皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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糸色女少さん |
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平均点: 6.42点 | 書評数: 159件 |
No.2 | 6点 | シュレーディンガーの少女- 松崎有理 | 2023/11/17 22:28 |
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様々なディストピアにあらがう女性たちを主人公にした6編からなる短編集だが、それらのディストピアは私たちがふと思い浮かべる日常的空想を徹底したような世界だ。
命の定年がある世界を舞台にした「六十五歳デス」や、健康のためであるはずの肥満対策が極端化された「太っていたらだめですか?」には、ユーモアながら極端な適正化志向が本末転倒に陥りかねない社会への風刺が感じられる。表題作は量子力学の有名な命題を応用し、多世界解釈を巧みにエンタメ化している。 |
No.1 | 6点 | 5まで数える- 松崎有理 | 2022/11/27 23:29 |
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ある秘密のために数学ができない少年と心優しい天才数学者の幽霊が交流する表題作、動物実験が全面的に禁じられた世界で「彗星病」と呼ばれる不治の病と医師たちが命懸けで戦う「たとえわれ命死ぬとも」など、六編を収録している。
印象深いのは無知と盲信の恐ろしさだ。例えば「やつはアル・クシガイだ」。トリックをを見破る能力に長けた元奇術師・ホークアイ、世界的な科学賞を二度受賞したワイズマン博士、二人の補佐役を務めるマコトが、疑似科学バスターズとしてある殺人事件を調査する。売れないホラー作家がジョークのつもりで出したトンデモ本が、未曽有の惨劇の引き金になる。「ひとは幻想の幻想ではなく、真実の幻想を求めているんだ」というホークアイのつぶやきは忘れがたい。ポスト真実が幅を利かせる今、絶対に起こらないとは言えない話でゾッとする。次に収められている「バスターズ・ライジング」も切なく、疑似科学バスターズの物語がもっと読みたくなる。 |