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ミステリの祭典

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天井の足跡
グレート・マーリニ

作家 クレイトン・ロースン
出版日1995年08月
平均点5.00点
書評数3人

No.3 4点 nukkam
(2022/02/06 00:16登録)
(ネタバレなしです) 1939年発表のマーリニシリーズ第2作の本格派推理小説です。空さんや虫暮部さんのご講評でもごちゃごちゃしていると評価されていますが、詰込み過ぎの上に整理ができていないのでとにかく読みにくく謎解き説明も難解です。いつの間にか起こった第2の殺人の巧妙なトリックなど優れたところもあるのですけど(アーロン・エルキンズの某作品でも採用されてましたね)。シリーズ前作の「帽子から飛び出した死」(1938年)の容疑者を再登場させたのも犯人当てに挑戦する読者に余計な偏見を抱かせかねず、感心できません。タイトルに使われている天井の足跡という魅力的な謎も印象に残らない真相でした。第18章で他作家の名探偵たちを(間接的ながら)登場させているお遊びにはにやりとしましたが。あと国書刊行会版の巻末解説のマーリニシリーズ作品紹介はとても充実していて、4作書かれた長編の代表作を本書と「首のない女」(1940年)と評価してますけど個人的には他2作の方が好みです。

No.2 6点 虫暮部
(2019/12/30 10:41登録)
 記述者が地の文に挿むユーモアが良い。ストーリーはちょっとごちゃごちゃしている。これは書き方次第でもっと読み易くならないかなぁ。
 “天井の足跡”は事件に於いてさほど大きなウェイトを占める謎ではない。それがタイトルでなければ、あのトリックでもそこまでがっかりしなかったかも。私は、先入観で作品の総合的な傾向を見誤ったまま読み進んでしまった感がある。

No.1 5点
(2008/12/09 22:25登録)
今までに読んだロースンの3作品はいずれもその傾向があるのですが、これには特にごちゃごちゃした感じを受けました。
この人の作品はメインになるアイディアを中心に物語を構成するというのではなく、様々な謎にそれぞれ解決をつけていくという多元的な構造になっているという気がします。タイトルの天井の足跡の謎も、このストーリーの中に本当にこの現象が必要だったか、疑問です。そのため、謎解きの説得力はあるのですが、どうもカタルシスを感じさせる収束感に欠けるように思われるのです。

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