皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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ことはさん |
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平均点: 6.28点 | 書評数: 254件 |
No.5 | 6点 | 殺人者と恐喝者- カーター・ディクスン | 2023/07/17 17:47 |
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カーにしてはめずらしく、2組のカップルがラブコメ風に描かれて、どちらの展開もなかなか楽しい。他にもH・Mの自伝の話など、楽しい話が取り込まれていて、全体的に読みやすくしあがっている。
それに、催眠術をつかった状況での事件発生の設定は、なかなかサスペンスもある。この辺はかなり好み。 ただ、メイン・トリックは、残念かな。まあ、カーにはこういったxx的なものも多いのだけど。 あの叙述については、それをメインに押し出しているようには読めないので、ファン向けの細かな拾いどころの1つと感じた。なので、フェア/アンフェアについても、重要ではないと思う。私の判断をいえばアンフェアだけど、同程度のアンフェアは、カーは、他作品でも多かった印象がある。個人的には、アンフェアでも全然問題ない。 |
No.4 | 5点 | 九人と死で十人だ- カーター・ディクスン | 2023/07/17 17:43 |
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戦時の状況が取り込まれ、カーにしてはめずらしくシリアス。そこに、カーらしい大胆な仕掛けがはいって、めずらしい読み心地だ。
とはいえ、その仕掛けも無理が大きい感じがして、私の琴線にはあまりかからず、指紋の謎にいたっては解決がすこしがっかりな感じがしたので、あまり高得点とはならず。 |
No.3 | 4点 | かくして殺人へ- カーター・ディクスン | 2023/07/17 17:41 |
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やりたいことはわかった気がするが(犯人があれなことでしょうが)、そんなに面白いとは思えなかった。
シーンとしては、映画のセットでの硫酸殺かけのように面白いシーンもあるが、ときどき入れられる撮影シーンがチグハグであったり、第二の事件の付け足し感がいつも以上だったり、全体的には、どうにも失敗作の感が拭えない。 どこまで取材したかわからないが、当時(1940)の映画撮影の雰囲気を楽しむというのは珍味なので、見どころはそれくらいかな。 |
No.2 | 8点 | 孔雀の羽根- カーター・ディクスン | 2023/07/09 01:42 |
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解決編で手がかり索引(xxページ参照)があることからもわかるように、謎解きに注力した作品。
実際、ストーリー展開も、冒頭の殺人以降、関係者の事件までの動向を少しずつ手繰っていくことに費やされて、ドタバタや怪奇趣味やラブコメ要素などのカー好みの展開は、極めて抑えられている。(カー・ファンと思われる評者にとりあげられることが少ない気がするのは、この辺が要因かも) しかし、退屈なのかというと、そんなことはなく、カーにしては珍しく、捜査の道行きを楽しめる。その中で、「被害者が急に予定を変更したのは、何があったのか?」という点が強調されていたのは、最後に実に効果的に使われる。 (この辺は、好みが分かれるところなのだろう。本サイトでも、「事件の全容が明らかになる展開はサスペンスに満ちている」、「事件に発展性がなく、ひたすら登場人物の供述を聞くだけ」といった真逆の評があって、おもしろい。私は好評価するほうですね) 手がかり索引にある手がかりだが、クイーン的な「推理を紡ぐ元とする手がかり」ではなく、カーらしい「ほら、ここに書いてあったでしょ」といった手がかりだ。真相を知ってから読み返すと、「それがあったから事件が成立したんだ」と思わせる重要な状況説明で、「なるほど」と思わされた。 ネットで評をみてみると、メインのトリックがあまり評判が良くないようなのだが、わたしは、これ、完全に盲点で、解明シーンで「そうか!」と、驚き、かつ、腑に落ちた。ここが驚けないと高い評価はできないだろうが、そんなわけで私は高評価。 |
No.1 | 7点 | プレーグ・コートの殺人- カーター・ディクスン | 2023/05/31 00:42 |
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「死と奇術師」を読んだら、カーが読みたくなって、再読。昔読んだときの印象より少し下がった。
良い点と悪い点がはっきりした作品だった。 良い点からいうと、まずはなんといっても密室のメイントリック。「気付けるかよっ!」というところはあるので推理比べには向かないが、これは印象的だよ。やっぱり記憶に残る。プロットも、フェル博士登場で空気感が変わる「チェンジ・オブ・ペース」がいいし、登場してすぐにフェル博士が提示する事件の見方が、意外かつ説得力があって見事。 でも、悪い点もいろいろ目についた。まず、これは、作品そのもののせいではないが、降霊術というのが、いまひとつ。昔読んだときは、もっとドキドキできたのだけど、今はもうのれないなぁ。時代もあると思う。昔はテレビの心霊写真特集なんかを怖がれたけど、今ならもう「加工でしょ?」となってしまう。それと、犯人の経路の件と、あの人の立ち位置は、ちょっとずるいなぁと感じた。 全体的にいえば、雰囲気、トリックの妙、ゴタゴタした展開なども含めて、カーの特徴はよくでているので、代表作にふさわしいと思う。 他、H・Mにしては、コミカルなシーンがないなと考えたとき、ふと、昔どこかのネットで読んだ分析を思い出した。 内容はこんな感じだった。 ”初期は、H・Mとフェル博士のキャラの描き分けは少なく、H・Mには怪奇な事件、フェル博士にはとらえどころのない事件をあてている。「三つの棺」から変わる。ここから、描き分けとして、H・Mはコミカルな言動が増え、フェル博士は落ち着いた言動が増える。事件もそれにあった割り振りがされる。” ”なるほど”と思ったのでおぼえている。 |