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ミステリの祭典

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ドロシイ殺し
〈メルヘン殺し〉シリーズ

作家 小林泰三
出版日2018年04月
平均点5.75点
書評数4人

No.4 6点 ミステリ初心者
(2021/10/11 19:20登録)
ネタバレをしています。また、シリーズのネタバレもしてしまっているかもしれません。

 シリーズ3作目です。ちょっとかわいくてどこか狂ったメルヘンな世界と、それと連動したような現実世界での出来事が交差するのが恒例になっています。とても読みやすく、毎回読了まですぐです。メルヘンの世界での登場人物の一部と、物語の主観の一人のビルが、ちょっとアホな会話をしているところが合わない人もいるかもしれません。ただ、個人的には、今回のビルはアホなようで賢いような、哲学的な問答があって面白かったです。

 推理小説部分もなかなか満足しました。
 犯人当ての核となる部分は勘違いから生まれたもので、それほど濃厚ではありませんが、ヒントを残してくれているのがありがたいです。また、これまでのシリーズを逆手に取ったような叙述トリックも用いられており、シリーズファンも驚かされてる工夫があり、マンネリ感は感じませんでした。
 私は、ドロシイとおばあさんの会話を露骨に疑っており、メルヘンが舞台での会話ならどうなるか?を考えていました。会話を成立させるために、おばあさん側が狂っていることも考えましたが、それがイマイチ犯人当てにつながってこなくて、本全体を解くことはできませんでした。

 大変読みやすく、推理小説部分も損なわれていないシリーズで重宝しておりますが、作者が亡くなられてしまったようで、次のティンカー・ベル殺しが最後になってしまいます。ショックです…。

No.3 5点 八二一
(2020/09/03 18:30登録)
御伽の国の常軌を逸したキャラたちが会することで生まれる歪んだ世界。

No.2 5点 HORNET
(2018/08/19 10:35登録)
 このシリーズも3作目。別世界の住民と、アーヴァタールという関係で同一人物(?)としてつながっている、という設定にも慣れてきて、読み易くなったが、同時にトリックも見えやすくなってきた。
 今回のトリックも、当然この世界設定を生かした一種の叙述トリックだが、予想の範疇で「あぁ、やっぱり」という感じだった。

 登場人物のおバカなキャラクターと、その呑気なやりとり中に淡々と描かれる残酷な描写、というミスマッチな感じが読んでいて楽しいが、ミステリとしては1作目以上の驚きをもたらすのは難しいのではないかと思う。

No.1 7点 虫暮部
(2018/06/04 10:48登録)
 ドロシイと言ってもセイヤーズではない。虹の彼方の惨事。犯人の隠し方が面白い。
 ところで女王陛下、わたしたちは何語で会話しているのでしょうか?
 ――何でも構わない気がします。
 しかし言葉を用いたトリックであれば言語の選択は重要ではないでしょうか?例えば英語で“身内”は……。
 ――揚げ足を取るものではありません。さあ、この泉の水をお飲みなさい。炭酸水なので、非常に美味なのです。

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