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ミステリの祭典

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飢えて狼

作家 志水辰夫
出版日1981年08月
平均点7.17点
書評数6人

No.6 7点 ROM大臣
(2021/06/14 15:14登録)
日本でもその名を知られた元登山家が国際謀略の渦に巻き込まれ、北方領土の択捉島に潜入することになる。
ヒーロー造形を始め、濃密な自然描写、リアルな活劇演出、陰影に富む恋愛演出など、デビュー作とは思えぬ完成度。
権力に立ち向かうストイックなヒーローの再生譚に、複雑怪奇なエスピオナージの妙を絡めた独自の活劇世界は今もって古びていない。

No.5 4点 misty2
(2011/06/05 00:09登録)
拝読。
夏の三浦半島出張に備え購入。
しかし、小生には合わず。

No.4 8点 kanamori
(2010/07/30 20:35登録)
80年代・”冒険小説の時代”を牽引したシミタツのデビュー作。
択捉島潜入・ソ連兵からの逃避行とサバイバルなど緊迫したシーンの連続も読ませるが、流れるような文体とともに不屈ながら理知的ユーモアのある主人公がなかなか魅力的だ。
女性とのしゃれた会話など、ひねくれ気味の作者本来の持ち味は抑え気味だと思いますが、デビュー作らしい熱気に満ちた冒険小説の傑作だと思います。

No.3 6点
(2009/09/09 12:11登録)
冒険小説三部作の最初の作品で、デビュー作でもある。残りの2作は、「裂けて海峡」、「背いて故郷」。
ひさしぶりの一人称小説に冒頭から心がときめいた。文章はたしかに巧い。情景描写がとくに良い。体言止めを多用(濫用)することが、著者の文体の特徴なのだろうか。とにかくテクニックは抜群である。文章の歯切れ、テンポともに良く、一般のハードボイルド文体とちがって断然読みやすく感じた。文章が良いので、場面が流れるように映像として浮かんでくる。物語自体もスピード感のある部分と、じっくり読ませる部分との両方が適度に交じり合っていて、ぐいぐいと惹き込まれる。第二部の中ほどでの、択捉島の案内人・蛭間との別れのシーンでは、巧い文章表現があいまって、ジーンときた。この場面が本書の前半のクライマックスではないだろうか。しかし、蛭間と別れてからの主人公の単独サバイバル場面では、この種の冒険小説に不慣れなせいもあって、集中が途切れ、すこし停滞してしまった。本来なら、この場面こそが圧巻シーンなのかもしれないのだが。また、解決編である第三部は、序盤で真相を直感的に予想してしまったので、結末にはそれほど驚きはなく、活劇を文章で楽しむ程度だった。
初めての国内冒険小説に面食らった感もあるが、点数(6点)はともかくとして、既読の2作品「花ならアザミ」、「行きずりの街」にくらべ、これからも読んでいこうという気にさせてくれる作品であった。

No.2 8点 itokin
(2009/07/23 13:29登録)
デビュー作とは思えない作品。スケールが大きく、物語の展開、描写、スピードもあって最後まであきささない。終わり方も余韻があってこれで良し。主人公のキャラクターが好き。

No.1 10点 Tetchy
(2007/12/29 18:50登録)
デビュー作にしてこのクオリティ!!
特に択捉島への潜行場面は本当に手に汗握ってしまった。
あと、殺された相棒の父親と駅で別れるシーンが印象に残っている。

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