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32693. | RE:人並由真さんへ “交換殺人”の系譜~さすがは「おっさん」様です! 人並由真 2022/05/26 03:38 [雑談/足跡] |
おっさん様 今晩はです。今回も投稿、またご教導ありがとうございます。 いや、以下、負け惜しみになりますが(汗) > >『見知らぬ乗客』『血ぬられた報酬』に続く、たぶん欧米ミステリ史上3冊目の交換殺人もの ……の件は、投稿したあと、もしかしたら、どこかからツッコミが入るのではとも思っておりました。 (そしてたぶん高い確率で、そのツッコミの主はおっさん様では? とも想定しておりました。) 予想されるツッコミの内容は 1:この3作以外にも、該当の50年代に「交換殺人」ものの、倒叙ノワールサスペンスがあったのではないか? 2:もしかしたら、フーダニットパズラーなどで、最後になって実は共犯の人間同士が標的の交換を行い、同一犯の連続殺人のように偽装する作品がひそかにあるのではないか? です。今回は正に、その2の方をドンピシャでご指摘され、さらにぼかしてあるとはいえ、具体的なサンプル作品を2つも並べられたので、いつもながら、さすがは、おそらく本サイトでも最強クラスのミステリへの知見をお持ちのおっさん様だと、敬服いたしました。 といいつつ、実はこの数年間の間にどっかで「同一犯の連続殺人に見えて、実は複数の犯人がたがいにアリバイを確保しあった交換殺人だった」というネタの作品を、何かひとつくらい読んだような気がするのですが、乱読、雑読のせいか、それが何だったか全く思いだせません(汗×3)。 まあもちろん、思い出せても、ここでその具体名を書く訳には絶対にいきませんが。 おっさん様がおっしゃったその二作品、特に先駆の1941年作品は、ぜひとも読んでみたいものです。本当に論創さんあたりで発掘してくれませんかね? とはいえ、論創の編集&営業の立場からすれば、そういう<トリックの先駆性>を大きく掲げて売る訳にもいまないでしょうし(ネタバレになってしまいますので)、 一方でおっしゃるようなマイナーな作家だったら、それこそ馴染みのない日本ファンへのアピールが難しいですね(汗)。 いちばんいいのは、数年ぐらいのうち、なんか無名? あるいはマイナーな作家のよくわからん作品がそっと発掘され、それをまったく白紙で読んでみたら 「これがあの、おっさん様がおっしゃった作品だったんだ~~~!」と仰天するような流れですが。そーゆーうまい、オイシイ事態、あればいいなあ……(笑)。 ちなみに山口雅也先生の「奇想天外の本棚(国書刊行会版)」のラインナップに『スミルノ博士』が入ってますが、セールスの仕方がすんごい気になります。 帯に、くれぐれも余計なことは書かないでほしいものです。 とは言いつつ、アレもしくはあの作家の話題をまったくしないと、営業的にはキビシイので、なんか……に、なっちゃう危険性がありそう。 (いや、自分はもうすでに、旧訳で読んでしまったからいいのですが。) 以上、もろもろのネタバレを気にしながら、思いつくままに書かせていただきました。重ねて、おっさん様の深い厚い知見には敬服いたします。 しかし、本当に世の中にそうそう新しい、新奇なものって、昔から無かったんですね。トリックなんか使いまわしでいい、別のところで勝負すればいいじゃん、という一部の送り手の方々の気持ちもわからないこともないです。 (と言いつつ、まんまの見知ったトリックを使っている新作には、やはり点が辛くなってしまう困った読者ですが、自分は。) 今回も長々すみません。 今後ともよろしくお願いいたします。 ※まったく別件ですが、あの6000円の同人翻訳ミステリシリーズ、悪訳がすごいらしいですが、発掘する作品のセレクトそのものは妙にツボをツイてるのが泣けます。 人並由真 拝 |
32692. | 人並由真さんへ “交換殺人”の系譜 おっさん 2022/05/25 20:18 [雑談/足跡] |
人並由真様 本日付けの、フレドリック・ブラウン作品のご書評、楽しく読ませていただきました。 小生が大人ものの文庫でミステリを読みはじめた時代には、町の小さな本屋の棚にも、創元推理文庫のブラウン作品がズラーッと並んでいたのを、懐かしく思い出しました。タイトルに気を惹かれて買ったうちの一冊ですが、もう読後の記憶は薄らぎ、ストーリーなどは完全に忘れていました。 >『見知らぬ乗客』『血塗られた報酬』に続く、たぶん欧米ミステリ史上3冊目の交換殺人もの というのは、おそらく、我国のマニア読者の共通認識かと思いますが、じつは小生の知る限り、ハイスミスの『見知らぬ乗客』(1950)の前に一冊、英国作家Cの1941年作品(未訳長編)があり、ニコラス・ブレイク『血塗られた報酬』(1958)の前に、やはり英国作家Bの、1951年作品(これも未訳長編)が存在します。 作家名と作品名を伏せたのには、わけがあって……ハイスミス、ブレイク、ブラウンは、いずれも交換殺人という趣向を「クライム/倒叙」の形式で料理しているのに対し、前述の二作家は、「本格」の枠組みのなかで、“交換殺人”のトリックを結末まで伏せて書いているわけです。なので、その作家のその作品が交換殺人ものであると書くこと自体、ネタバラシになってしまうため、隔靴掻痒かもしれませんが、ご容赦下さい。 作家Bの長編は、話題の新人ハイスミスに対する、本格サイドからのアンサー(そのアイデアをミステリ作家ならこう書く)かも知れませんが、作家Cのマイナー作品をハイスミスが読んでいたとは、ちょっと考えにくい。もちろん、読んでいたとしてもハイスミス作品の価値が減じるわけではありませんが。 ただ、(暫定)オリジンとしての作家Cの功績を、きちんと書き残してあげられないのが、なんとも残念でなりません。 求む邦訳、論創社さん、というところでしょうか。 妄言多謝。 おっさん拝 |