home

ミステリの祭典

login
闘う君の唄を

作家 中山七里
出版日2015年10月
平均点6.67点
書評数3人

No.3 5点 あびびび
(2019/09/02 13:44登録)
新興住宅ができ、新たに舞い込んできた幼稚園園児とその父兄。モンスターペアレンツが誕生するに絶好の土壌である。そこに新米の若き女性が先生として登場。この組み合わせで、だいたいの筋書きが想定できる。しかもその幼稚園では十数年前、幼児誘拐、殺人事件が3件起きている。犯人は捕まり、獄中死となっているのだが…。

結末も予想でき、ほとんど意外性はなかったのだが、作者の筆力で楽しませてくれています。

No.2 7点 蟷螂の斧
(2018/07/07 13:39登録)
新米の幼稚園保育士・凛が保護者会との軋轢を乗り越え、その成長過程を描いた物語と思いきや、後半、突然それが反転するのです。「その女・・・」あたりからの流行りとなった?(笑)。著者の作品群では少し毛色の変わった作品でした。ラストはほろりとさせてくれました。

No.1 8点 HORNET
(2018/06/10 12:04登録)
 喜多嶋凜は、新任幼稚園教諭として埼玉県の神室幼稚園に赴任した。
 子どもを愛し、理想とする教育の実践に意気込む凜だが、その壁として立ちはだかったのは保護者会の存在だった。エゴイスティックな我が子愛から、教育の理念とはかけ離れた要求を園にしてくる保護者たち。強い反発を感じる凜だが、何故か園長の京塚はそれらの要求を全て受け入れる。たまりかねた凜が園長を問いただすと、神室幼稚園では15年前、送迎バスの運転手が3人の園児を殺すという大事件があり、それ以来保護者会には頭が上がらない状況が続いているとのことだった―

 物語の後半には、15年前の事件の真相解明という、ミステリ要素も入っては来るが、基本的に物語の幹は、新任幼稚園教諭の対保護者奮闘記。「全員主役の劇」「競争のない運動会」など、世の中でも話題になった歪な教育観とまっこうから闘い、子どもたちと心を通じ合わせていく話は胸がすき、心温まる。
 物語後半には読者も驚く背景が明らかにされ、ストーリーは急展開する。そこで描かれる人間模様も読みごたえがあり、ホントにこの人は何でも書けるなぁと感動する。
 出版レーベルがメジャーじゃないのでシチリストもあまり知らないかもしれないが、読んだらまず満足できると思う。

3レコード表示中です 書評