皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
okuyamaさん |
|
---|---|
平均点: 5.60点 | 書評数: 55件 |
No.3 | 10点 | 哲学者の密室- 笠井潔 | 2002/08/18 02:22 |
---|---|---|---|
独自の思考方法で真実を指摘する探偵、圧倒的な分量、史実を織り込んだ舞台設定など、既に近年の本格ミステリの要素が盛り込まれている。密室のトリック、犯人の動機、その解き明かし方も充分納得いくものだった。 特殊な歴史と思想(立場)を持つ登場人物同士の命をかけた戦いがあり、それぞれに運命的な結末が訪れ、類を見ない壮大な物語となっている。そして完璧な計画が、ほんの小さな偶然によって達成されなかったことこそが、この作品を名作たらしめていると思う。ラストのナディアも良い。 長いので消化しにくいし、文章も読みにくいけれど、再読するときは細かい仕掛けに驚きつつ「そうかそうか」と読み進められるし、哲学の翻訳書よりは読みやすい、と思う。 |
No.2 | 8点 | オイディプス症候群- 笠井潔 | 2002/07/29 16:15 |
---|---|---|---|
状況は「そして誰もいなくなった」で動機は「オリエント急行」らしい、そしてシリーズものということもあって、重い話ながら先へ先へとズンズン読めました。「お約束」が好きな方にお勧めです。 動機も犯人もトリックも十分納得です。ミステリの骨格がしっかり作られている上で、さらにギリシャ神話やフーコーとの思想対決、AIDSといったトピックも魅力的ですね(長いけど)。10年前の雑誌掲載当時に読んでいたら、もっと衝撃が大きかったと思います。 |
No.1 | 7点 | バイバイ、エンジェル- 笠井潔 | 2002/06/24 12:19 |
---|---|---|---|
死体の首を切った理由、犯人と探偵の対決、フランスを舞台にした凝った設定などが楽しめました。 「悪魔を憐れむ歌」「緋文字」「大地の歌」「現象学」そして探偵の暗い人格が作品に陰鬱な雰囲気を醸し出しています。 突出した大傑作ではないけれど、バランスの良い作品だと思います。 |