皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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テツローさん |
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平均点: 7.46点 | 書評数: 108件 |
No.5 | 6点 | 記録された殺人- 岡嶋二人 | 2002/06/03 22:13 |
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表題作は良い。関係者の証言と刑事二人の会話文のみで構成されたつくりが、テンポ良く読める。これは、作中で小道具に使われている微速度撮影フィルムをモチーフにしたものなのかな? 犯人像も、自己中心で虚言癖もありそうな憎ったらしいだけの、全然同情を寄せる必要も無いところが、スパッと割り切れて良いと思う。
他の収録作は、凡作かなあ、と思う。 「バッド・チューニング」主人公が必死でマネジメントしてる歌手グループ、「スリー・パーセント」という名ではやはりいかんだろう。 「迷い道」完全犯罪の崩壊を描いたものだが、決め手となる証拠は、もう少し「あぁ、あれがそうだったか」と思わず膝を打つような物でないと、まとまり悪いだけ。 「密室の抜け穴」事件が起こる前から、「あぁ、こいつが何かするな」と、犯人の見当ついてしまった。密室そのものは割とややこしくて、ページ数があれば良い物になったかも。 |
No.4 | 10点 | 99%の誘拐- 岡嶋二人 | 2002/05/16 00:42 |
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誘拐テーマのミステリというのは、あまり読んだことは無いが、これは良かった。二件の誘拐が描かれ、二件共にやたらややこしいからくりと、スピーディーな展開にあふれている。また、最初から犯人が分かっている倒叙タイプなのだが、その犯人の演技や捜査側との遣り取りもあじがある。 ただ、最後の第四章は余計かなとも思う。ダイヤが消えた謎の答えはともかく、その謎解きを二人で語り合いながらするというのが、最後で気が抜けたようになってしまったと感じた。それに、馬場刑事の哀愁がつらい。 もっともそれはおまけみたいなもので、全体的には完成度は非常に高い。再読率も高いです。 |
No.3 | 7点 | クリスマス・イヴ- 岡嶋二人 | 2002/05/07 22:29 |
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本気で怖い話だった。(「殺人鬼」は、まだ読んでない)ミステリではなくホラーです。 この犯人、要するに認めて欲しかった訳か? 女性を強姦しようとする時は、その相手に自分の性欲を? 強姦現場を目撃した人間には、いい女がいたら自分の性欲を満たそうとするのは当然のことだということを? 肩をたたきあって、一緒にレイプなりすることを? いや、作中にこのような心理描写は一切無い。ただ、何かこの犯人の行動に理由を付けんと、気色悪くて。これらの理由とて、正気の沙汰ではないが。 読み始めれば、話の展開が気になって気になって、一気に読み進められます。 |
No.2 | 9点 | そして扉が閉ざされた- 岡嶋二人 | 2002/03/30 00:31 |
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舞台は核シェルターで、登場人物は4人。死んだ仲間を入れても5人。これは、一幕物の舞台劇にちょうど良いんじゃないか。それで思い切って、役者には結末を教えずにアドリブで演じさせ、実際に真相を考えてもらうような趣向にしておけば、役者もびっくりするだろう。もっとも、その方法で演じきれる役者といえば、長瀬裕也(少年マガジン「ザ・スタア」の主人公)を措いて他にはおるまい。 最初読んだ時、妹と上記のようなバカネタで盛り上がった思い出があります。 とにかくすごかった。登場人物が限定され、手がかりも限定され、それを、思考のみでこねくり回して論理的に解決に導いていく。ただ、勘違いがあったとはいえ、4人の内2人もが「実は真相を知っていた」のはどうかと思うのでマイナス1点ですが、それでもこれは、すごい作品です。 |
No.1 | 10点 | 殺人!ザ・東京ドーム- 岡嶋二人 | 2002/03/29 22:54 |
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主役の一人、佐藤三郎氏(仮名)の行動が、時々鋭かったり時々鈍かったり、そこが少々気になりましたが、それは無視してもよい範囲と思います。 主役級は3グループあって、それらのグループに属するキャラクター達が、ドーム無差別殺人を軸に、絡まったり離れたりしながら、結末に向かってなだれ込んでいく。また、多数の脇役達も枝葉的に事件に絡んでたり、絡んでなかったり。複数の登場人物を並行して描くことで、何と言うか、人物像にリアルさというものが加味されたかなと思うのです。社会派よりもリアル。だからといって、この作品は社会派ではないです。本格でもない。ジャンル分けしにくい作品ですが、とりあえず再読に耐えうる内容には違いないです。 |