皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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ALFAさん |
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| 平均点: 6.64点 | 書評数: 255件 |
| No.6 | 7点 | 闇の歯車- 藤沢周平 | 2026/02/05 08:17 |
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| 一度も失敗したことのない押し込み強盗の親玉と、集められたワケあり素人の4人。
なにやら近年の闇バイト強盗を思わせる設定だが書かれたのは昭和。時代を先取りした藤沢周平の着想がすごい。 小気味のいいカットバックやセリフ回しで4人それぞれのの物語が展開する。 親玉と4人各々にビターエンドとハッピーエンドが用意されていて読後感はいい。 楽しい時代物ハードボイルド。 |
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| No.5 | 7点 | 用心棒日月抄 凶刃- 藤沢周平 | 2026/01/31 09:12 |
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| シリーズ第4作にして完結編。
1~3作が書かれたのは1980年前後。初期の暗い作風から一転、快活なストーリーで一躍人気作家に。 そして本作は約10年の間をおいての発表。作中では20年近い歳月が流れ、イケメン用心棒青江も今や下腹のせり出しを気にする40代半ばの重職藩士。 今回は休職する同僚の代役で半年の江戸赴任。軽い役目のはずが別の密命を帯びることに・・・ 愛着のある初期のヒットシリーズに、円熟期の作者が決着をつけた格好となる。巧みなカットバックや地の文から続くセリフなど、藤沢周平らしい職人芸が楽しめる。ミステリー度も結構高い。 懐かしい脇役たち、用心棒仲間の細谷、口入れ屋の相模屋、そして因縁浅からぬ佐知それぞれが収まるべきところに収まって、まさにグランドファイナル。 |
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| No.4 | 7点 | 用心棒日月抄- 藤沢周平 | 2026/01/25 08:00 |
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| 藤沢周平は中高年男性にファンが多いという。さもあろう、作中の武士達はナリこそ二本差しだが心情は宮仕えのサラリーマンそのもの。実際、藩に仕える武士は企業戦士と重なるところが多かったんだろう。
ワケあって脱藩し、腕に覚えの剣で用心棒稼業となった主人公青江も例外ではない。 剣を交える場面こそ劇画並みの強烈さだが、本人はアウトローからはほど遠いイケメンで一本気な青年。そこそこ世慣れて、長屋の住人や派遣先を紹介する口入屋との距離感も絶妙。現代ならゴミ出しもちゃんとしただろう。 連作短編形式だがその本質は長編。有名な史実を巧みに織り込んだ快作エンタメ時代小説である。 サスペンス風味だが謎解きは余りないので評点は控えめに。 |
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| No.3 | 6点 | 暗殺の年輪- 藤沢周平 | 2026/01/15 10:17 |
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| デビュー作「溟い海」、直木賞作「暗殺の年輪」を含む初期の5編。
謎解き1編、剣豪もの1編、サスペンス3編。 印象に残るのは、葛飾北斎晩年のうねるような情念を巧みな構成で描いた「溟い海」と、情感豊かなサスペンス「囮」。 後年のしみじみとした雰囲気とはひと味違うノワールな味わいがいい。 いずれも直木賞候補になっている。 |
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| No.2 | 6点 | 秘太刀馬の骨- 藤沢周平 | 2026/01/14 08:16 |
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| 北国の藩で筆頭家老が暗殺された。太刀筋は秘太刀とされる「馬の骨」。
六年後、この秘太刀の遣い手の探索を命じられた半十郎と銀次郎は、剣豪一人一人と立ち会うことに・・・ やがて大きな陰謀が立ち現れる。 秘太刀の探索と大きな陰謀との繋がりが今一つすっきりしないが、冒険活劇としては多いに楽しめる。 |
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| No.1 | 9点 | 三屋清左衛門残日録- 藤沢周平 | 2026/01/06 08:02 |
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| 時代ミステリーの名作にもかかわらずこれまで書評がないのは、作者が人情時代小説の大家と見られているせいか。
15話からなる連作短編形式だが、その本質は長編。 主人公は藩の重職「用人」を辞して家督を譲った三屋清左衛門。楽隠居のはずが絶妙な立場を見込んで様々な相談事が持ち込まれる。 慎重な扱いを要する事件や因縁話を探るうちに不穏な気配が見えかくれし、やがて藩の存続を揺るがす凶々しい企みが明らかに・・・ 相棒は幼なじみで現役の町奉行、佐伯熊太。「静」の清左衛門、「動」の熊太の名コンビ。 北国の季節の移り変わり、老いの心情、複雑な謎解きが端正な楷書のような文体で綴られる。 藤沢周平は、ミステリーのお約束である読者向けの謎解きが少なく人情話が多いからピュアなミステリーファンには敬遠されそうだが、この作品はバランスがいい。 何度かドラマ化されているが、初老の仲代達也が懐かしい。濃い芸で佐伯熊太を演じた財津一郎もはまり役。 |
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