ゴースト≠ノイズ(リダクション) |
---|
作家 | 十市社 |
---|---|
出版日 | 2014年01月 |
平均点 | 4.75点 |
書評数 | 4人 |
No.4 | 5点 | 八二一 | |
(2023/02/01 20:13登録) 平凡な高校生活の周辺で起こる残忍な事件。主人公を取り巻く異様な状況。それらを描く端正な文章から生じる、不協和音。 読者は確かな手応えとともに「読み間違えているかもしれない」という爽快な不安を耳元に感じ続けるでしょう。 |
No.3 | 4点 | sophia | |
(2022/02/18 00:32登録) 思いっきりネタバレします 新人離れした心理描写の上手さには目を見張るものがありますが(後半だんだんくどく感じられはしました)それだけで、ミステリーとしての完成度は低いです。最後真相が明かされるところできょとんですよ。まさか自分のことをそう思い込んでただけってこと?紙切れ一枚で?みたいな。さすがにこれは無理ですよ。「手のひらが透けた」とか「握手が空振りした」とか書いてしまってるじゃないですか。完全にアンフェアであると私も思います。 作品内で扱われるいくつかの事象、主人公の家庭問題、高町の家庭問題、クラス内のいざこざ、校内で起きる動物虐殺事件などは全部がバラバラで、ひとつの主流を形成できていません。結局何を読まされたのか?というすっきりしない読後感です。タイトルもセンスないですし、ツッコミどころはまだまだたくさんあるのですが、最後にひとつだけどうしても言いたいことがあります。やかん事件のことどんだけ根に持つんだよこいつらは(笑) |
No.2 | 3点 | メルカトル | |
(2020/02/01 22:58登録) 高校入学七ヶ月目のある日。些細な失敗のためクラスメイトから疎外され、“幽霊”と呼ばれているぼくは、席替えで初めて存在を意識した同級生にいきなり話しかけられた。「まだ、お礼を言ってもらってない気がする」―やがてぼくらは誰もいない図書室で、言葉を交わすようになる。一方、校舎の周辺では小動物の死骸が続けて発見され…。心を深く揺さぶる青春ミステリの傑作。 『BOOK』データベースより。 欝々とした青春の日々を回りくどい筆致で描かれた青春ミステリ。傑作ではありません。 正直、早く終わらないかなと思いながら読んでいました。まず気に入らないのが文章。比喩が多すぎる点が一つ。そしてやたらと長い文章が散見されるのが二つ目。長すぎず、短すぎずというのが小説の基本中の基本でしょう。長すぎる文章に比喩的表現が絡んで、頭が混乱しそうになりました。過分に読者に対して想像力を課すのはどうかと思いますよ。 そして、人間が描かれていないのも難点ですね。キャラに全く魅力が感じられません。それは作品の性質上仕方ないのかも知れませんが、特にヒロインの高町が掴みどころがなく、どうしても絵が浮かんできませんでした。 本作最大の仕掛けが中盤に施され、読者を翻弄しますが、その必然性が全然ないじゃないですか。しかもいつの間にか用意周到に。いつどこでそんな物を調達できたのか不思議で仕方ありません。私はミステリ小説に於いて騙されるのは大歓迎です。しかしこの作者の手法はあまりにもあくど過ぎると思いますね。ただ欺くためにのみ施されたトリックなど必要ありません。 解説者は本書を絶賛していますが、それには同意しかねます。一体何がしたかったのか意味が解りませんし、トーンが暗くお世辞にも救いがあったとも言えないです。しかも、序盤の最大の謎であった連続小動物殺傷事件がなんとも簡単に流されているのにも不満を覚えました。呆気無さ過ぎて唖然としました。 この作者ははっきり言って小説家には向いていないと思いますね。デビュー以降の活動を見ても大した実績を残せていませんしね。そう云う事ですよ。少し言葉が過ぎました、不快に思われた方には申し訳ありません。 |
No.1 | 7点 | 虫暮部 | |
(2016/03/18 14:11登録) こういう感じの、叙述トリックと組み合わせた青春ミステリには食傷気味なのだが(それはそういうのに多く手を伸ばす自分のせいであって作者のせいではないが)、本作はその中では出来の良い方だと思う。最終章まで見事に騙された。基本的にミステリ要素は作者が読者に仕掛ける叙述トリックだけで、ストーリー自体は“謎とその解決”ではないが、充分ミステリに含めて良いと思う。 良く判らないのがネーミングのセンスで、“高町”はともかく、“玖バ・カ帆”はないだろう。絶対何か(母親の連れ子だ、とか)の伏線だと思ったのだが。 |