模倣の殺意
元題『新人賞殺人事件』/別題『新人文学賞殺人事件』

作家 中町信
出版日1973年06月
平均点6.13点
書評数23人

No.3 6点 E-BANKER
(2009/11/23 14:24登録)
旧作名「新人賞殺人事件」を創元推理文庫にて復刻させた作品。
いわゆる「叙述トリックもの」です。
まずは構成が面白いですね。冒頭1つの事件(殺人または自殺)が起こり、それを被害者の関係者である2人が別々に捜査していき真相に近づいていきますが、導かれる結論はなぜか食い違う・・・という展開。
当然そこに「仕掛け」があります。
ただ、この「仕掛け」はどうですかねぇ・・・一応伏線は張られていて、読み手が気づくことも可能ですし、確かに被害者に対する形容詞が引っ掛かり続けるんですけど・・・
叙述トリックに慣れた身にとっては、どうしてもサプライズは小さめですね。

No.2 6点 nukkam
(2009/02/12 16:18登録)
(ネタバレなしです) 本格派の技巧派と評価される中町信(1935-2009)が、1971年のミステリー賞候補作であった「そして死が訪れる」を改訂して1973年に「新人賞殺人事件」というタイトルで発表した長編デビュー作ではありますが、社会派推理小説全盛時代の作品だけあって謎の魅力を前面に出した作品ではありません。名探偵の知識や技術も警察の組織力も持たない一般人が地道に一歩ずつ謎を調べていく展開は松本清張のスタイルに近いです。2004年の改題改訂(創元推理文庫版)にあたって読者への挑戦状が挿入されたそうですが、読者が謎解きに参加している気分を味わせていないのでこの挑戦状は違和感があります。といってもパズル性が弱いというだけのことで、大いなる偶然に頼った仕掛けは賛否両論あるでしょうが大胆な真相が待っています。新本格派ムーヴメントが起きた1980年代後半以降だったらもっと謎解きプロットを派手にする演出が出来たかもしれません。そういう意味では時代を先取りした作品とも言えそうです。

No.1 6点 ロビン
(2009/01/19 23:05登録)
う~ん、評価が難しい作品。(以下、若干ネタばれです)
これ系のトリックは、やっぱり真相が分かったときの衝撃度、カタルシスが勝負だと思うので、中途で真相の匂いがしてしまうとダメだと思うんです。「なるほど」とは思えたけど、それは驚きではなくて納得。なので厳しい目で。

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