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ミステリの祭典

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外天楼
漫画

作家 石黒正数
出版日2011年10月
平均点7.75点
書評数4人

No.4 8点 メルカトル
(2022/10/04 23:01登録)
外天楼と呼ばれる建物にまつわるヘンな人々。エロ本を探す少年がいて、宇宙刑事がいて、ロボットがいて、殺人事件が起こって……? 謎を秘めた姉弟を追い、刑事・桜場冴子は自分勝手な捜査を開始する。“迷”推理が解き明かすのは、外天楼に隠された驚愕の真実……!? 奇妙にねじれて、愉快に切ない――石黒正数が描く不思議系ミステリ!!
Amazon内容紹介より。

私はほぼ漫画は読みません。更に絵心のない私ですが、シンプルなのにこの作者は本当に絵が上手いと思います。そして本格ミステリとSFの絶妙な結合、正に傑作の名に恥じぬ一巻読み切りの作品と言って良いでしょう。コミックですからね、笑わせるツボを押さえながらも、真面目に本格ミステリに取り組む姿勢は見事の一言です。特にダイイングメッセージの幾通りもの解釈には驚きを禁じ得ませんでした。

一話一話が独立した話でも、最後には全てを収束させます。そしてそのその通底に隠れた真実が悲劇を呼びます。話が進むごとにシリアスになっていき本領を発揮します。
何故もっと早く読まなかったのか、自分にがっかりです。しかし、これ程の名作がコミックで読めるとは、本当に私は幸せです。何度も読み返せる作品ですね。

No.3 8点 バード
(2020/08/19 07:19登録)
小説家でない石黒さんが本サイトに登録されているとは思っていなかった。しかし、登録されているのだから、彼の大ファンとして書評を書かないわけにはいかないな。

本作は一ミステリや一SFとしてはやや雑な部分もあるが、世界観や豊富なミステリ的ギミックを通して作者の良さを存分に感じることができる。まさに極上の石黒漫画、ファンならば必読の一冊だ。(本作の雰囲気は代表作の『それ町』よりも『石黒正数短編集』に近い。)


(以下細かい点に関するコメント。ネタバレあり。)

(1)小説で度々「アイスを食べている」と書いてあったら私のように迂闊な読者でも気になるが、本作はさらっとそういう描写を盛り込めている。重要な伏線を違和感無く忍ばせるのに、漫画という媒体は優秀ですね。

(2)ミルダ参謀(短編集の『デーモンナイツ』のキャラ)再登場にテンションが上がりました(笑)。

(3)「お前だアリオ」のシーン。
これはめくり(見開きの1コマ目)に置くべきコマだろう!
おそらく後の展開とページ数から、止む無くこのようなコマ割りになったのだろうが・・・。この衝撃シーンが読み進む前に、ちらちら見えてしまうのは勿体なさすぎるぜ。

No.2 8点 虫暮部
(2018/12/18 11:27登録)
 桜場刑事が館&ダイイング・メッセージに挑む捜査録は何度読んでも爆笑してしまう。ラストシーンはあまりに切ない。自在に行き来する振幅こそ漫画の利点。判り易さって大事だねっ。
 ところで“外天楼”って何だろう。造語? だったらなかなかセンスのあるゾクじゃないか。前例が無い文字列なのでネット検索すれば結果を本書が独占。かといって珍しい漢字を用いて目を引くでもなく、大きな辞書なら載っていそうな佇まい。とてもいいタイトルだと私は思う。

No.1 7点 tider-tiger
(2018/11/13 21:06登録)
漫画です。ジャンルに関してはかなり迷った末に入力を間違えてしまいました。
どなたか適格なものがあれば編集をよろしくお願いいたします。
後付け後付けの建て増しを繰り返すうちにやがては迷路のような作りになってしまった奇妙な集合住宅「外天楼」ここに暮らす人びと、周囲の人びとらを描いた連作短編集なのですが、外天楼で暮らす一家にはとある秘密があって、その秘密に向かって物語は一つに収斂してゆきます。
第一話はエロ本にまつわる最高に下らない話なのですが、まさか最終話でこんな展開になるなんて……。

『それでも町は廻っている』などの名作もあり作者本人は有名でしょうが、本作は連載していた雑誌が店頭に並んでいるのを見たことがない『メフィスト(メフィスト賞の母体)』だし、内容もけっこうマニアックだしだからマイナーな漫画なんだろうと勝手に思いこんでおりました。が、ネットでの評価は意外に高く、傑作だと評する方もけっこういらっしゃいました。
とりあえず、この作者はミステリやSFをかなり読んでいそう。マニアが自分が好きなものを咀嚼して好き勝手に吐き出したような作品です。
前半はパロディをふんだんに盛り込んだユーモアミステリ、後半はSFがかったサスペンスといった風に物語が展開していきます。いろいろな要素が盛り込まれ、ギャグも効いており、一つ一つの話も完成度が高いと思います。読んでいて、人間とそうではないものの区別がつかなくなってくるのも面白いし、未来の世界であるようで妙にノスタルジーを感じさせる世界でもあって、こうしたキャラ設定、舞台設定も個人的には大好きでした。
ただ、短編集としてみればかなり楽しめたのですが、一つの大きな話としてみると、終盤が急展開に過ぎる点、シリアスな題材を扱ってはいてもテーマの掘り下げが浅く、SFとしてもミステリとしても中途半端で、いろいろ詰め込みすぎてしまっているように思いました。
作品の主な舞台である「外天楼」は後付け後付けを繰り返すうちに迷路のようになってしまった集合住宅ですが、本作そのものにも同じような印象があります。
心情としては8点をつけたいが、まあ7点かな。

第一話 リサイクル
第二話 宇宙刑事VSディテクト
第三話 罪悪
第四話 面倒な館
第五話 フェアリー殺人事件
第六話 容疑者Mの転身
第七話 鰐沼家の一族
第八話 キリエ
最終話 アリオ

以下 独り言

「でもなあ、ああいう風に書いているってことは後付けではなくて、最初から終わりを見通して書いていたようにも思えるんだよなあ。どっちなんだろ?」

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