皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
ROM大臣さん |
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平均点: 6.07点 | 書評数: 149件 |
No.4 | 5点 | 過去を失くした女- トマス・H・クック | 2022/08/26 12:20 |
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有名デザイナーのイマリア・コヴァロの右腕として働いてきたハンナ・カールスバーグの死体が、顔をめった切りにされ、腕が切断され持ち去られた状態で発見された。カレンの友人イマリアは、ハンナの遺族探しをフランクに依頼する。
作者は一貫として、人の心に潜むミステリを追及している。本作でもフランクの目を通して、ハンナの人生を深く見据えている。真実を描くためには、妥協を許さない厳しい姿勢を感じるが、反対にフランクの眼差しは、あくまで優しく静かで透明である。それは強い信念から生まれた悟りに近いもののように思える。 |
No.3 | 5点 | 心の砕ける音- トマス・H・クック | 2022/07/25 14:34 |
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テーマはずばり「運命の女」。現実的な兄と、夢見がちな弟。弟はいつかこの世にたった一人だけ存在する運命の相手が目の前に現れると信じている。そんな兄弟の前に、ある日突然、謎めいた美女が出現する。弟はたちまちのうちに、彼女に恋心を抱くが、困ったことに彼女に惹かれたのは弟ばかりではなかった。
これだけで恋愛文学の永遠のテーマ、三角関係の理想的な解決法への立派なチャレンジになっている。といってもミステリなので、殺人事件が起きて犯人探しが始まってしまうわけだが、それでも兄弟愛を引き裂く恋愛の非情、切なさは、これっぽっちもかすれない。 |
No.2 | 5点 | 闇に問いかける男- トマス・H・クック | 2022/01/20 16:10 |
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幼女殺しの容疑者を勾留期限が切れるので、それまでに動かぬ証拠を突きつけたいというタイムリミット・サスペンスの体をとっている。
メインは謎の容疑者を巡るストーリーだが、それにいろいろな人の人生が絡んでくる。刑事たち自身の過去や、ゴミ集めの人の鬱屈とか。モジュラー型警察小説みたいな面もある。さまざまな人生の一夜が同時並行的に進行していって、最後には刑事たちの物語に一応の片がついたあと、エピローグ的なところで、いかにも作者らしい感動的なラストが。ただ事件の真犯人に直結する手掛かりが、出来すぎか。 |
No.1 | 8点 | 緋色の記憶- トマス・H・クック | 2021/09/17 14:23 |
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父親が校長を務めるチャタム校の生徒ヘンリー。彼の人生は、チャタム校に美しい女性教師が着任してから、徐々に変わり始める。
物語がどのような方向にいくのかまだわからない序盤から、被告席に立たされるミス・チャニングを回想するシーンなどが挟まれ、やがて起こるであろう悲劇に向けていやが上にも緊張が高まっていく。ところどころに挿入される思わせぶりな描写やセリフは物語終盤に一気に恐ろしい意味を持つようになる。そして最後の最後に、あまりにも冷たく恐ろしく切ない強烈な一撃が待っている。 |