皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
mediocrityさん |
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平均点: 6.23点 | 書評数: 286件 |
No.18 | 6点 | 夜間飛行(ムーンライト)殺人事件- 西村京太郎 | 2021/04/09 02:18 |
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ただの新婚旅行客の蒸発かと思いきや、どんどんスケールが大きくなって来て社会派ミステリの様相を呈してくる。話を広げるだけ広げて投げ出し気味に終わるが、今回はそれほど気にならず強引に寄り倒しての勝利。同じページ数でも最近の著者の本の3倍は内容が詰まっている力作。 |
No.17 | 5点 | 終着駅殺人事件- 西村京太郎 | 2021/04/01 02:46 |
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アリバイ崩し部分は、今までに読んだ氏の他作品に比べるといまひとつ。
ゆうづる7号のアリバイを5号で確かめるとか、第三者の作為があったとしてもお粗末すぎる。 上野駅の毒殺の方のトリックも、何かすごいアリバイ崩しがあるのかと思ったらつまらない真相だし、青森のホテル密室殺人、青森駅の待合室殺人も全然面白くない。 事件のトリガーとなってしまったミスは確かに衝撃的で、物語の締めくくりの手紙は強烈な余韻を残す。 |
No.16 | 2点 | 特急「あずさ」(アリバイ・トレイン)殺人事件- 西村京太郎 | 2021/01/29 06:59 |
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1986年出版。氏のこの時期の作品は、粗はあるが趣向は面白いという作品が多い気がする。
この作品もつかみは面白いのだが、提示した謎を消化しきれているとは全く思えないし、後半のストーリー運びも適当すぎる。後半盛り上がるから2時間ドラマ用にはいいんだろうけど。 純粋なアリバイ崩しものだと思ったのに・・・ |
No.15 | 7点 | 消えたタンカー- 西村京太郎 | 2020/02/23 20:20 |
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欠点を挙げろと言われればいくらでも挙げられそうだが、スケールのバカでかさと面白さで細かいことなどどうでも良くなってしまう力技の一冊。十津川警部補の理路整然とした推理が、展開の大味さとミスマッチで良かったので7点で。 |
No.14 | 4点 | 特急さくら殺人事件- 西村京太郎 | 2019/12/19 02:09 |
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ストーリーはごく一般的な2時間ドラマという感じ。メイントリックでない方のアリバイトリックはなかなか良く出来ていると思う。
ただ、一番の見どころと思われた死体消失トリックが、鉄道マニアしかわからない部類の解決だったのが残念。この種のトリックをどこまで許容できるかは人によるだろうから、評価する人もいるだろうけど。 |
No.13 | 6点 | 四国連絡特急殺人事件- 西村京太郎 | 2019/12/17 05:26 |
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トラベルミステリとしては長編10作目の初期先品とのこと。
アリバイ崩しはおまけ程度でトリックといえるほどの物でもない。ただ6件の殺人事件の背景は見た目より複雑で、謎解きはなかなか面白い。殊に最後の女性殺人の真相が良い。文章は既に書き散らかしている感がある。 |
No.12 | 1点 | 岐阜羽島駅25時- 西村京太郎 | 2019/10/29 05:04 |
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どこかでトンデモ本として推薦?されていたので読んでみた。
色々と滅茶苦茶で突っ込みどころが300か所くらいあるが、最終章は想像をはるかに超えるトンデモぶりだった。最後の3行には唖然。 どういう理由でこんな本ができてしまったのかが最大のミステリだ。 |
No.11 | 5点 | 殺人はサヨナラ列車で- 西村京太郎 | 2019/09/05 02:30 |
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昭和63年の短編集。十津川班はほとんど登場しない。
①『殺人はサヨナラ列車で』 これは推理小説ではないかな。表題作だが一番見どころがない。 ②『薔薇の殺人』 意表を突かれた。薔薇だが薔薇じゃないな。 ③『秘密を売る男』 これも推理小説という感じではない。長編にすればよかったのに。 ④『第六病棟の殺人』 精神病棟で起こった殺人。この亀井刑事はカメさんなのだろうか。 なんだか色んな意味で笑いどころの多い作品。 ⑤『狙撃者の部屋 』 小品の割には見どころが多いのではないでしょうか。 |
No.10 | 2点 | 十津川警部 怒りと悲しみのしなの鉄道- 西村京太郎 | 2019/09/05 02:28 |
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この作家の本はこれまでに9冊書評しているが、全て昭和に書かれたものだった。今回は今年出版の新書本である。
話は警視総監誘拐という所から始まる。相変わらず壮大な導入部だ。その後は推敲とか一切なしで口述したものをそのまま文字にしたという感じ。昔、出口王仁三郎が一晩で数百首の短歌を詠んだとかいう逸話を思い出した。ここまで文章を整えようとしていない本は初めて読んだかもしれない。 それでも中盤は一応ストーリーの破綻はなく進む。これだけ量産してると他の本と内容が混ざったりしそうだが本書はそれはない。連載のためか、章初めで、前回までのおさらいのような文章が入る。この部分は、なんだか作者がストーリーを思い出すために書いているとしか思えない。こちらは同じことを2回、3回読まされてうんざりだ。 で、連載も最終回。残りページ数がなくなり、一応の推理はしたものの解決を投げ出したままで終わってしまう。 来年90歳の老人がいまだに年間10冊ほど書いているんだから、このくらいのレベルの作品になるのは当然であろう。東野さんの『超高齢化社会殺人事件』が90歳の作家でしたよね。あれを考えると、まだ一応読める作品になってるのはすごいのかもしれない。 |
No.9 | 6点 | 寝台特急(ブルートレイン)八分停車- 西村京太郎 | 2019/08/26 02:35 |
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2時間ドラマ原作のトラベルミステリとしてはかなり上質な部類だと思う。普通の推理小説としてもまずまず。
相変わらず話のつかみはうまい。犯人はわかりやすいが、埋まりそうなのに最後のピースがなかなか埋まらないのが良い。話のオチもユーモアがあって楽しい。 マイナス点は、頭脳明晰な医者が最後にあんな性急な行動をするのは解せないこと。まあ、ああでもしなければ話が終わらないから、仕方ないと言えば仕方ないんだけど。 |
No.8 | 6点 | 寝台特急(ブルートレイン)殺人事件- 西村京太郎 | 2019/08/09 23:52 |
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『北帰行殺人事件』の解説で鮎川哲也氏が興味深いことを書いていた。
鮎川氏が鉄道物のアンソロジーを組もうと思って西村氏の作品も入れようとした。ところが片っ端から西村氏の短編を読んだが鉄道物が一編たりともない。本人にその旨を伝えたら数年後、本作を皮切りに怒涛の如く量産し始めた。だから西村氏の著作が鉄道物ばかりになったのは自分が煽ったせいかもしれない、みたいな内容であった。 ということで鉄道物の記念すべき1作目である。 序盤は非常に面白い。こういう通常起こりえないような事態を設定するのがうまいですね、この方。中盤で一応の謎解きがなされるが、これもなかなかいい。ただ溺死の時間差の謎なんかはもっと面白く書けたんじゃないかとは思う。トリックのキモなのにあっさりしすぎな気がした。 終盤はまさにサスペンス、事件が起こるまでの臨場感はすばらしい。西明石駅に駅員を立たせて、犯人の数を知らせる所なんかは映像が目に浮かぶ。ただ事件が起こった後、急激に話がつまらなくなってしまったのは残念。中盤で謎を解明しすぎたのと、事件の動機が社会派のベタな政治ネタだったのが原因だろうか。 |
No.7 | 6点 | 北帰行殺人事件- 西村京太郎 | 2019/06/30 04:03 |
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前に読んだ『下り特急「富士」(ラブ・トレイン)殺人事件』の前日談。非常に読み応えのある長編サスペンス。映像にしたら映えそう。普通の2時間ドラマじゃもったいないから、改変時期の長時間スペシャルバージョン用だな。(実際2度放送されていて2回目はそうだったらしい。)
アリバイ崩しは最後の方に出てくるがおまけ程度。なんかそこだけ取って付けたような感じで、むしろなかった方が良かったような気がする。この方は細かい鉄道ネタより、サスペンスで魅せている本の方が読みがいがあっていい。 |
No.6 | 4点 | 寝台急行「天の川」殺人事件- 西村京太郎 | 2019/06/13 03:45 |
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1時間15分で読了。東京駅で買って新幹線に乗ったら名古屋に着く前に読み終わってしまうお手軽本。
先日読んだ『寝台急行「銀河」殺人事件』はそれなりに楽しかったが本作はあまり面白くなかった。ミステリらしさは車両ネタ1つだけ。ただし文章と構成はこちらの方が落ち着いている。 途中、十津川がやたらと容疑者にはったりを掛けるが、やり方が強引すぎて笑ってしまった。 |
No.5 | 5点 | 寝台急行「銀河」殺人事件- 西村京太郎 | 2019/06/01 02:53 |
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全7章。
無駄な描写ほとんどなしに話がどんどん進む。それにしても展開の速いこと。「尾行している私立探偵はいったい何者なのだ?」と言った2ページ後にもう名前特定、更に2ページ後に探偵事務所で殺されているのを発見というくだりは、さすがに高速すぎて笑ってしまった。 結構な量の謎を振りまくが、6章を終わった段階ではまだ真相は全くわかっていない。謎解きも超高速、最後は唐突な終わり方。 いかにも量産期に入ってからの作品という感じで、文章も構成もかなり雑に感じた。密室?トリックもアリバイトリックも大したことない。ただ点数付けろと言われたら5点(まぁ楽しめた)になってしまうのがベストセラー作家たる所以か。実際短時間で読めて「まぁ楽しめた」から。 |
No.4 | 5点 | L特急踊り子号殺人事件- 西村京太郎 | 2019/05/05 00:12 |
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70~90ページ程度の短編3作。2作目はイマイチ、他の2作は水準か。
『L特急踊り子号殺人事件』 犯人と一緒にいたという証言者と最低でも30分程度離れていたことになり、その部分はちょっと無理があると思った。それを除けば短編の割に工夫が多くて面白い。 『特急しらさぎ殺人事件』 事件が起こって淡々と捜査が進むだけ。正直面白くない。デッドセクションなる物の存在を知れたのが一番の収穫か。 『振り子電車殺人事件』 有栖川氏の『やけた線路の上の死体』と似たネタ。あちらの方が話は面白いけど、トリックのフィージビリティはこちらが上だ。 |
No.3 | 4点 | 雷鳥九号(サスペンス・トレイン)殺人事件- 西村京太郎 | 2019/03/15 02:10 |
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鉄道ミステリばかりの短編5編
『「雷鳥九号」殺人事件』 話も終盤に差し掛かろうとする辺り、場所は法廷。弁護士と医者が以下のようなやりとりをする。 「解剖して、死亡時刻はわかりましたか?」 「死後一ヶ月も経っているので、正確にはいえませんが、ほぼ三月十二日の午前九時から十時の間です」 いやいや、特定しすぎだろ・・・ こんな無茶な設定にしたのは、死亡推定時刻をこの1時間にしないと話が成り立たないからである。 トリック自体はかなり派手。ただし危なっかしい。ネタバレになるので細かく言えないが、時速90kmだとして、タイミングが1秒ずれたら25mずれるんだから。あ、ずれないでド真ん中に落ちるのもダメだ。 『幻の特急を見た』 電車の種類さえ変えれば今でも映像化できそう。でも2時間ドラマじゃ持たないか。 『急行「だいせん」殺人事件』 これはトリックというレベルに達していない。時刻表を見れば5秒で解ける。 『殺人は食堂車で』 犯人の下調べが杜撰すぎるし、結果的に事件になったのも偶然すぎる。 『夜行列車「日本海」の謎』 読者にはまず解けないタイプのトリックというかむしろトリビア。 ストーリー展開は結構おもしろい(特に『幻の特急を見た』)のだが、ミステリとしては全体的にイマイチ。 |
No.2 | 7点 | 七人の証人- 西村京太郎 | 2019/03/02 04:28 |
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よくこんな異常な設定を思いつくもんだ。半分あたりまでは文句なく楽しく読めた。
途中から話が停滞気味になってグダグダしてくるが、なかば強引に終了。 帰りの合図が何なのか知りたかったんだけど・・・ 気になった点は、1年前の殺人の動機が弱い気がするのと、いくら喉が渇いていたからと言ってあの状況で果物屋に入るかということ。 前半9点、後半5点てことで |
No.1 | 7点 | 下り特急「富士」(ラブ・トレイン)殺人事件- 西村京太郎 | 2019/02/28 00:23 |
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最後に、橋本は、霊安室に、足を運んだ。
読みにくい!読点の多さがよくネタにされてるのは知ってたけどここまでとは。慣れるまでの冒頭30ページくらいは内容が頭に入ってこなかった。気にならなくなると、字数が少ない分、350ページの長編と言っても実質中編くらいの感覚で1時間半くらいで読了。 ストーリは、予想していたよりはるかに面白かった。何だか意味不明なことがどんどん起こるので、こちらもどんどん読み進めていくしかない。更によくわからない状況に陥るので頑張って付いていく。で、7割くらい読み進めてやっと十津川警部登場、そして意外な事実が明らかに・・・ 最後ちょっとドタバタするけど、無事事件解決。読後感もさわやかだ。 文章はちょっと稚拙だし、設定もちょっと?な所もあるが、読者を強引なまでにグイグイと引っ張って行く能力はすごいと思った。 |