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Tetchyさん
平均点: 6.73点 書評数: 1569件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.6 9点 魔球- 東野圭吾 2008/04/10 23:37
この高校球児を中心に据えたミステリ。この作品の中心となる謎は、二つの殺人事件の謎でもなく、愉快犯とも云うべき東西電機での爆破未遂事件と社長誘拐事件の謎でもなく、題名となった“魔球”の謎、でもない。
天才投手と云われた須田武志そのものの謎である。

彼の死の真相を知ったとき、正にこの男は武士であると痛感した。
名前は須田武志。
東野氏はこの男に武士の魂を託し、“武士の心”という意味を込めて“武志”という名にしたに違いない。

本来ならば10点献上したいのだが、あまりに哀しすぎるので、その分、1点マイナスした。

そして本作でキーとなる題名にもなっているこの“魔球”の正体。
この“魔球”という二文字の意味がまた別の意味を持って立ち上がってくるのだ。
人が打てない悪魔のような変化を伴うから“魔球”と呼ばれるのが一般的だが、本作にはもう1つの意味が隠されている。
これはそれぞれこの本を読んで確認して欲しい。

No.5 5点 11文字の殺人- 東野圭吾 2008/04/09 22:55
さらっと読めて、ある程度の満足は出来る「出張用ミステリ」かな。
題名はあまり意味がなかったなぁ、ガッカリ。

No.4 7点 学生街の殺人- 東野圭吾 2008/04/08 22:54
主人公がモラトリアムなためか、全体のムードとしてはまったりとした感じがしている。これこそ東野氏が書きたかった青春の空白期間だったのだろう。

ページ数からいって、当時の青春ミステリ第1期の締めくくりともいえる作品なのだろうけど、結末はいただけない。
結婚を経験した身としてみれば、あの晴れ舞台で主人公の犯人に対する仕打ちはないだろう。
幸せの絶頂からいきなり奈落の底へ突き落とす仕打ちである。

あと主人公の親父!
もっと息子を気に掛けれよ!!
理解しているふりして、その実、現実を直視しない典型的なダメ親父だ。

こういう、ちょっと理不尽なところが、東野氏の欠点なんだな。

No.3 5点 白馬山荘殺人事件- 東野圭吾 2008/04/07 22:57
こんな厚さで密室殺人の謎、「マザー・グース」の暗号の謎、遠隔殺人トリック、2年前の事故死の謎、ペンション「まざあ・ぐうす」の前の所有者である英国未亡人の自殺の謎と謎盛りだくさん。

この密室と暗号の謎は難解すぎる!
まず解ける奴はいないだろう!

相方の叙述トリックは作者が途中で投げ出したような気がしたんだけど。

No.2 10点 卒業−雪月花殺人ゲーム- 東野圭吾 2008/04/06 14:48
みんなの評価は低いが、私はけっこう、いやかなり好きだ。

実は、私もみんなの感想同様、事件のトリック、雪月花之式のあの複雑怪奇な謎解きには全然面白みを感じていない。

でも加賀と沙都子を中心にした学生グループ全員が織成す青春群像劇、これが非常に心をくすぐった。
自分の学生時代の頃を思い出させてくれた。
これは単純に今の自分がそういう気分なのかも知れないが、読んだ感想としては、やはり自分の気持ちに嘘はつけない。

あと彼らの恩師である南沢雅子は名バイプレイヤーだ。

No.1 8点 放課後- 東野圭吾 2008/04/06 00:19
東野圭吾作品に着手という事で出版順から読んでみる事に。
ということでオイラにとってこれは東野初体験。
だから全く先入観なく読めた。

で、感想は、確かにあの動機は弱いし、特に性の多様化した今では、納得の度合いはかなり低くなっている。

しかし、ミステリとは別の部分、特にもう取り戻せない高校時代に体験した体育祭の準備風景、体育祭の生徒たちの躍動感、放課後の部活の雰囲気などが妙に心に響いた。

で、この作品で大いに納得行かないのは、主人公が妻に堕胎を強制するところ。
子供を教える教師が子供を産むなというかぁ!?
もうあのラストシーンのために無理矢理こじつけたかのような布石だ。

こういうふつーでは考えられない心境を平気で書くところが東野の欠点なのかもしれん。

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