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ミステリの祭典

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死仮面

作家 折原一
出版日2016年04月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 6点 パメル
(2022/10/18 07:47登録)
現実と作中作が同時並行で進む複雑な構成の物語。秋月雅代は、急死した内縁の夫の境遇が、秘密に包まれていたと知る。夫が何者かを調べ始めた雅代は、遺品の小説を読み始める。小説には、同級生が少年連続失踪事件の犯人らしき仮面の男に、拉致されたと考えた中学三年の僕が、男の暮らす洋館に乗り込んでいく物語が書かれていた。
ストーカーになった前夫に追われながら、亡き夫の過去を追う雅代のパートと、洋館に不気味なコレクションを並べた仮面の男と対決するゴシック小説を思わせる僕のパートは、いずれもサスペンスに満ちている。やがて小説の舞台を訪ねた雅代は洋館を発見。さらに僕の父が書いた小説に雅代が登場し、どちらが作中作か分からなくなる。
二つのパートがどのようにリンクするかが最後まで見えてこないだけに、迷宮の中を彷徨っているかのような不安と恐怖を味わることができる。
合理的な謎解きと物語を錯綜させる相反する要素を使い、自分は友人や家族のことを理解できているのか、自分が悪に魅了されることはないのか、などを問いかける本書は、価値観を揺さぶる意味でも優れている。

No.2 5点 E-BANKER
(2019/12/04 21:57登録)
作者の趣味嗜好が色濃く出た長編(だと思う)。
文藝春秋社で折原というと、長らく続いている「・・・者」シリーズなのだが、新しい展開なのだろうか?
2016年の発表。

~突然、死んだ夫は名前も職業もすべてが嘘だった。真実を求めて、妻の雅代は彼の遺した小説を読み進める。そこには奇妙な連続少年失踪事件が描かれていた。ストーカー化した前夫の影に怯えながらも、雅代は一軒の洋館に辿り着く。何が現実で、何が虚構か? 折原ワールド全開の長編小説~

うーん。やっぱりネタ切れなのかな、という思いを強くした作品だった。
今まで散々目にした折原作品の焼き直しと評すればいいのか、何とか面白くなるエッセンスだけは込めましたというのは分かるのだが、如何せん2019年時点では古臭さが目に付いてしまう。
(これも折原を読み過ぎのせいかもしれないが・・・)

プロットとしては紹介文のとおりで、「現実」と「虚構」を交互に描きながらも、徐々に両者の境目をボヤかしていき、やがてはどっちがどっちか分からなくさせる手法・・・とでも言えばいいのか。
まぁ、今までも作者が手を変え品を変え取り組んできた趣向ではある。
慣れていない読者だと、作品世界に酔うということもあるのかもしれない。(私は酔いませんでしたが・・・)
一応、ミステリーという体裁をとっている以上、ラストには現実的な解決を付けようとしているのだが、これがまた大変に微妙。
それほど多くない主要登場人物の配役というか、立ち位置が次から次へと変わるため、どうにも混乱してしまうのだ。
混乱させることが狙いなら、作者の企みは成功しているのかもしれないけど、そういう狙いではないだろう。

今回は雰囲気自体安っぽいホラームービーのようだった。
巻末解説では横溝正史の同名作品や「ドグラ・マグラ」などの影響という点に触れてるけど、それもネタギレゆえの苦肉の策かなと思えてしまう。
・・・どうにも辛口の評価しか出てこないなぁー。たまにはガラリと作風を変えた作品を読んでみたいという気もするけど、これはこれで折原の長所というところもあるから難しいねえ。

No.1 5点 蟷螂の斧
(2016/07/27 10:29登録)
裏表紙より~『「君と一緒にいて幸せだったよ」と言い遺して急死した十津根麻里夫。彼が勤めてた高校に「妻」の雅代が連絡すると、「そのような名前の教師はおりません」と言われる。「夫」は名前も身元も偽っていたのだ。正体は何者なのか?それを解く手がかりは、大学ノートに残された小説のみ。失踪した中学生の少年を救うために、同級生四人組が、マリオネットの仮面の男に立ち向かう物語だった――。』~


構成面では「匣の中の失楽」(竹本健治氏)、夢か現実か?的な部分では「ドグラ・マグラ」(夢野久作氏)を意識したのかも?。内容は全く違いますが、「ぶーん、ぶーん、ちゃかぽこ、ちゃかぽこ」などの表現も出てきましたし・・・(苦笑)。読書Mでは、結末がスッキリしない、モヤモヤ感が残るとの評が多いですね。しかし、ある登場人物の後日談が語られない点を考えれば、この物語の全体像が浮かび上がってくると思います。

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