皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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しゃんさん |
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平均点: 6.75点 | 書評数: 88件 |
No.4 | 6点 | 放課後- 東野圭吾 | 2003/02/11 00:02 |
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最近の作である『秘密』や『白夜行』に比べれば、文章はずいぶんと見劣りする気がする。 主人公にもなかなか感情移入できない。というより、主人公が何を考えているのか、どのように生きようとしているのかがはっきりしなかった。 ただし、第7章の犯人とのやり取りやその後には、胸に打たれるものがあった。ミステリ的な驚きはそうでもなかったが、それでも衝撃は凄かった。やはり東野氏は凄い。 しかし、密室トリックはなくても楽しめたかもしれない。 |
No.3 | 8点 | 秘密- 東野圭吾 | 2003/01/30 21:21 |
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この話の主人公は、とことん情けなく、弱く、惨めさを感じさせる、でも人のよい中年男性である。その中年男性が、不可思議で複雑な事態に翻弄され、混乱し、傷つき、それでも必死で生きていく様が非常に上手く描かれているように思える。そのため、主人公には非常に共感できた。 ラストのどんでん返しは予想できたが、それは読者の客観的な目で見ているからで、主人公が殆ど最後まで気づかないわけも納得できる。むしろ主人公が最後まで気が付かず、明確な証拠なしにはその可能性さえ考えつかった(?)ところに主人公の人間臭さが出てて良い。 しかし、匂わす程度でこんなはっきりとした証拠は欲しくなかったかもしれない。主人公があんまりかわいそう過ぎる。 |
No.2 | 7点 | 嘘をもうひとつだけ- 東野圭吾 | 2002/12/31 12:57 |
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本格ミステリ短編集。各短編とも加賀刑事が狂言廻し。 どの話も2時間ドラマになりそうな良くあるといえば、良くある話。 しかし、『冷たい灼熱』と『第二の希望』『狂った計算』では、どんでん返しがあって、驚かされた。驚かされただけではなくて、そのどんでん返しでもの悲しい気分にもなった。 『友の助言』では、ラスト数ページでさびしい気分にさせられる。 松竹新喜劇の「おもろうてやがて悲しき」ではないが、「本格ミステリでたのしんで、やがて悲しい」というのが、この作品集に共通している要素だろうと思う。 作品の配置が非常に効果的に感じた。 しかし、「冷たい灼熱」ではっきり子供の死因を書いてないのは何か意味があるのだろうか。駐車場、世間でよくあること、お金を費やす、熱射病等であれだということはわかるのだけど…。本当に何か書かないことで意味があるのだろうか? |
No.1 | 6点 | 白夜行- 東野圭吾 | 2002/12/11 20:16 |
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非常に楽しく読めたと同時に後味がものすごく悪いという、不思議な感覚を味わった。 次々に出てくるほのめかしによって、各々の犯罪の大まかな筋がわかる。わかるのだが、犯罪の中心にいる人物の真の目的や心理状態は想像するしかないようだ。私の場合、想像すればするほど、不気味なもの、気持ち悪いものを心の中に浮かべてしまい、嫌な気分になった。 下手なホラー小説よりもよほど恐ろしいものを感じた。ラストが、事件の解決ではなく、寂しいような余韻を残すラストだったから余計にそう感じるのかもしれない。 謎解きの面白さは感じなかったが、それでもいいというように感じた。 素晴らしい作品だが、私の好みには合わない。 |