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ミステリの祭典

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作家 F・W・クロフツ
出版日1950年01月
平均点7.36点
書評数25人

No.5 8点 kanamori
(2010/07/15 18:40登録)
初めて読んだリアリズム重視の捜査小説なので思い入れが強く、再読もしていないので客観的な評価は難しい。
少なくとも冗長感は全く感じなかったし、フランス、英国の捜査が二転三転する展開に惹きこまれた覚えがあります。基本的に、「曲がった蝶番」とか「僧正」のように、二人の重要容疑者のどちらが真実かというプロットがツボのような気がする。

No.4 8点
(2009/11/23 12:53登録)
クロフツ、特に本作というと元祖アリバイ崩しのイメージが強いと思います。
しかし、本作を久しぶりに読み返してみると、アリバイ崩しは構成要素の一部に過ぎないことに気づかされました。実際のところ、創元推理文庫版で約470ページの本作、犯人のアリバイ再検討が始まるのは残り120ページ程度になってからです。また犯人が樽をあちこち移動させる目的は、アリバイ作りではないのです。
もし偽アリバイを中心とした犯人の計画に集中してそれ以外の要素を排除しようと思えば、冒頭船着場で樽の異常が発見された時、すぐに警察が到着して樽を開け、そこへ樽を引き取りに来たフェリックス氏がその場で被害者の身元を確認するという展開にすればよいのです。そうすれば、樽の行方捜索や被害者の身元調査などアリバイとは関係ない「余計なこと」を書かずに済み、話は大幅に短縮できます。しかし、本当にそれらは「余計なこと」なのかというところが問題なのです。
クロフツが書きたかったのは、一歩一歩進められていく緻密な捜査の過程でしょう(テンポの速い作品が好みの人には退屈かもしれませんが)。そのあたりが、トリック中心主義で事件解明プロセスには重点を置いていないように思える西村・森村等のアリバイ崩し作品と異なるところです。

No.3 9点 測量ボ-イ
(2009/05/27 20:11登録)
地味なるも、僕好みの作品。
無駄な部分が多い、犯人が致命的ミスをしている、等 批判
(アラ探し?)はよく耳にしますが、僕個人の評価ではやは
りクロフツの作品の中で一番好きです。

No.2 5点 nukkam
(2009/02/10 17:45登録)
(ネタバレなしです) 英国のF・W・クロフツ(1879-1957)ほど色々な肩書き付きで紹介される作家は少ないでしょう。「アリバイ・トリックの巨匠」、「トラベル・ミステリーの開拓者」、「リアリズム重視」、「日本の社会派に影響を与えた作家」そして「退屈派」(笑)。アガサ・クリスティーと同年に作家デビューし、本格派推理小説の書き手として認識されながらクリスティーとは作風が全く異なります。多くの作品では探偵役の行動だけでなく考えや推理も最初から読者にオープンにしているため、読者が自分で犯人を当てる楽しみが少ない上に往々にして犯人の正体が早々と予測がついてしまうところがあります(但し探偵が間違えたため意外な結果を生み出す作品もあります)。また細部まで丁寧に描写していく文章は必要なものも不要なものも何でも書いてしまうという要領の悪さの裏返しで、そのため展開が遅くて地味という印象を免れません。1920年発表の本書はクリスティーの「スタイルズの怪事件」(1920年)と共に本格派黄金時代の幕開けを飾るデビュー作という歴史的意義は認めますがクロフツ全作品の中では水準作であり代表作とは思えません。クリスティーとは全く作風が違い、クロフツは丁寧な描写とリアリズムを感じさせる重厚な捜査が特徴で、(後は好みの問題になるのですが)クリスティーのテンポいい語り口と犯人当てゲーム感覚的な楽しさの前には人気面で不利だったのは否めません。

No.1 5点 ElderMizuho
(2008/01/27 01:19登録)
個人的には正直微妙
まずトリックがイマイチ・・平凡
引き込みが強い割には設定があまり生かされていないので面白みにかける。
これなら西村京太郎の列車トリックの方がいいんじゃないでしょうか

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