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ALFAさん
平均点: 6.67点 書評数: 190件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.5 5点 時計泥棒と悪人たち- 夕木春央 2024/04/23 08:42
大正シリーズ第三弾。
本格のミステリー短編集と意気込まずに、時代設定とシリーズキャラを楽しむつもりで読めばいい。
ただそれにしてはこのキャラ、それほど魅力的でもない。元泥棒紳士の蓮野はまあいいとしても、主人公たる画家の井口は影が薄い。脇役の晴海氏に負けている。
「サーカスから来た執達吏」の『ユリ・鞠』コンビで脱力感満載の短編を読みたいものだ。
第一話「加右衛門氏の美術館」はチェスタートン張りの逆説が面白い。

No.4 8点 十戒- 夕木春央 2024/04/18 17:24
大ヒット作に続く「旧約聖書」シリーズ第二作。それにしてもクローズドサークル二連発とは大胆な。

今回は登場人物の描き分けも的確で、落ち着いて展開を味わえる。
終盤、緻密なロジックで開示されたあげくの反転は見事。こちらは情が絡まない分、好ましい。
そして「・・・いっつも、自分が助かることしか考えてないかも。」ウーンこの趣向、嫌いではない・・・
考えようによっては今回の方が大技かも。
曖昧な書きようだが、そういえば何かが奥歯に・・・  ウ~ン高評価。

No.3 5点 サロメの断頭台- 夕木春央 2024/04/14 15:24
シリーズ最新作。
精緻なロジックが張り巡らされているが、そもそもの謎、つまり「誰が何のために贋作を描いたのか。」の真相があまりに貧弱。
そのためせっかくの多彩でドラマチックなトピックが活きてこない。
これでは富豪ロデウィック氏も登場のしがいがないだろう。

大技一発の「方舟」や軽快なテンポの「サーカスから来た執達吏」に比べると今一つ締まりのない読後感になってしまった。

No.2 8点 サーカスから来た執達吏- 夕木春央 2024/04/10 09:42
旧約聖書シリーズと交互に発表される大正シリーズの快作。

デフォルト状態の子爵家に乗り込んだ借金取りのユリ子と、担保として身柄を拘束された令嬢鞠子との冒険ミステリー。
元サーカス少女ユリ子のキャラ造形がほとんど特殊設定レベルで愉快。
立派な黒馬の名前が「かつよ」だったり、「こんにゃくが入ってます」の置き手紙(読んでのお楽しみ)など笑いのツボもたくさんあるが、本筋はちゃんとした乱歩風味のミステリー。
ただ、時効狙いの「逆監禁」はいささか強引かな。

ミステリーも、トリックがどうのロジックがどうの、という前にまずは豊かな物語として楽しめるのが肝心。
ユリ子鞠子コンビの続編を期待!!

No.1 5点 方舟- 夕木春央 2023/01/28 13:57
ロジックの美しいミステリ。

本格ミステリと見せかけたサスペンスが本質か。
いかにもなクローズドサークル、しかもタイムリミット付き。いかにもな殺しの手口。いかにもな探偵。そして明かされるいかにもな動機・・・

こうして作者は我々の思考を本格ミステリのフレームにはめておいて、衝撃のエンディングをかます。
明かされた真の動機はシンプルかつ根源的なもの。犯人は途中はっきりと口にしている。
犯人の最後の告白も、状況を考えるとエグイ。

最大の減点要素は登場人物が記号的であること。その割に最後の大技には強烈な「情」が絡んでいること。全体が豊潤な物語性に支えられていれば申し分なかったが、すべてはラストの大ネタのための長い前振りとなってしまった。
それでもなかなか読み応えのある作品です。

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ALFAさん
ひとこと
物理的な合理性、心理的な整合性、生き生きとした情景描写などがバランスした作品が好きです。
好きな作家
アガサ クリスティー、クリスティアナ ブランド、連城三紀彦、G.K.チェスタトン
採点傾向
平均点: 6.67点   採点数: 190件
採点の多い作家(TOP10)
宮部みゆき(23)
アガサ・クリスティー(21)
松本清張(15)
三津田信三(14)
連城三紀彦(14)
横溝正史(7)
青山文平(7)
G・K・チェスタトン(5)
夕木春央(5)
北森鴻(4)