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ミステリの祭典

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悪魔を憐れむ
匠千暁シリーズ

作家 西澤保彦
出版日2016年11月
平均点7.00点
書評数3人

No.3 7点 パメル
(2019/01/28 13:03登録)
4編を収録した短編集で、タック&タカチシリーズの10作目。
このシリーズの過去の作品を読んでいなくても楽しめると思いますが、時々過去の作品に触れる場面があるので、順序良く読んでいた方がより楽しめるかと思います。ちなみに自分は、このシリーズは「彼女が死んだ夜」「麦酒家の冒険」の2作品しか読んでいません。
「無間の呪縛」と表題作の「悪魔を憐れむ」は謎自体にインパクトがあり、謎解きの醍醐味が味わえる。「意匠の切断」はホワイダニットとして、「死は天秤にかけられて」は常識では考えられないアリバイ工作が楽しめる。
4作品に通じることは、人間の心理を深く掘り下げ、それを手掛かりに謎を解くという点で説得力があり好印象。
探偵役の面々のキャラクターも、明るく爽やかで推理をしながら、時々脱線してのやり取りは面白く魅力的。

No.2 7点 HORNET
(2018/08/19 09:57登録)
 匠千暁シリーズの中・短編集。本格志向の作家さんらしい、趣を凝らした作品ぞろいでよかった。
 私としては4作品のうちの後半2作品が気に入った。
「意匠の切断」は、3人が殺された殺人事件で、そのうちの2人だけが頭部と両手首を切断され、別々のところに遺棄されていた謎から真犯人を追う。遺棄されたそれぞれの場所と、第一発見者の共通点を糸口にしてその意味を解明し、真相へと辿りつく過程は読み応えがあった。
「死は天秤にかけられて」。ボアン先輩と飲んでいた時、店の公衆電話で話している男の言葉が聞こえてきた。男の話す内容も気になるものだったが、さらにその男は千暁が先日あるホテルでも見かけ、印象に残っていた男であることを思い出す。その時の様子と、今聞こえてきた男の言葉から、状況を推理しだす2人―と、「9マイルは遠すぎる」的なスタイルの話。これは、ありがちな人間の心理を非常に上手く取り上げて仕掛けがされていて、作者の着眼点の面白さに楽しませてもらった。

No.1 7点 はっすー
(2018/05/13 00:05登録)
発売日に買って読んだものの面白かったという記憶以外全く覚えてなかったので再読
ベストは過去の事件をめぐり歪んだ人間心理のロジックが炸裂する『無間呪縛』かな
しかしちょっと長過ぎる…
特にタカチからの手紙の事件は一つの短編にできるものだと思うので中途半端に入れないで他作品として書いた方がスリムにまとまって良かったのでは?などと短編としては詰め込み過ぎな印象を受けた
そういった不満はあるものの全体的に完成度が高くシリーズ特有の人間心理を利用したトリック・ロジックが堪能できる良短編集なのでシリーズファンは是非

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