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ミステリの祭典

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或るエジプト十字架の謎
南美希風/柄刀一版「国名シリーズ」

作家 柄刀一
出版日2019年05月
平均点6.75点
書評数4人

No.4 5点 パメル
(2025/02/12 19:26登録)
カメラマンで名探偵の南と法医学者のエリザベスのコンビが事件を解いていく。タイトルが示す通り、クイーンの国名シリーズへのオマージュを捧げる4編からなる連作短編集。
「或るローマ帽子の謎」多くの帽子が飾られたトランクルームで、頭部を激しく殴打された死体が発見される。現場への出入りが防犯カメラに録画されていた。ある先入観から真相を遠ざけるミスリードが光る。
「或るフランス白粉の謎」麻薬密売組織の幹部とみられる老女が扼殺された現場は、床一面に白粉が撒き散らされていた。意外な犯人と意外な犯行動機に驚かされた。
「或るオランダ靴の謎」大槻忠資は大病院の院長、妻の未華子は木靴のコレクションをしていた。大槻邸に多くの客や親族が泊まった翌日、忠資の撲殺死体が発見される。殺害現場の離れと母屋との間の靴跡が事態を複雑化させる。クイーン風の論理性を保ちつつ、現代的な解釈で再構成されている。
「或るエジプト十字架の謎」芸術大学の学生たちが訪れたキャンプ場で首のない死体がT字型の掲示板に括られた状態で発見される。トリックのための事件というようなご都合主義が感じられた。
全体的に回りくどい文章で読みづらく、状況が分かりにくいところが難点で、展開も淡々としている。ただし、いわゆる「後期クイーン問題」への目配せが随所に散りばめられ、その命題への回答として興味深く読めた。

No.3 6点 虫暮部
(2023/10/12 12:52登録)
 2話目の、八田と言う名前、現場の床の粉、静物画の腐った梨――『Yの悲劇』からの引用だよね。と気付いたせいで、物語よりオマージュ探しに気を取られてしまった(それ以上は見付けられなかったが……)。
 アイデアは面白いが書き方が今一つ。鑑識による現場検証の結果が即座にピシッと提示されて、パズル小説として割り切ってるな~との印象。それとも現実でもあんなリアルタイムでデータが揃う程に技術が進歩しているのだろうか?

No.2 8点 HORNET
(2020/01/14 18:19登録)
 クイーンの国名シリーズ4編「ローマ帽子」「フランス白粉」「オランダ靴」「エジプト十字架」になぞらえた本格ミステリ短編。
 当然、本家作品という「題材ありき」から作られた各話なのだが、といって取って付けたようなチープな仕組みではなく、短編のサイズで十分本格の味わいが楽しめた。
 「オランダ靴…」は読み手も美希風と同じ推理を辿ってしまうと思う。その推理を逆手に取る、というトリックはちょっと行きすぎな感じもしたが、「フランス白粉」の粉末を撒いた理由、「エジプト十字架」の頸を切断した理由についての論理は非常に面白かった。
 特にクイーンの各作品を読んでいなくても十分楽しめるし、またネタバレもないので安心してよい。

No.1 8点 青い車
(2019/06/29 18:56登録)
 南美希風が久々に登場した連作短編集。クイーン国名シリーズから取ったタイトルに読む前は名前負けも危惧しましたが、どの短編も水準以上です。特に『或るローマ帽子の謎』の、凝りに凝った論理展開と意外なところから犯人を引っ張り出す手際に快感を覚えました。ただ、相変わらず若干読みにくい文だけが気になります。

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