皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
風桜青紫さん |
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平均点: 5.62点 | 書評数: 290件 |
No.9 | 6点 | NECK- 舞城王太郎 | 2016/01/18 00:40 |
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「a story」のモモちゃんがなんかかわいい。探偵目指したがるのはともかく、綾辻行人と笠井潔にあこがれるんかい。普通にぶん殴られてるしwww。あとノジャノジャがきれいなやつすぎて笑えてくる。ジャワなんとか神はどうしたんだお前。ああ、てか、マリック生きてる。いいなあ、この嫌な刑事ぶり。なんか心が暖かくなった。トリックはどこかで見たことがあるあれがさらに大袈裟になった感じ。この部分などはもうおはなしのパーツのひとつということで(笑)。「the original」のドタバタぶりにも笑わせてもらった。この親近感と理不尽さからくるエグさこそ舞城だなあ。映像トリックもなんじゃこりゃという感じだが、うまくオチがついていてよかった。というか舞城は普通(?)の筋道の話を作る能力もあるのね。当然っちゃ当然だけど。 |
No.8 | 8点 | ディスコ探偵水曜日- 舞城王太郎 | 2016/01/17 22:14 |
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森や流水がルーツになっているゆえか、メフィスト系の作家は話を大袈裟にするのが好きらしく、ときには設定が行きすぎて白けてしまうことも少なくない。しかしまあ、ここまで大袈裟にすることに全力投球してしまえば傑作。舞城作品の主役の総出演や、あまりにもスケールが大きい舞台背景もそうだが、ここまで惜しみなくアイデアを乱れうちしてくるとは。これを超える舞城作品は果たしてでるのかな……(笑)。 |
No.7 | 8点 | スクールアタック・シンドローム- 舞城王太郎 | 2016/01/17 21:59 |
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「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」は舞城の短編でも屈指のインパクト。「人間の根っこはどれも欲望やで!」なんてなんとも月並な言葉だけども、この作品において主人公たちを動かしてるのはまさしくそれだからなあ……。出だしからソマリアを流れで殺しちゃうし、智春となんか合体ひまくってるし、淳一をぼこぼこにしたところでやりきれないわけです。ああ、感想がむつかしい。表題作もトトロも面白かったし、舞城の短編集では一番充実しているかと思います(支離滅裂)。 |
No.6 | 6点 | 山ん中の獅見朋成雄 - 舞城王太郎 | 2016/01/17 21:28 |
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人肉食をなんともいきいきと描いてしまうノリはあっぱれ。なんだか食の論争(?)を投げやりにやらせてさっさと終わらせてしまうノリは釈然としなかったが、楽しめて読めたので6点。ところでこの作品のウサギちゃんは可愛い顔ということになってるけど、『煙か土か食い物』ではちょいブサだったような……? しかしまあ、ルンババが何度も死んでは蘇るようなこの世界にそんな細かい突っ込みは野暮だろう。同一人物しゃないのか、四郎がすごく面食いかのどっちかなんでしょう。 |
No.5 | 7点 | 九十九十九- 舞城王太郎 | 2016/01/17 21:15 |
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ふざけたトリックと、流水大説のパロディの数々に笑いが止まらなかった。とにかく流水の扱いがひどい。「もう殺してこの清涼院流水!」ってwwww。と思ったら流水本人が元気に登場するし、JDCがトンチキ集団だし、人がどんどん死んでいくし、ていうか流水死んだwww。わちゃわちゃやってるけれども、流水大説の本質をよく捕らえていて、さらにそれを作品の面白さにつなげている過程が見事。まさしく「流水が死んだ!」。 |
No.4 | 5点 | 阿修羅ガール- 舞城王太郎 | 2016/01/16 02:27 |
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桂のキャラクター性と暴走っぷりで十分楽しめるけれども、後半の幻想仕立て(?)なシーンかが鼻についた。どうも投げやりで、舞城が自分の描写技術を知らしめるために挟んだように思える。果たして何の意味があったのだろう。ここがややに興ざめだったのだが、まあ、三島賞をとったあたり、選考委員へのアピールとしては成功したのかもしれない(TELLが怒ってたけども)。しかしもう少し話として面白く落としてほしかったところ。 |
No.3 | 7点 | 熊の場所- 舞城王太郎 | 2016/01/16 02:19 |
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インパクトのある語りやエピソードで読者をひきつけるのは優れた小説に必要不可欠な要素だろうが、舞城は短編においてもそのことをよく心得ている。この文体にしてもそれを違和感なく演出するための工夫のひとつだといえるし、短編においてもそのあたりのディシプリンが遺憾なく発揮されている。特に『バットマン』はユーモラスな出だしが興味をひきつけると同時に、その馬鹿馬鹿しさがバットマン自身の悲壮っぷりを際立たせる構成になっている。『熊の場所』における猫の尻尾だとか、『ビコーン!』の経血ベッドインも同様。笑いと恐怖というのは紙一重なのです。良くできた短編集。 |
No.2 | 7点 | 世界は密室でできている。- 舞城王太郎 | 2016/01/16 01:57 |
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乱れうちのように放たれた伏線が次から次へ流れるようにさっさと回収されていく有り様は圧巻。作品のバランスは『煙か土か食い物』より上じゃないだろうか。プロットはハチャメチャに見せかけながらも、しっかりと裏打ちされた計算が垣間見える。印象的なエピソードひとつひとつをしっかりルンババとゆきおの関係(友情?)に結びつかせる手腕は見事。ゆきおがルンババ親父をぶん殴るころには、すっかり読むほうもルンババの味方になってしまっていることに気づかされる。舞城っていえばルンババのイメージだけど、主役なのはこの作品ぐらいなのがね……。もう他に書きようがないだろうけど。 |
No.1 | 7点 | 煙か土か食い物- 舞城王太郎 | 2016/01/16 01:43 |
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破天荒な見た目とは裏腹に、なんとも作者の苦労が見えてくる作品。この筆致で話を通すためには当然ミステリーとしては必要不可欠の情景描写を省略しなくてはならないし、さらに言えば会話の歯切れをよくするため、いかにもわざとらしい台詞をはさむわけにもいかない。とうぜん本格ミステリ的な伏線は張れないため、謎解きに関してもこのような壁当てキャッチボール的構成になってしまう。しかし、本格的な構造を捨ててまで、演出される筆致と細部描写の面白さは作品ひとつを成立させるに足るもの。二郎がパパンに殴られるシーンひとつとってもわかるが、なんとも痛みが鮮明で、その場の人物の悲壮感が伝わってくる。ありふれた光景でもここまで鮮烈に描写できれば、作中の出来事がなんとも読者の肌にせまってくる。情景描写をしないことが逆に説明過多の作品よりインパクトを残し、かつリーダビリティを上げるわけである。全体を通して見ればハチャメチャメチャな話運びであってもきちんと作品が成立するあたり、舞城自身が小説の面白さに自覚的である印だろう。 |