくれば、興味は何より時を超えた連関に向くが、そこについては・・うーむ(-"-)。ミステリとしては、過去事件の雪足跡密室・・なんちゅうテクニカル・・に3点(満点)。現代(今では四半世紀前だが)事件の方の不可能トリックは、なんちゅうカー=アルテ(^^)。クリスティー風の人間関係トリックと時を超えた「狂気のヒロイン」造形見事で、点数加点。

No.2 7点 人並由真
(2020/02/27 04:28登録)
(ネタバレなし)
 本筋の1910年代パートと、現代の1990年代パート。
 一方は正統派パズラー、一方は(中略)の作りでぐいぐい読ませはするものの、結局はしょぼい接点でリンクするだけじゃないかと舐めていたが……。最後は「こう来たか!?」という快い驚きが待っていた。
 例によって人物メモを作りながら読んだが、その作業に意味があったのにもほくそ笑む。
 ホックの短編パズラーの感覚を思わせる不可能犯罪の真相にもニヤリ。モダンパズラーの作法なら、これで良いのだと思うぞ。
(※ちなみにAmazonのレビューは事前に読まないように。盛大にネタバレされています。評者はまったく知らずに楽しめて、ラッキーだった。)

 前作も面白かったけど、今回はそれ以上に満足度が高い。本シリーズの未訳5本がどんなレベルかは当然まだ分からないんだけど、少なくとも本作はたぶん上位の方だろうね? 少なくともこんな(中略)的な大技が、そうそう使えるわけはない(とはいえそんな予感が裏切られるのなら、それはそれでもちろん幸福)。
 あえて不満を言うなら、過去設定の日常描写に1910年代という時代色がいまひとつ感じられないことかな。この作品ならもう少しその演出が濃厚な方が、さらに終盤に向けての効果があがったように思える。
 
 何はともあれ、今後もシリーズの邦訳が順調に続くことを切に願います。

【一箇所だけ重箱の隅】
P87の6行目
ダリル(×)
ダレン(○)
……電子書籍版は、直ってるのであろうか?

No.1 5点 nukkam
(2019/06/10 23:05登録)
(ネタバレなしです) 2019年発表のオーウェン・バーンズシリーズ第7作の本格派推理小説ですが、行舟文化版の巻末解説によればフランス本国よりも日本での翻訳版の方が先に出版されたらしいのには驚きました。雪の上の死体の周辺に犯人の足跡が残っていない不可能犯罪が発生しますが、本書の最大の特徴は2つのエピソードを交差させながら物語が進むプロットでしょう。1つは1911年に発生した殺人事件の謎解きでオーウェンが活躍しています。もう1つは時代を1991年とし、1966年頃に見た映画のタイトルは何かという謎で始まるミステリーらしからぬエピソードですがだんだんと様相がおかしくなっていくのが印象的です。図解入りで丁寧に説明される足跡トリックは本格派好き読者を満足させるでしょうが、悪夢を見てるかのような(両方の時代の)結末の重苦しさは何と表現したらよいのやら。

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