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◇・・さん
平均点: 6.03点 書評数: 181件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.7 6点 無実はさいなむ- アガサ・クリスティー 2024/10/08 21:00
ある家に殺人が起こり、不良息子が逮捕され、アリバイの主張にも拘わらず確証のないまま有罪となり、ついに獄死する。ところが真相を知っている一人の男が悲劇の館を訪れるというところから物語の幕が切って落とされる。
巧妙な状況設定は、久しぶりに貫録を示したものと言えるが、展開の部分には誤算がある。無実にさいなまれる一群を描こうとしながら、実は最後まで犯人を明かさぬため、誰が無実なのか分からない。それでもこの辺が動きに富んでいればよかったが、劇的な場面もなく、後半は飛ばしながら読む以外にはなくなるほど退屈であった。

No.6 5点 終りなき夜に生れつく- アガサ・クリスティー 2020/09/05 18:52
切なくも美しい、悲恋の物語が、恐ろしい真相に反転する。
犯行の状況が著しく具体性を欠いている。フェアプレイの問題を度外視し、物語の構図の鮮やかな反転を試みた作品。

No.5 4点 スリーピング・マーダー- アガサ・クリスティー 2020/05/04 18:10
事件の起きた系列を順序を入れ替えて物語を説明している。時計の描写だとか、時間が後からわかるような手掛かりがない。これでは読者には推理しようがない。これは、アンフェアです。
犯人は、周りに誰もいないにもかかわらず、殺人現場に初めてきた振りをする。そんなことはあり得ない。

No.4 10点 ナイルに死す- アガサ・クリスティー 2020/03/22 20:29
ナイル河というスケールの大きな背景のもと、ドラマチックな人間関係が描かれる。予告殺人に、容疑者の完璧なアリバイ。殺人事件が起きるまでにかなりの頁が割かれ、そこにすべての伏線が張られている。
クリスティー初期作品はトリック重視のものが多かったが、この作品の頃から、人間ドラマに重点を置く作風になる。とはいえ、本作のアリバイトリックは見事だ。
読者自身が、容疑者のアリバイを最も知っている仕組みなので、よほど丁寧に読んでいないと、見破ることは難しいでしょう。

No.3 10点 そして誰もいなくなった- アガサ・クリスティー 2020/03/02 18:27
外部と連絡が取れない孤島や雪山の山荘などに、見知らぬ男女が集まり、次々と殺されていく、というのが孤島ものの基本パターンだが、これは本作によって確立された。
映画的なカットバックが多用され、テンポが早く一気に読める。犯人探しなどしている暇もない。常識的には最後に残った一人が犯人なのだが、そう単純ではない。
ミステリには連続殺人がつきものだが、三日間に十人も殺されるのは前代未聞であろう。だが、ひとつひとつの殺人には密室トリックがあるわけでもないし、作品全体を貫く奇抜なトリックもないし、クリスティー作品でお馴染みのポアロやミス・マープルといった名探偵も登場しない。
大胆な着想と、読者をとらえて離さない筆力によって支えられた名作である。

No.2 5点 アクロイド殺し- アガサ・クリスティー 2020/03/01 16:06
面白いが大きな不満があるのも確か。
いきなり私という人物の言行になっていて、その言行が客観的に正しいかどうかという前提が明確になっていない。
手記を書くという動機づけが曖昧なのが弱い。

No.1 6点 ABC殺人事件- アガサ・クリスティー 2020/03/01 16:03
ABCという法則にのっとって殺人が行われる。でもそこには別の意味があったという答えを聞いてみると、やはり不自然すぎる。
面白いけれど不自然だと考えた推理作家達が、後々このパターンを改良していった。自分ならこうする、という風に創作意欲をかき立てる部分をミステリ・シーンに投げ込んだという意味では重要な作品だと思う。

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◇・・さん
ひとこと
若い頃に海外の有名古典は、ほとんど読んだ。今現在は、斜め読みというかたちで、再読している。
歴史的価値は、多少考慮しながら採点したいと思いいます。
好きな作家
クリスティー
採点傾向
平均点: 6.03点   採点数: 181件
採点の多い作家(TOP10)
エラリイ・クイーン(7)
アガサ・クリスティー(7)
ジョン・ディクスン・カー(5)
スティーヴン・キング(4)
ルース・レンデル(3)
フェルディナント・フォン・シーラッハ(2)
ジョン・ハート(2)
G・K・チェスタトン(2)
デニス・ルヘイン(2)
パトリシア・ハイスミス(2)