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ミステリの祭典

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虚像のアラベスク
芸術探偵シリーズ

作家 深水黎一郎
出版日2018年03月
平均点6.75点
書評数4人

No.4 7点 まさむね
(2022/08/11 21:39登録)
 中編2本で構成。
 1作目「ドンキホーテ・アラベスク」。冒頭からバレエの専門用語の解説が山盛りで、結構辛いのですが、諦めずに読み切るのが吉。お話としては、まぁ普通。
 2作目「グラン・パ・ド・ドゥ」。語り口から一定の想定はしていたのですが、その遥か上から一気に叩きつけられた感じ。この類の読書は久しぶりだぁ。何やら清々しいぞ。エピローグ「史上最低のホワイダニット」も含めて、私は好きです。

No.3 6点 パメル
(2021/11/05 09:36登録)
神泉寺瞬一郎と彼の父・海埜警部補が探偵役を務める中篇二本で構成されている。
「ドンキホーテ・アラベスク」バレエ団の創立十五周年記念公演に脅迫状が届く。来日する国際団体の委員長がそれを観劇することになり、警備担当を命じられた海埜警部補が神泉寺にバレエのレクチャーを受ける。だが、そこには意外な結末が待っていた。
「グラン・パ・ド・ドゥ」地方公演を控えたある団体で殺人事件が発生。社長が巨大な箪笥の下敷きになって圧死するという異様な事件。一本目で解説されたバレエの専門知識が、そのまま二本目の伏線になっているのには唸らされた。終盤、突然明らかになる事実が世界を一変させるその衝撃度は高い。(食事の場面で少し違和感があったが気付かなかった)ただ、バカミスのような真相には好き嫌いが分かれるかもしれない。
作者はこれまで、絵画、建築、音楽などの芸術作品をストーリーの根幹に据え、本格ミステリを書き続けてきた。本書も溢れんばかりのバレエの歴史などの蘊蓄が詳しく解説されているが、それがラストの驚きと感動を演出するのに不可欠な要素になっている。伏線の張り方も高度なテクニックが用いられており、マニア向けの重厚な作品ではなく、誰が読んでも面白い洒落た小説に仕上がっている。

No.2 7点 はっすー
(2018/10/03 04:35登録)
まさにバカミス…一作目はあまり面白くないのでガッカリしていたらまさかの二作目…二作目のネタバレはひと単語でできるのですがAmazonのレビューにその単語が書いてあるレビューがあるためAmazonレビューは見ずに読む事をおすすめします

No.1 7点 名探偵ジャパン
(2018/09/30 20:00登録)
公演を控えた名門バレエ団に「公演を中止しなければどんでもないことが起こる」という意味の脅迫状が届けられる。欧州から来る要人もその公演を鑑賞する予定であることから、警視庁の海埜警部補が警備の担当に当たることになって……

二編の中編で構成された一冊です。二編にストーリーのうえで繋がりはないのですが、必ず一本目の「ドンキホーテ・アラベスク」から先に読んで下さい(ちなみにラストに「史上最低のホワイダニット」というタイトルで別項が設けられていますが、これは二本目の「グラン・パ・ド・ドゥ」の続きですので、決して先に読んでしまわれないようご注意下さい)。
一本目の冒頭から、バレエに関する専門用語とその解説が執拗に書かれます。正直退屈なため読み飛ばしたくなるのですが、面倒くさがらずに、これらの用語(とそれらが意味するバレエ特有の動作)をしっかり憶えておくと、二本目がより楽しめます。その意味からも、絶対に一本目から順に読むことを強くお勧めします。

深水黎一郎の代表シリーズ「芸術探偵シリーズ」で、しかも発行から半年以上も経っているというのに、まだ書評がなかったのですね。ぜひこの感動を多くの人たちで分かち合いましょう。

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