ミステリ・ウィークエンド |
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作家 | パーシヴァル・ワイルド |
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出版日 | 2016年01月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 4人 |
No.4 | 5点 | 人並由真 | |
(2016/05/21 14:31登録) (ネタバレなし) 表題の長編は、舞台設定、事件の不可思議な推移、登場人物の巧妙な配置など、作者のミステリ分野への愛情は実感する。ただし犯人あての謎解きミステリとしては、伏線となる描写が丁寧(悪く言えばシンプル)な分、すぐ真相の見当がつく。あとタイトルになっている宿泊施設「サリー・イン」での趣向「ミステリ・ウィークエンド」が具体的にどんなイベントなのか未詳なのはどうかなぁ。そこらへんも含めて、いかにも習作という印象も強い。 併録の短編&ショートショート3本はいかにもおまけという感じだが『自由へ至る道』の、どことなくデイモン・ラニアンを思わせる内容は悪くなかった。 |
No.3 | 6点 | nukkam | |
(2016/02/17 13:23登録) (ネタバレなしです) 米国のパーシヴァル・ワイルド(1887-1953)は劇作家として名高く、ミステリー作品は非常に少ないのですがそのどれもが高く評価されています。1938年発表の長編第1作の本書は本格派推理小説で、雪で孤立状態のホテルで起きた殺人事件の謎解きです。4人の登場人物の手記で構成されており、視点が変わることによって謎が明らかになったり逆に深まったりして短めの長編ながら意外と複雑なプロットです。手掛かりには現代の読者にはわかりにくいのがあったり、動機の説明は完全に後出しだったりと問題点がいくつかありますが、犯人当てと同時に誰が謎を解くのかも終盤までわからないプロットはなかなか楽しめます。 |
No.2 | 6点 | kanamori | |
(2016/02/15 21:42登録) 「ミステリ・ウィークエンド」と銘打たれた冬の観光ツアーで集まったホテル客の一人が、納屋の中で死体となって発見される。折りしも猛吹雪で外界と隔離された状況下、ホテルのオーナーや長期滞在客らが調査を進める中、なんと密室内の死体が別人に入れ替わってしまい-------。 パーシヴァル・ワイルドのデビュー長編。 代表作の「検死審問」シリーズなどと比べるとユーモアは抑え目で、200ページ足らずのコンパクトな内容ながらも、4人の主要登場人物によるリレー形式の手記という全体構成がユニークな作品です。 いわゆる”吹雪の山荘”もので、密室からの死体消失(死体の入れ替り)というメインの派手な謎のトリックに関しては、やや拍子抜けの感があるものの、そのほかの細かな多くの謎とその伏線の妙味が楽しめました。とくに、不可解で怪しげな言動を繰り返すドウティ夫妻をめぐる謎の真相には、半笑いのやられた感があります。 デビュー作ゆえの粗削りなプロットという感は否めないですが、身元が確認できない”自称”の登場人物たちが集まるホテルという舞台設定を、最大限に利用したところは一番に評価したいですね。 併録された3つの短・掌編もそれぞれ異なる味わいがあっていいセレクトだと思います。なかでも、通信教育探偵もの「P・モーランの観察術」のとぼけたユーモアが相変わらず楽しいです。 |
No.1 | 7点 | はっすー | |
(2016/01/31 17:24登録) 中編一つと短編三つというなかなか盛り沢山なワイルドの新刊 だが処女作だからか中編の『ミステリー・ウィークエンド』は謎はなかなか魅力的だがユーモア控えめのミステリーとしても堅い作品というイメージが残った 他の三編はショート・ショートとサスペンス物とP・モーランの未収録作品でありやはり一番印象に残ったのはP・モーランだった P・モーランのハチャメチャぶりと奥様の機転が面白く最後の一文には思わず笑ってしまった |