彼女のいない飛行機 |
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作家 | ミシェル・ビュッシ |
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出版日 | 2015年08月 |
平均点 | 6.50点 |
書評数 | 4人 |
No.4 | 6点 | 蟷螂の斧 | |
(2018/04/24 18:03登録) 帯にある「仏ミステリ界の金字塔!」は言い過ぎです(笑)。飛行機が墜落し、全員死亡かと思われたが赤子一人が生存していた。二組の家族がその奇跡の子は自分たちのものと主張しだした。「シンデレラの罠」のような私は誰?的なストーリーと思いきや、18年間も調査に当たった私立探偵が殺されるという思いがけない展開となります。赤子はどちらの家族の子なのか?、私立探偵が最後に発見したという驚愕の真相とは?、そして探偵は誰に殺されたのか?、18歳になったリリーは何故失踪してしまったのか?等々の謎で引っ張て行きます。その引っ張り方が、かなりあざとい(笑)。赤子の洋服などの記述など結構突っ込みどころはあるのですが、まあサスペンスものなので良しとするか・・・。 |
No.3 | 6点 | yoshi | |
(2016/09/18 12:51登録) 既にレビューされているお二人の方が言う通り、 勿体ぶった書き方が苛々します。 フランス人がこんな長いの読むんですかねえ。 まあプルーストを輩出した国ですから読むんでしょうな。 プロットは面白く、この半分の長さにしてくれたら8点くらいつけたのですが。 特にマルコが地下鉄や列車に乗っている場面で、 駅に到着するたびにその駅を描写するのはさすがにムダでしょう。 |
No.2 | 7点 | tider-tiger | |
(2016/07/21 19:14登録) 金持ちの家の子供と貧乏な家の子供、どっちが幸せなのかな。手垢に塗れた雛形をこねてこねてサスペンスに仕立てた小説です。なかなかの力作だと思います。 ただ、脚本はいいけど、演出がいまいちとでもいいましょうか。 プロットはいいんです。面白いんです。kanamoriさんの言われるとおり変な焦らしに苛々させられるもリーダビリティは高い。あとは場面をもう少し面白く読ませて貰えればかなり満足できたのに、いまいち盛り上がりに欠けるのです。書き方をもっと工夫すればここはいい場面になったろうなあと思うことが何度かありました。例えばサランボーの話とか。 あとは後々効いてくるであろうと予想していた設定にあまり意味がなかったというのもいくつかありました。特に広場恐怖症にはなんの意味が????? 人物造型は主要なキャラはイマイチでしたが、脇役陣(主人公の母と頭のおかしい女)はなかなか良かった。ただ、全般的に登場人物が少々愚かしく思えてしまった。その愚かしさでプロットを破綻させないでいるような……。 結末に関してはまあ妥当な線かな。メインである赤ん坊の正体はさほど驚きはなかったのですが、正体が判明する切っ掛けは面白い。ただ、その考え方を援用すればDNA検査などなくとも真相は薄っすらと判明していたのではないかとも思うのですが。 殺人事件についてはもの凄くイヤな真相を想像していたのですが、私の想像の一歩手前で踏みとどまってくれたので助かりました。 最後に一つ誤訳と思しきものを発見したので書いておきます。 はっきりいって本筋にはまったく影響しないし、ほとんどの読者にはどうでもいいことだと思うのですが、犬好きの私としては看過できません! P402に『マリノアというベルギー原産の牧羊犬で、~』という記述あります。 これ、おそらく『ベルジアン・シェパード・ドッグのマリノアで』とすべき。 ベルジアン・シェパード・ドッグという犬種があるのですが、このベルジアン・シェパードには四種類あって、マリノアはその中の一種です。 ベルジアン・シェパード・ドッグ(フランス語でどのように表記されていたのかわかりませんが)を犬種として認識せず、ベルギー原産の牧羊犬(シェパードドッグとは牧羊犬のこと)と、訳してしまったのでしょう。 ちなみにアメリカのビン・ラディン暗殺作戦に参加した軍用犬がマリノアです。 |
No.1 | 7点 | kanamori | |
(2016/01/13 20:24登録) 1980年冬、イスタンブール発パリ行きのエアバスがスイス国境近くの雪山に墜落、炎上する。旅客らの生存は絶望と思われたが、捜索隊が雪の上に産衣で包まれた赤ん坊を発見。しかし、旅客機には該当する赤ん坊が2人機乗しており、遺された両家の祖父母はともに自分の孫娘だと主張する事態に--------。 なかなか面白く読んだ。翻訳が絶妙でフランス産のミステリにしては非常に読みやすい。ただ、600ページを超えるヴォリュームはさすがに長大すぎで、内容的にも、もう少しコンパクトに出来るのではと思います。 リリーと名付けられた”奇跡の子”は、大富豪カルヴィル家の孫リズ=ローズなのか、それとも屋台販売で生計をたてるヴィトラル家の孫エミリーなのか、という謎を中軸に置いて、富豪側に雇われた私立探偵の18年にわたる調査記録と、18年後の現代(といっても1998年ですが)に於けるエミリーの”兄”を主人公にした追求パートが交互に描かれます。 私立探偵の記録が、読者を焦らすようなもったいぶった書き方で、なかなか核心に触れないのがイラっときますが、複数の殺人事件の真犯人に関わる仕掛けの部分には意表を突かれました。また、”事故当時は分からないものが、18年後に事故当日の新聞を見て初めて真相が判る”という謎々の設定とその解答がおしゃれです。 |