江ノ島西浦写真館 |
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作家 | 三上延 |
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出版日 | 2015年12月 |
平均点 | 5.80点 |
書評数 | 5人 |
No.5 | 5点 | E-BANKER | |
(2023/09/16 13:49登録) 「江の島」って聞くだけで何となくオシャレな感じがしてくる。これって、ひと昔前の人間特有なんだろうか? それはともかく、江の島にある一軒の写真館を軸に繰り広げられる連作集(長編かもしれんが・・・)。 単行本は2015年の発表。 ①「第1話」=本作の主人公である「繭」。まだ二十代のくせに辛い過去を引きずっている女性。彼女の祖母が営んでいたのが「西浦写真館」。で、謎は当然写真に関わるものになる。 ②「第2話」=繭の辛い過去の原因。それも当然写真に関連している。ひとりの美少年を深く傷つけてしまったのだ。で、本話の謎は、誰がこの少年の写真を勝手にSNSにアップしたのか? ③「第3話」=起承転結でいえばちょうど「転」に当たる部分だけに、話の角度が変わってくる第3話。土産物屋の若主人である研司が、自分の過去のついでに「繭」たちの過去の扉も開くことに・・・ ④「第4話」=そして最終章。今まで謎めいていたことのすべてに一応のケリが付けられる。エピローグの章でまぁハッピーエンドかな? 以上4編。 特に追記はありません。 作者らしいといえば作者らしいかもしれない。けど、「ビブリア古書堂」シリーズほど引き込まれることはなかった。 「写真」が巻き起こす事件、謎というのも割と古臭くって、既視感のあるプロットだったな。 いずれにしてもオッサンの読み物ではなかったように思う。悲しいかな・・・ |
No.4 | 6点 | よん | |
(2023/06/12 13:46登録) 物語は新年早々、桂木繭が江の島を訪れる場面から始まる。昨秋亡くなった祖母の遺品整理で、家は百年間営業を続けた写真館だった。 遺品の中には「未渡し写真」の缶があり、繭は青年・真鳥とともに一つ一つの写真に秘められた謎を明かしていく。やがてそれは、繭自身の過去へとつながることになる。 時代も場所も異なるのに同じ青年が移っている四枚の写真、繭が大学入試の時に撮られた写真、土産物屋の主人が探るキャビネットの謎、二人の男性が並ぶ記念写真の秘密など、四話形式であるけれど、どれも緩やかに、だが主題的には緊密に支えあう内容になっている。 謎自体が小粒だし、大胆な展開もないに等しい。それでも落ち着いた艶やかな叙情は美しく心地よい。 |
No.3 | 6点 | 白い風 | |
(2016/05/30 22:33登録) 写真館に残された写真から色々な謎を探る”日常の謎”タイプのミステリーでしたね。 ビブリア古書堂の作者らしい作品でしたね。 ただ写真をめぐる作品では宮部さんの「小暮写真館」の方が重厚で私は好みかな。 ライトノベル的な軽さもあって読み易かったですね。 一応キレイな形で終わっていると思うけど、もし続編があるのなら繭がカメラを持って写真を写している姿が描かれているといいな~。 |
No.2 | 6点 | まさむね | |
(2016/03/13 22:40登録) ミステリーとしては微妙、というか謎自体に取ってつけた感が強いため、その反比例でインパクトは弱くなっているような気がしますねぇ。 とは言え、先を読みたくさせる書きぶりは、流石にベストセラー作家。スラスラ読ませつつ、綺麗にまとめています。 この作品が初の単行本というのも、言われてみればそうなのですが、何か新鮮な気持ちがしましたね。ビブリア古書堂ファンには、ちょっと違った雰囲気(似た点も多いのだけどもね)を楽しんでみるのも良いのではないでしょうか。 |
No.1 | 6点 | kanamori | |
(2016/01/12 20:30登録) 江ノ島の路地裏にある古い写真館。店主だった祖母が亡くなり、閉館の整理のため久しぶりに写真館を訪れた孫娘の桂木繭は、遺品の中に「未渡しの写真」を見つける------閉館する写真館に残された複数の写真にまつわる秘密を解いていく連作ミステリ。 たしかに”古書”を”古い写真”に置き換えた「ビブリア古書堂」風の日常の謎ミステリという側面もありますが、写真家を目指していながら、自らの過失によって大切な人物が離れていってしまい挫折したという、ヒロインの抱える過去のトラウマが作品全体を暗いトーンで覆っているので、味わいは若干違う感じを受けます。それが、いいか悪いかは読者の嗜好によると思いますが。 ミステリ部分の面白さという点では、各話ともモヤモヤしたものが残り、謎が解けたときのカタルシス感は希薄です。ただ、エピローグの思わぬ方向から来るサプライズが効いていて、最後はきれいにまとめています。 今では「ビブリア古書堂」のイメージが強すぎて、他にどういったものを書いても違和感を持たれてしまうということもあるかもしれませんね。 |