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ロマンさん
平均点: 8.08点 書評数: 177件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.4 8点 はなれわざ- クリスチアナ・ブランド 2015/10/22 21:24
スコットランドヤードのコックリル警部が休暇でイタリア近郊の某国観光ツアーに参加するも、殺人事件が起きる。まさに「はなれわざ」。トリックの大胆さもさることながら、この綱渡りのように危うい欺瞞を成立させた作者の手際に舌を巻いた。伏線とミスディレクションの配置が芸術的で、特に作中人物の“ある属性”が真犯人から嫌疑を逸らす役割と真犯人を暴露する役割の双方を時間差で果たす趣向には感動…

No.3 8点 ジェゼベルの死- クリスチアナ・ブランド 2015/10/20 20:01
舞台という衆人環視の密室殺人に対しこれでもかと仮説をぶつけては事実が跳ね返す堅牢な謎のつくり。事件の中で容疑者達の隠してきた一面が露わにされていく追い込み方がえげつない。終盤の容疑者全員の自白という超絶展開から推理とその崩壊の連続はクラクラするほど。真実の手前まで明かしつつ否定させるミスディレクション、象徴だったものに意味をもたらす大胆すぎるあれの使い方、極限まで作りこまれたパズラーミステリー。

No.2 9点 招かれざる客たちのビュッフェ- クリスチアナ・ブランド 2015/10/20 15:01
皮肉の利いたブラックなオチと冴え渡るどんでん返し、本角度抜群の多重推理と様々な趣向の名品が楽しめるブランドの傑作短編集。それにしても短いページ数でもとことん魅せるプロット作りが巧い作家で、ベスト級の短編ばかり。「カップの中の毒」「スコットランドの姪」「ジャケット」「メリーゴーラウンド」「この家に祝福あれ」などが大好きだが、個人的ベストは細かな伏線と推理の捻りが利いた多重推理の傑作二編「婚姻飛翔」「ジェミニー・クリケット事件」。ブランドの凄さを再認識。

No.1 9点 緑は危険- クリスチアナ・ブランド 2015/10/20 14:08
手術の最中に死んだ郵便配達夫、その事情を知っていた看護師の殺害──メスによる第一の刺傷で即死であったにもかかわらず、なぜ犯人は被害者に手術着を着せて、もう一度刺したのか…。中盤を過ぎたあたりで巧妙なトリックはコックリル警部によって解明される。が、そこから「限定された容疑者たち」が犯行についてディスカッションをし、様々な仮説が飛び交い、それらが否定され、二転三転するブランドならではの展開に──コックリルは容疑者たちに心理戦を仕掛ける、が、それが「容疑者たちの絆」を生じさせ、思いもよらぬ結末へ。傑作。

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