海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!
ログインもしくはアカウント登録してください。

斎藤警部さん
平均点: 6.69点 書評数: 1482件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.41 7点 犯罪総合大学- 佐野洋 2026/07/03 00:15
“彼女が、五反田署に出向いたのは、もう少し陰険な目的のためだったのだ。”

某作 ・・・二度も足許すくわれた! このミスディレクションは狡(ズル)い! 思うに、佐野洋馴れした読者に騙しの照準定めて来たな。 この流れじゃ、◯◯を落とした◯◯はてっきり、甘く切ないアレだと思うよな。。 まさかの◯◯案件提示だけでも度肝を抜かれたのに、そこからああ行って、更にアレで、しまいにゃソレしちまうのかよ。。 ディープ佐野洋にぶん回された一篇。  8点

某作 ・・・ ( 前 略 )◯◯を見つけたと主張する女。 斜め上を行く展開と過去事象深堀りの末、身勝手過ぎる意外な殺人動機には虚を突かれた。 かなり奥の方から反転×反転を引っ張り出して来たな。 物語の鍵となる◯◯案件はどうにも不快だが。。 複雑な味わいの、広がりゆくエンドから目が離せない。   7点強

某作 ・・・ 違法/合法◯◯◯の際どい隙を突き、多彩な仮定で魅せる多重解決趣向が花開く。 何気に意外な犯人と、パズル的に奥深い真相は熱かった。 分かり易かったり後出しだったりもあるくせに、どこか丁寧な手掛かりの置き場所も良い。  7点

「やること? それは何だい?」
「そうね、例えば人殺しとか …… 」

某作 ・・・ 文字通りの◯◯◯◯兇器が、実は◯◯◯◯◯兇器だった。。 計画犯罪とその◯◯に包み込まれた、大きな反転が光った。 脆弱すぎる被害者が哀れなり。  6点強

某作 ・・・ 或る◯◯を背景に、バカな◯◯が騙される話。 悪あがきで悪事を重ねた挙句。。 最後、真相が一発で明かされたシーン。 びっくりしただろうねえ、お互い。  6点  

某作 ・・・ 事件に至る経緯の、◯◯調査を活かしたチャッチャカ具合も妙に面白いが、世故知らずが爆発しちゃった感じのやわらかい反転が何とも言えない。 青春だ(?!)。 罪状はソッチじゃなくアッチのほうって、まあなんとなく見えちゃうんだけど、憎めない。  5点

ミスタ・ヨー・サノが得意とするタイプの連作短篇集。
各タイトルは、わざわざ揃えた感もありますが、それなりに内容と合致しています。

文献学的事件/医学的事件/薬学的事件/心理学的事件/生物化学的事件/教育学的事件

「おかしなことになってしまったよ。 あんたの場合は、◯◯◯なんだな」
「◯◯◯? それ、どういうことです?」

No.40 5点 高すぎた代償- 佐野洋 2025/08/20 11:47
資本家の走狗を俎上に桃色共産党がテラテラやってるなと思ったが、それだけでは終わらない。

渋谷のTSUREKOMIに趣味で仕掛けられたテープコーダー(ソニー登録商標)に録音されていた、過去の心中事件にまつわる不穏な会話。 事件性が垣間見えるこの録音をきっかけに、男女二人素人探偵の協力とすれ違いが錯綜し補完し合い、種々のヨコシマな思惑に揺さぶられつつ、ある悪事らしきものの暴露を目指す。
構成と章立てに工夫が見られ、そこでは一方でストーリーの進行が整理され、また一方ではストーリーの含有する謎が大いに読者の両肩を揺さぶる。

“自分がだまされているとしたら、一体だれにだろう。”

ここから後はネタバレみたいなものになりますが、、 最後に、犯罪ファンタジーの大いなる幻影、萎んじゃいましたよねえ・・・ タイトルの意味合いも萎んだ・・(かな?) 洒落た小説構造を背景に、大きな真相への期待をこんだけ膨らましといて、まさかこんな、悪い意味でコンパクトな、しかもリアリティにちょいとひびの入った結末にぶつかって終わりとは。 ささやかな ‘叙述のたわむれ’ も、機能としては幻影を最後に萎ませる方向のものだったから、いまいち感心できない。
男女(女→男)の物語は多少響いたけれど、肩入れできる類の心理ではなく、悪いけどこいつバカだなぁ。。 とばかり思っていたら、、 最後の追い込み、××トリックの暴露含め、この心理劇の熱さにはちょっとやられました。

んだどもやっぱり、大きな真相あるいは躍動する真相を期待しただけに、この小説の収まり具合にはちょっとカックン。 結末を見せられるまではサクサク愉しく読ませていただきましたよ。
「密会の宿」 シリーズに繋がる初期作(第二長篇)のようだけど、本作の男女二人は (中 略) ですかね。 そうでないと結末の美が損なわれて、4点まで下がりかねないね。

No.39 6点 紅い喪服- 佐野洋 2024/11/03 23:13
一等車の女
先頭打者はショートショート。 横須賀線とホテルのロビーを舞台に、一種の復讐譚。 洒落ちゃあいるがひでえ話(笑)  5点

冷えた茶
妻の過失致死で捉えられた大学教授は饒舌な被告人。 罰金刑で解放された今は、妻の妹と二人暮らし。 その妹が、姉の死に疑惑を抱いている。。   「卑怯だわ」   。。いい時の佐野洋らしいフレンチスタイル。 誰かが何かを隠している心理劇。 終盤、ありきたりなアレかと苦笑していたら、最後の十行足らずでまさかの ・・・ これは効いた。 こりゃキツい。 佐野洋流の連城魂をあっさりスタイルで見せ付ける。 残酷過ぎるじゃないか ・・・・  8点強


団地主婦たちのグラグラ「競馬」イヤサス。 無知と浅知恵のゆるやかな暴走が痛々しい。 ストーリーの分岐点に何気な惑わし。 あ、そこ正直に行くんだ、とか。 あ、そこはほぼスッ飛ばすんだ、とか。 大いにブラックな、ショートショート風の落ち。 サスペンスは結構ありました。  7点

拳銃を持つ女
人々にお金やプレゼントを配る「サンタ」事件?が群発。 タイトルとストーリーの乖離にアレ? と興味津々だったのが呆気なくネタ明かしされてチャンチャン終わり。 拳銃の行き先に事件性を含ませて、長篇まで膨らませたら、、 とも思う  5点弱

紅い喪服
県議会議長夫人の葬儀に訪れたのは、真紅のスーツ・真紅の帽子に身を包んだ妙齢の女性。 これに疑惑を覚えたチョイ悪ブン屋が鼻をつっこみ、意外な人物が亡くなり、地方政界は掻き回される。 ところがどっこいッ ・・・ という話。 なかなか意外で大きな結末だが、ちょっと読めちゃう所もあるね。 とは言えこの●●真相の奥深さはなかなか。  6点強

利口な女
独身主義の女と、離婚歴のある女。 二人は手を組む。 そんなん、うまく行くわけが ・・・ 案の定だよ  4点

氷の眼
有名人ヌード写真が次々と現れる事件。 昭和の中期にまさかのAI絡み案件かと本気で疑うほどの不可能興味、ではありましたが ・・・ そこは意外とアッサリ解決。 だが物語の全体像には力強い逆説が宿る。 佐野洋風チョイエロ版のブラウン神父。  6点強

仲のよい夫婦
二組の夫婦を巡り、捩れた「因縁」復讐譚が更に捩れて、ある意味ミステリの王道を爆進。 カッチリ嵌った結末模範演技も良し。  6点

現代の貞女
一風変わった「告発型遺書」を遺した自殺者は病に悩んでいた様だが 。。 義憤を掻き立てつつ、反転返しが見事に決まった。 これぞ皮肉!な話。  6点強

捨てられた女
電車事故で死んだ筈の前夫が、生命保険の広告写真に!? 女は現夫と共に謎を明かさんとする。 途中、謎のお調子者がミステリの場を掻き乱し ・・・ 割とありそうな真相に、しみじみ明るいようで切ないような、ちょっとした人間ドラマのしこりが花と味わいを添える。  6点

宣誓
鍵の開いた玄関から、紳士靴だけが盗難に遭った。 ミステリと言うよりミステリ風味一般小説の味わい。 文体はともかくテーマ的にはむしろ純文学。  6点

個人的には「冷えた茶」が突出していますが、どれも私の好きな佐野洋です。
文庫巻末の、週刊誌編集者(女性)によるエッセー風解説も風通し良い感じでよろし。

No.38 6点 青い記憶- 佐野洋 2019/06/13 12:48
手練れに過ぎて、あまりにスイスイ読めちゃうよ、もっと引っ掛かって立ち止まって考えさせて、みたいなな不満さえもたらしそうな、良く書けたミステリ作品群。文章がスムーズ過ぎて全体的に地味に感じてしまうかも。書くに当たっては悩みの無さそうな、しかし題材は悩みの多そうな不倫がらみのお話がほとんど。(全部だったかも)

赤い蝶・青い猫/密告/細い橋/九回裏二死満塁/重苦しい空/赤い時計/二年ぶりの街/通話記録/暗い偶然/脱がされた/青い記憶  (講談社文庫)

No.37 5点 華麗なる醜聞- 佐野洋 2019/06/13 12:44
アリャ、A氏が二人いるぞ。と思ったら更にもう一人。。 社会派をダシに使い切れなかったのが悪いのか、サスペンスの道筋と糾弾の矛先が大いにずれたまま大爆発無くモヤモヤと終了。ルポルタージュの真似事(あまりに小説臭い!)風に視点がコロコロ替わる構造の面白味も終盤近くで自然消滅。最後の最後でバランス悪さを露呈。でも結末に至る前までは中々に面白く、実にリーダブル。

昭和三十年代中盤の実社会を騒がせた複数事件を組み合わせたモチーフを使いつつなお「これは実際に起きた事象である」振りをしているコンセプトの故か”疑似ドキュメンタリー”の嘘っぽさが溢れ出てしまい、スリルだとか知的興味だとか、大事な何かを削いでしまっている気がする。それでもまず面白いのは、洋ちゃんの底力ですな。

No.36 5点 密会の宿- 佐野洋 2018/04/27 00:45
ご内聞に/乱れた末に/残念ながら/お手をどうぞ/知らぬが仏/論より証拠/虚栄の果て
(徳間文庫)

昭和の’TSUREKOMI’を舞台にした短篇シリーズ第一弾。日常の謎もどきからささやかな犯罪、警察沙汰の顛末まで、時には人も死ぬ(まあこの手の場所には付き物)。 主人公は宿のおかみ(ワトソン+α)と同居する男(ホームズ+少しジーヴズ)、決して個性が際立っちゃいない二人の造形はなかなか温かい。思わず膝を打つような瞠目の展開や真相は見当たらないが、意外な所で変化球を見せるなどして単調さを緩和。が、やはりファン向け、且つ読み捨て上等かな。それでいい。

No.35 6点 緊急役員会- 佐野洋 2017/08/25 01:04
破綻 /蛇の群れ /広い藪 /狼の巣 /武士の情 /白い蝙蝠 /震える肩 /緊急役員会 /誇り高い女
(集英社文庫)

社会派というより、いい意味で会社派(労組絡み多し)の、されど地味ならずいい具合にザワザワ派手目の短篇集。中でも出色は、いにしへの労組スパイ問題を俎上に、ミステリ興味もたっぷりと正面突破で取り組んだ表題作。その直後、デザートの様に置かれたビター・スウィート・ショート・ショートはまるで日本式クリスチアナ・ブランドの味わい。「武士の情」の見え透いチゃァいるが何とも微妙にいやらしい真相構造も忘れ難し(実生活で応用上等。。)。総じて他の作品群にもう一押しのサムシング・エルスがきらめいていたら7点行ってた。惜しい。

No.34 7点 入れ換った血- 佐野洋 2017/08/25 00:42
医学ミステリに微かなお色気で六品。結末で突然にイヤミス毒が染み渡る表題作、犯罪動機の意外な重さに圧倒される「メスの怒り」を始め、読み易くもずっしり来る充実の作品が並ぶ。「棘のある肌」エンディングの(現在の出版コードではかなり際どかろう)悲痛な叫びもアンフォゲッタブル。。。

入れ換わった血/狂女の微笑/棘のある肌/満月様顔貌/メスの怒り/毛皮の家
(講談社文庫)

No.33 6点 金属音病事件(角川文庫版)- 佐野洋 2016/12/18 11:41
金属音病事件 /人脳培養事件 /かたつむり計画 /F氏の時計 /匂う肌 /チタマゴチブサ /異臭の時代
(角川文庫)

軽SFミステリ集。SF濃度はまあまあ、ミステリ濃度もまあまあなのでバランスが取れている。
中では際立ってハードな表題作、は飽くまでミステリベースで、SFがミステリの味付け&香辛料として機能する事に従事。後の方になるにつれSF濃度が高くなる、と共にエロスさんがかなりの調味料として活躍。 佐野ファン、昭和三四十年代ミステリ好きならひとまず読んでおきたい。

No.32 5点 死体が二つ- 佐野洋 2016/10/18 02:40
夫と妻、被告と証人、作家と編集者 等、何らかの対となる二人の関係(と言い難いものもある)をタイトルとし、必ず二人の死人が出るという企画連作。   果たして表題の二人がヤられるのか、殺し殺されるのか、  或いは表題の二人と如何なる関係のどの二人が被害者になってしまうのか、、物語興味を引く。  ミステリの深みを求め過ぎさえしなければ決して悪くない読み捨て本。

夫と妻/教師と学生/投手と捕手/夫と夫/父と娘/被告と証人/父親と愛人/作家と編集者
(角川文庫)

No.31 6点 隠された牙- 佐野洋 2016/10/18 02:30
佐野洋マンネリ期のスナック菓子と思いきや案外と謎の彫りが深いブツもいくつか混じる短篇集。
それでも余計な風格は漂わせないのが洋チャンの良い所。

隠された牙/死の入選作/なぜか誰かが・・・/親しすぎる姉弟/通話中/鉄の串/乱反射/戸籍の散歩/仮面の女
(角川文庫)

No.30 8点 白く重い血- 佐野洋 2016/09/12 09:57
こりゃ隠れた快作。ジャンルはサスペンス。現在(’70年代初頭)と過去(終戦後)のカットバック(章立て等に工夫あり)で進む真相追及は「ゼロの証明」だったか「焦点の人間」だったかそのへんをあからさまに連想させる、が、、清張が凄みで圧倒すれば、或いは森誠が思い込みの熱さで驀進すれば『そこ一点突破』でも充分読ませるわけだが、しかしそういった重々しい武器を敢えて持たない佐野チンの場合は『そこ』に更に何かかぶせて来るはずだ。。とカラフルな期待が増殖するってもんだ。。 嗚呼、違和感最高!! 二つの時代が重なる最終章、ラス前シークエンスの摩訶不思議な一対一対一(三人)の対話構造!!! 思った通りに、しかし思わぬ方向からの意外性かぶせにクラクラしているうち最後はちょっとした人情の深淵を覗かせて〆。

登場人物の伏線性とか、とっ散らかったままで終わる要素も結構多いから本格主義の読者なら最後ちょっとがっくり来るかも知れん。しかしこれは実に良く出来たサスペンス小説。やっぱこういう、形式に企画性の強い、構成の妙で勝負みたいなのは大の得意だね、佐野チンは。

No.29 5点 重要関係者- 佐野洋 2016/08/17 22:43
掘る/探る手/刑事の妻/組織の本能/おとり/検事の罠/誘った人/密室の裏切り
(角川文庫)

意外と(?)最初期の短篇集。 全体標題が暗示する如く、司法、警察、ブン屋(新聞記者)等、職業上いわゆる事件に関係の深い者達が事件そのものの中心に置かれる様な物語の数々。例によって男女間のナニ(愛欲だとか打算だとか)に振り回される話が多い。ず~いぶん時間が経ってから(1962⇒1983)やっと角川で文庫化された事からも匂う様に、まるで80年代佐野洋の様な書き飛ばしの薄味感がどうも付き纏う。つまらない代物ではないんだけど。悔しいけどファン向け限定かな。 いや、中にはそうでも無い興味津々の反転ストーリーも紛れ込んでいるんだが。。

No.28 4点 闇の告発- 佐野洋 2016/08/17 22:23
「佐野洋の挑戦ミステリー」 闇の告発(問題編①) 配達殺人(問題編②)/死体と眠る/被害者さがし/白っぽい男/殺人クイズ/「佐野洋の挑戦ミステリー」 闇の告発/配達殺人(解決編)/”挑戦”について
(角川文庫)

目次で一目瞭然(?)の様に、全体的に推理クイズ本っぽさ漂う一冊。その割にと言うべきか、むしろその所為でなのか、何ともカサカサ味気ない文章が目立つ。ちょっと詰まらな目かな。。
ところで目次を見ると「佐野洋の挑戦ミステリー」なるもの、問題編は①②と明確に分けているのに、解決編の方はどういうわけか二つ繋げてるみたいでしょう? どうしてでしょう? 気になりますか。。? 

No.27 5点 牧場に消える- 佐野洋 2016/07/05 01:38
洋チャンが本作の取材のため半年だか一年だか競馬界にどっぷり浸かったとか言う”競馬ミステリ”長篇。その割に力作感はあまり無いが。。サラブレッドの成長を撮影した貴重な記録フィルムがすりかえられた。。。。という事件から始まる正体の見えない疑惑への追及劇。結末に意外性は薄いけど、ある種の社会派スリルで押し切ってまずまず。 

No.26 6点 赤い熱い海- 佐野洋 2016/07/01 00:46
飛行機事故の死者は三名、疑惑たっぷりの行方不明が一名。森村誠一に遊び人の艶を吹き込んだ様な展開にちょっとハードな旅情が魅力。探偵役はなんと四人~わたしはこの事件の探偵です、わたしもこの事件の探偵です、おいらもこの事件の探偵です、おっとアチキだってこの事件の探偵です~という逆シンデレラの罠状態(??)。結末に意外性の新機軸有りだが、やや企画と技巧に走ったか。ま悪かない。

No.25 6点 奇しくも同じ日に……- 佐野洋 2016/06/01 23:58
いやー、表題作の後味悪いこと、佐野洋なのに、佐野洋で野球の話(プロでなく高校野球)なのに!
あっさりとはしているが割と内容有りめ(なんだその言葉)の短篇集。 これもまぁファン以外に薦めてもいい、のかな。。 

奇しくも同じ日に・・・・・・/屋根の上の犬/切り抜きの意味/風流な使者/白い雲/なぜ、いまごろ/絡んだ糸/灰色の軌跡/消えた女
(講談社文庫)

No.24 7点 匂う肌(講談社文庫版)- 佐野洋 2016/06/01 22:13
ピンク・チーフ/虚飾の仮面/匂いの状況/賭け/匂う肌/反対給付/死者からの葉書/内部の敵/手記代筆者
(講談社文庫)

割と「いい内容」の短篇選集。ひとまずファン以外にも軽く薦められるレベルか。
最後尾の「手記代筆者」なる題名が清張っぽくて唆る。

No.23 5点 地下球場- 佐野洋 2016/04/21 12:29
黒い鞄を狙え/ロスからの男/強打者牽制

常勝川上哲治監督が携行するという『黒い鞄』の謎を追う表題作。連続V記録更新中の読売巨人軍が実名付きで登場するが、現実人気球団をダシに使ってかなり踏み込んだ想像話ゆえか、なんとも歯切れの悪い終わり方。ミステリ腹に落ちない。 他二作は軽い娯楽作。悪くはない。

No.22 6点 10番打者- 佐野洋 2016/04/21 12:19
急映、大毎、太陽ロビンス、金星スターズ、巨人の加倉井に坂崎、後楽園にはアンラッキーネット(!)。。魅惑のアーリーデイズプロ野球用語がポンポン飛び交う中、速やかにクールに展開する戦後ニッポン陰謀物語、の飽くまで一側面、に軸足置いたサスペンス・ファンタジー。 星野組はプロ化を意向するも頓挫、ですって。。

序章 彼との出会い   第一話 不均衡計画  第二話 ウイニング・ボール  第三話 盗まれたサイン.

「桜機関」の「桜氏」(どちらも仮名)なる衆議院議員にして正体不明のフィクサーの下に職を得た「私」は、氏の幅広い暗躍領域の中で『(戦後復興した)日本プロ野球人気を今度こそ定着させる』というミッションのために奔走する。(その真の目的は、果たして。。) 氏と「私」の出逢いを描いた序章と第一話は、社会派に振れ過ぎない政治スリラー的様相でスイスイ進行。(森村誠一だったらどんなに熱く脱線しまくったろうか)
かと思うと第二話、出だしのつかみどころの無さは底知れぬ陰謀のようで日常の謎のようで。。急に社会的要素が蒸発してしまったかのような微妙な中弛みを見せつけ、核心はまさか色事絡みかと匂わせ、、 と思うと唐突な感動秘話に向きを変えて締める。。なんだこりゃ?
二話三話と連作が進むに連れ黒幕から主人公(共に十数の歳を取り)へと物語上での存在感が軽くシフトする、かと思いきや。。 第三話ではやにわに謎解き要素が色濃くなるが、最後の最後で急にリアリティの薄いトンデモ陰謀論に転んで終わっているのは。。 週ベ(週刊ベースボール誌)連載時色々あって、ひとまず冗談めかしといて様子見、という事なのかしら? なんて穿った見方をせずにいられませんね。 (まさか、佐野流の『逆トリック』ってやつだったりして)

ちょっとバランス悪い連作集だけど、まずまず。

キーワードから探す
斎藤警部さん
ひとこと
昔の創元推理文庫「本格」のマークだった「?おじさん」の横顔ですけど、あれどっちかつうと「本格」より「ハードボイルド」の探偵のイメージでないですか?
好きな作家
鮎川 清張 島荘 東野 クリスチアナ 京太郎 風太郎 連城
採点傾向
平均点: 6.69点   採点数: 1482件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(60)
松本清張(58)
鮎川哲也(51)
佐野洋(41)
アガサ・クリスティー(40)
島田荘司(39)
西村京太郎(36)
島田一男(30)
エラリイ・クイーン(27)
F・W・クロフツ(26)