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ALFAさん
平均点: 6.70点 書評数: 160件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.4 6点 桜宵- 北森鴻 2023/07/19 09:12
香菜里屋シリーズ第2作。

謎を肴に酒を飲むといった風情の短編5話。謎が次第に重くダークになっていく。
読み応えがあるのは第5話「約束」。
辛口の真相はいいが開示がやや説明的になったのが惜しい。よりドラマチックなエンディングが欲しかった。

No.3 7点 香菜里屋を知っていますか- 北森鴻 2022/04/14 17:15
お気に入りのバーは自分の財産だと思っているので、この世界観は大好き。香菜里屋にも香月にも行ってみたいなあ。
シリーズ最終巻というのは承知でこれを先に読んでしまった。そのうちさかのぼって第一巻から読んでいくか。

本格的な謎解きではなく、謎を肴に酒を飲むといった風情。

お気に入りは「ラストマティーニ」。老バーテンダーが作る完璧なクラシックマティーニがその日に限って不出来だったのは?・・・
マティーニだけあって辛口で逆説に満ちた動機がいい。
私はひとひねり前のケレン味たっぷりな動機でもいいとは思うが・・・

ただし谷川への香月の「頼むよ、爺さん。少し濃いめに」はあり得ない。
客として入っても同業者にこんな言葉遣いはしない。まして相手が先輩バーマンなら尚更。

シリーズ最終巻としてのエンディングも味わい深い。

No.2 7点 虚栄の肖像- 北森鴻 2022/04/13 13:32
「深淵のガランス」に続く、天才的な絵画修復師五月恭壱(さつききょういち)を主人公とする第二作。
主人公のキャラも、絵画修復や絵画取引、贋作問題といったほの暗い世界観も大変に魅力的。

中編三篇の構成だが、それぞれにプロットの工夫があって変化はついている。
それでも同工異曲に見えてしまうのは、登場人物が重なるためだろう。主人公とその相棒はいいが、周辺人物や仕事の依頼人まで同じでは世界が拡がらない。
謎の中国人富豪や大物政治家などはごくたまに登場させてこそ効果的だったと思うが・・・

作者が若くして亡くなったのは残念。ダークで独特の輝きを放つ世界をもっと見せてほしかったなあ。

No.1 8点 深淵のガランス- 北森鴻 2022/04/09 11:14
表題作のみの評価

天才的な絵画修復師を主人公にしたサスペンス3編。美術や絵画修復の蘊蓄がたっぷりで独特の世界観が楽しい。(興味があれば)
画商たちによる怪しげな絵画取引や贋作問題などは松本清張の作品を思い起こさせる。
主人公のキャラや物言いはハードボイルド風でいささか非日常的だが、濃い設定のためか不自然にはならない。
お気に入りは表題作「深淵のガランス」、辛口のエンディングが効いた上質のサスペンス。サスペンスに村山槐多が出てくるなんて世の中も変わったものだ。「血色夢」はハードボイルド風味、「凍月」は薄味だが読後感すっきり。

それにしてもこれだけの知識、作者もお勉強大変だろうなあ

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ALFAさん
ひとこと
物理的な合理性、心理的な整合性、生き生きとした情景描写などがバランスした作品が好きです。
好きな作家
アガサ クリスティー、クリスティアナ ブランド、連城三紀彦、G.K.チェスタトン
採点傾向
平均点: 6.70点   採点数: 160件
採点の多い作家(TOP10)
宮部みゆき(23)
アガサ・クリスティー(19)
松本清張(15)
連城三紀彦(14)
三津田信三(12)
横溝正史(7)
青山文平(7)
G・K・チェスタトン(5)
北森鴻(4)
東野圭吾(3)