home

ミステリの祭典

login
幸福な生活

作家 百田尚樹
出版日2011年05月
平均点7.33点
書評数3人

No.3 8点 蟷螂の斧
(2025/11/04 11:52登録)
「最期の一行」に特化した短篇集。その試みが素晴らしいし、バラエティに富んでいる。
①母の記憶 7点 老人ホームにいる認知症の母を訪ねた息子。息子は子供の頃、大切なオモチャがなくなったことを思い出した…母はその理由を(ブラック)
②夜の訪問者 8点 帰宅すると、浮気相手が妻とおしゃべりしている。妻が席を外すと彼女がキスをしてくる…彼女曰く、妻は私たちのことを知っていると(爆笑もの)
③そっくりさん 10点 妻の悩みは、夫の同性愛疑惑。寝言で「ひろし」とつぶやく…世の中には、そっくりさんが3人はいるらしい(これぞ、最後の一行)
④おとなしい妻 6点 人見知りで内気な妻が、パチンコ店で暴れたという…妻は泣くばかり(まあ、ありがち)
⑤残りもの 6点 30代最後の年にハンサムな美容師と知りあい、即結婚。残りものに福は?(そうなるわな)
⑥豹変 5点 夫はあることで憂鬱になっていた。妻は今日いい事があったという…これしかないオチ
⑦生命保険 8点 友人にさえない夫と結婚した理由を話す。夫は生命保険のようなもの…チンピラから助けてもらった(爆笑もの)
⑧痴漢 8点 満員電車で痴漢扱いされ、その場しのぎで金を支払ってしまった。その後も慰謝料を請求され…警察にいけない理由(ギャップがいい)
⑨ブス談義 5点 結婚式のあと、ロビーで新郎の友人3人が花嫁の容姿の悪口を言い合う。そこへその友人の一人の美人妻が現れ…美男美女の娘の容姿(分かりやすいオチ)
⑩再会 7点 酒、暴力、賭博が原因で別れた元夫が10年ぶりにやって来た。病で瘦せて昔の面影もない…彼女に言い寄る上司(そっち系かW)
⑪賭けられた女 7点 パーティで、しがない編集者は好色な作家と賭け事を。編集者は自分の美人妻を作家はポルシェを賭けることになった…ポケットのコイン(「南から来た男」のオマージュ)
⑫雪女 9点 16年前の事故のことは記憶がない。だが最近記憶が蘇ってきた。事故現場には宇宙人がいた…幸せな家庭(SFチック)
⑬ビデオレター 8点 妻の49日の法要が終わると、生前に撮影した妻のビデオレターが届いた。感謝の言葉が続く…ホトトギスの托卵(伏線がいい)
⑭ママの魅力 6点 体重100kg身長170cmのママをパパは大好きだ。僕はママに痩せて欲しい。ある日、公園で猛犬が暴れ出して…(ほほえましい)
⑮淑女協定 6点 社内パーティに出席の夫に同伴した3人の妻。彼女らは同期で社内結婚。結婚前の男関係はお互い知っている。夫には自分以外の男遍歴を喋っている…俺は社内結婚でなくてよかった(まあ、世の中そんなもんですな)
⑯深夜の乗客 6点 タクシー運転手は、真夜中、雨に濡れた若い女性を乗せた。バックミラーから姿が消えた?…自宅で老婆出現(怪談風だが?)
⑰隠れた殺人 8点 父が自宅で亡くなった。殺人の可能性もと冗談。遺品に箱根細工があった。開けてみると…父と母は18歳の年齢差(かなりブラック)
⑱催眠術 8点 妻に催眠術をかけたら、なんと!かかってしまう。夫は禁断の質問(男関係)を聞き出す…悲劇、喜劇?
⑲幸福な生活 9点 娘が恋人を家に連れてくる日。父母は自分たちの過去を振り返る…部下との浮氣(場面は一転、放送作家らしい作品)

No.2 7点
(2025/10/25 17:25登録)
最終ページの一言で真相が明らかになるショートショートです。
最初は驚かされましたが、途中から真相を予想しながら楽しめました。
文庫化で追加された「賭けられた女」だけは他の作品とは一癖も二癖も違って、二度読みが必要でした。

No.1 7点 itokin
(2015/11/10 13:13登録)
ショートコントのような短編が18編。どれもがどこにでもありそうな出来事を淡々と展開させていくのだが最後の1行の逆転ショックは相当なものだ、このような構成の作品は初めてで、さすがの百田さん、面目躍如です。

3レコード表示中です 書評