皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
ぷちレコードさん |
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平均点: 6.32点 | 書評数: 208件 |
No.3 | 7点 | 録音された誘拐- 阿津川辰海 | 2023/10/23 22:23 |
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大野物産の御曹司でありながら家を飛び出して探偵事務所を開いている大野糺が誘拐される。大野の右腕ともいうべき山口美々香がたまたま大野家を訪ねていて、警察とともに事件を追求していく。
特徴的なのは美々香が飛び切り耳がよくて、微妙な音も聞き逃さないという点。しかも大野もまた名探偵的な推理力を持ち、誘拐犯と戦うのだが、この誘拐犯が極めて狡知に長けていて、探偵と犯罪者の頭脳戦が繰り広げられるからたまらない。 大野家の深い謎、美々香と家族の秘密などのサイドストーリーがメインストーリーを支えて劇的な展開を生み、度重なるどんでん返しに繋がるのがお見事。 |
No.2 | 8点 | 蒼海館の殺人- 阿津川辰海 | 2022/04/22 23:18 |
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学校に来なくなった葛城に会うため、田所と三谷が彼の実家の蒼海館を訪ねる。折からの暴風雨で館に留まらざるを得なくなったところに、さらに殺人事件が。葛城は、自分の家族に関わる事件の謎に挑む。
災害と事件が押し寄せる前半から中盤、そして二重三重の複雑な企みを解き明かす後半と、密度の高い展開で読ませる。 真相の解明と、失意の探偵が復活する過程が重なり合い、最後まで飽きさせない。 |
No.1 | 7点 | 星詠師の記憶- 阿津川辰海 | 2022/03/09 22:44 |
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予知夢を記録する紫水晶というファンタジー風の設定を導入した特殊ルール本格ミステリ。
といっても、その幻想的な設定を、あくまで現実と地続きの世界に接続するため、作者は類例が珍しいほどに細心の注意を払っている。予知映像に、はっきり犯行の瞬間が映っている容疑者の無実をいかにして証明するかというメインの興味は「逆転裁判」風。 綿密に考え抜かれた犯人の計画と、一見些細な手掛かりからそれを暴いてゆく獅堂の推理は圧巻。 |