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ミステリの祭典

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砕け散るところを見せてあげる

作家 竹宮ゆゆこ
出版日2016年06月
平均点5.75点
書評数4人

No.4 5点 名探偵ジャパン
(2017/04/25 19:27登録)
日常の謎、暗号、とともに私が苦手としている、ラノベ調一人称に抵抗を感じつつも、タイトルに引かれて読み始めました(新潮NEXだから正真正銘ラノベなんだけど)。
青春ミステリ? ミステリ? うーん。独特な台詞や言い回しに終始翻弄され続け、気が付いたら読み終わっていた。という感じでした。ミステリかどうかはともかく、まぎれもない青春小説です。主人公と同世代の人なら、一層共感できるのではないでしょうか。(叙述的に「同世代」がどの年代を指すのかは、まあ、幅広く)
恋愛ものの一人称って、読んでいて恐ろしく気恥ずかしいな、というのが読後最大の感想です(笑)。
この作品最高の魅力は、私が読むきっかけにもなったタイトルでしょう。これを越えるタイトルは、そうは出て来ないのではないでしょうか。

No.3 6点 人並由真
(2017/02/14 10:32登録)
(ネタバレなし)
「俺」こと高三の受験生・濱田清澄は、ある日、級友たちから集団いじめに遭う一年生の後輩・蔵元玻璃を助ける。しかし当の玻璃から返ってきたのは「あああああああああああああああ」という絶叫と、彼女を救った清澄への理不尽なあらがいだった。重度のコミュニケーション障害かと思われた玻璃だが、だがそんな彼女は改めての再会の場で、たどたどしい言葉ながら清澄に感謝の念を伝えようとした。これを機に、以前から胸中にヒーロー願望を秘めていた清澄はその後もこまめに玻璃の面倒を見るようになり「ヒマセン(暇な先輩)」のあだ名まで被るが、その玻璃の視界には、彼女の日常をおびやかす「UFO」が存在していた。

 半年前から手に取り、気にしながらもずっと放っておいた一冊。作者があの『とらドラ!』『ゴールデンタイム』の竹宮ゆゆこであり、裏表紙に「小説の新たな煌めきを示す、記念碑的傑作。」などとあるので、どっか身構えてしまっていた。
 それでようやく一念発起(笑)して読んでみると、それほどに破格な内容ではない。苦みと優しさにあふれた青春小説がミステリの領域に接近する流れもそんなに際立ったものではなかった。全体の評価としては色んな情感を刺激される、広義の青春ミステリの佳作くらいか(ただし少なくない数の人にとって、これはかなり心に残る一冊になるとは思う)。
 
 小説の仕掛けは、もしそれが無ければ、ずっとシンプルな作品になってしまうところを底上げしていると同時に、本書の主題となるヒューマニズムテーマにも直結。

 とはいえ実は、この作品の構造は、数年前の別の国産ミステリでほぼまんま同じものを読んでいる。これは後追いの形になった竹宮先生が真似したとかインスパイアされたとかではなく、たまたま同じ着地点を踏んだという感じなんだろうけどね。 

No.2 5点 メルカトル
(2017/01/20 21:56登録)
ラノベです、はい。定番の学園ものですね。よくあるボーイミーツガールな感じの青春小説ですかね。
作者の優しさからなのか、読者層を考慮してなのか、最も生々しいシーンや痛々しいシーンは割愛されています。それが私には少々物足りなかったりもしますが、やはりラノベなのであまり過激な描写は避けたいところでしょう。
もしミステリに置き換えるなら、さしずめイヤミスですかね。しかし、あくまで主人公の少年少女にスポットを当てているので、作者もあまりミステリに重きを置くような意識はなかったものと思われます。
ストーリーは至って単純ですが、それよりも二人のぎこちない愛情表現が初々しく、キャラも立っているので、ラノベ読者は大満足なのではないでしょうか。もう少し捻りがあっても良かった気もしますが、まあ面白かったですよ。いきなりUFOがどうこうってのは驚きましたが、特にオチはありませんので期待しないでください。

No.1 7点 パンやん
(2017/01/03 11:04登録)
ラノベといえど、これは鮮烈な読書体験であった。どういう展開になるのかどんどん進んでしまい、意外なラストに唸る。叙述トリックであったとは。それがちと解りにくくとも、時間のうねりを感じるような面白さがある。小生は見事に砕け散ったのであった。

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