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ミステリの祭典

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鏡面堂の殺人~Theory of Relativity~
堂シリーズ

作家 周木律
出版日2018年12月
平均点6.25点
書評数4人

No.4 6点 nukkam
(2024/08/22 05:03登録)
(ネタバレなしです) 本格派推理小説のシリーズとして「眼球堂の殺人」(2013年)から快調なペースで発表されてきた堂シリーズですが、シリーズ第5作にして本格派の定型から逸脱した問題作の「教会堂の殺人」(2015年)を出版して3年後の2018年にようやくシリーズ第6作の本書が出版されました。このシリーズは連作長編的な趣向があって、初めて読んだシリーズ作品が本書だったり「眼球堂の殺人」の次に読んだのが本書だったりすると作品世界の変遷になじむのに苦労するでしょう。本書はこのシリーズに登場する異様な「堂」を建築した異能の建築家・沼四郎が初めて完成させた建物である鏡面堂で26年前の1975年に起きた殺人事件を当時に書かれた手記を読んで解決するプロットです。現場で手掛かりを確認しているので安楽椅子探偵ものではありませんが。密室や消えた凶器などトリックにこだわっているのもこのシリーズならでは。人間関係の謎解きは後出し説明感が強いし、一部の人物描写には不自然感がありますがとにかくも本格派推理小説のスタイルに戻ったのが個人的には嬉しいです。でも最終章で次回作の予告があり、犯人がネタバレされているような記述があるのは気になりましたが。

No.3 7点 ぷちレコード
(2023/11/17 22:36登録)
シリーズ6冊目。奇妙な建物で起きる奇怪な事件を数学と密に絡めて語ってきたシリーズだが、今回の建物の使い方はひときわ鮮やかだ。
今作のモチーフである相対性理論が美しい物理トリックや学者たちの業と見事に一体となっているのである。シリーズとしての束縛がきつい中で、マンネリに陥るどころか更に進歩している点に感服するしかない。

No.2 6点 虫暮部
(2019/05/01 12:50登録)
 森博嗣の某作と某作と某作を混ぜたようなトリックで、驚きつつもがっかり。一方で、館モノは展開がパターン化しがち、という点を差し引けば、シリーズ初期に比べると小説の書き方がなかなか上達したように思う。登場人物の行動原理が矢鱈と形而上的で共感しづらい点は、慣れると面白くなってきた。

No.1 6点 makomako
(2019/02/06 20:00登録)
 このシリーズを読み続けてくると、作風がかなり変化してくることがわかります。第1作の眼球堂では新鮮で大仕掛けのトリックが楽しめる本格推理小説でしたが、次第に幻想小説風となり登場人物もずい分変わってきてしまいました。
 本来シリーズものでなかったらしい眼球堂から派生した物語を作っていくとどうしても矛盾した内容になってしまうのだろうとは思いますが、変わり方がかなり激しくちょっと戸惑っています。
 実はこの物語を読み始めた時にひどい違和感がありました。それもそのはず、教会堂の殺人というこの前のお話をとばして読んでしまったのです。作品名だけが並んでいると話の順序がわかりにくく、間違えて後の作品を購入してしまう私のようなドジが間違えるので順番がわかるように番号でも降ってもらうとありがたいですね(そんな奴はめったにいないのから必要ないかも)。

以下ちょっとネタバレ
 ところで本作品のトリックはちょっといただけませんね。これって無理でしょう。こんなことだとこの建物事態が成り立たないし、きっと建物の中はでこぼこ、ぐしゃぐしゃなはずでしょう。

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