皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
名探偵ジャパンさん |
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平均点: 6.21点 | 書評数: 370件 |
No.9 | 6点 | ダンガンロンパ霧切4- 北山猛邦 | 2016/09/24 08:50 |
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「密室十二宮」も残すところあと六宮。
タイムリミットまで猶予のない霧切は、「3」の「幽霊屋敷密室殺人事件」で顔を合わせた三人の探偵を呼び、それぞれがひとつの事件を担当することで、六つの密室の平行捜査、解決を提案する。 前の戦いでの敵(容疑者)が味方になり、それぞれが個別に敵に戦いを挑むという、ますます少年漫画っぽい展開に。 書店で見た背表紙の薄さから分かってはいたことですが、この「4」でも事件に決着はつかず、トリックが明かされる密室の数も二つだけです。 どちらも大胆なトリックで楽しめるのですが、次巻がいつ出るか分からない連続ものミステリを追い続けるというのはストレスが溜まります。 もうここまで来たら、完結してから一気読みしたほうがいいのかもしれません。 というわけで書評は「ダンガンロンパ霧切5」に続く! |
No.8 | 6点 | ダンガンロンパ霧切3- 北山猛邦 | 2016/09/20 19:13 |
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大掃除をしてたら出てきた。買ったの忘れてた。
人気ゲーム「ダンガンロンパ」のスピンオフミステリ第3弾。 「密室十二宮」という派手な煽りが帯に踊っていたので、漫画「聖闘士星矢」のように、十二個連なった密室を次々に解いて先を目指すような展開なのかと思っていたのですが、ちょっと肩すかしでした。 とはいえ、出てくる北山の十八番、物理密室トリックは大胆で読み応え(というか、図解での見応え)があり満足出来ました。 事件はこの巻だけでは終わらず、第4弾に持ち越しです。 というわけで、書評は「ダンガンロンパ霧切4」に続く! |
No.7 | 5点 | 私たちが星座を盗んだ理由- 北山猛邦 | 2015/07/13 17:15 |
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とにかくバラエティに富んだ短編集。
舞台も現実世界からファンタジー、SFちっくな近未来まで多種多様。 「最後に世界が反転」とは、本書の帯に書かれた売り文句だが、読み終わっても何のことか分からない、「すぐには効かない考えオチビーム」というか、昔懐かし「ボキャブラ天国」的に言えば、「シブ知」といえるネタ。 いつもの『物理の北山』が、「バカパク」だとすれば、何と作風の幅広さを備えていることか。 「終の童話」は、完全なファンタジーだが、私も昔から気になっていた、「石になった人間を元に戻す」というファンタジーお約束な作業の疑問点を指摘してくれていて面白かった。 |
No.6 | 6点 | 『ギロチン城』殺人事件- 北山猛邦 | 2014/12/05 10:50 |
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前作「アリス・ミラー」で高度な文章トリックを使ってきた作者だったが、本作は、「俺たちの北山が帰ってきた!」と喝采を贈りたくなるガチガチの物理トリックものであった。
「ちょっとでも後ろを振り向いたら終わり」という薄氷を踏むようなトリックも、そのビジュアルを想像するとあまりに強烈で許してしまう。そして哲学的ともいえる犯人の正体。「アリス・ミラー」で培った叙述性と本来の物理トリックが合わさり、北山猛邦でしか成しえない怪作ミステリが出来上がった。 |
No.5 | 4点 | 『アリス・ミラー城』殺人事件- 北山猛邦 | 2014/09/13 22:47 |
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「エ? コノヒトナニイッテンノ?」
読み終えた素直な感想がこれだった。どうやらそうらしい、と思っていたが、確信が持てず、かといってこれだけの分量の小説をすぐに再読する気も起きず。結局解説サイト等を回って、真相をようやく理解した。今まで読んだ中で最も難解な作品だった。 辛い点数を付けたが、これはひとえに、一読で作者の狙いを読めなかった(最後まで読んで「やられた!」というのとは訳が違う。最後まで読んだのに「理解できなかった」のだから)私のミステリ読者としてのレベルの低さによるもの。小学生が高校数学の問題を理解できずに、「何だよこれ」といちゃもん付けるのと似たようなものだと思っていただきたい。 本来であれば私が本作に点数を付けること自体、おかしな話なのだが。(理解できなかったやつに採点されたくないよ、と作者なら思うだろう)こんな読者もいたということで勘弁していただきたい。 本作のレビューはスルーしようと思ったが、自分の至らなさに対する戒めとして書いておくことにした。 |
No.4 | 6点 | ダンガンロンパ霧切2- 北山猛邦 | 2014/08/15 21:34 |
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純然たる続編なので、前作読了は必須。
今回も大がかりな物理トリックを駆使して楽しませてくれる。 この手のトリックを用いる際、必ず突っ込み所として挙げられる、「どうやって準備を?」の問題は、大きな権力、財力を持つ犯罪組織がバックにつき犯人をサポートする、という設定でクリア。 「作中において探偵は(死亡するような)被害に遭わない」というミステリのお約束を作中に取り込んだ、「探偵オークション」なるガジェットも登場。(その日の『探偵役』をオークションし、落札者にはその一日犯人は手を出さないという、安全を買うシステム。必ずしも探偵行為を行う必要はない) ただ、そういった舞台設定や制約があまりに多すぎるきらいはある。殺害トリックも、「そんなにうまくいくかなぁ?」と感じないこともない。 作者得意の浮世離れしたキャラも、原作がゲームのため違和感なく溶け込んでいる。北山はノベライズと相性がいいと再確認した。 二作限りのお祭り企画かと思ったら、続きがあるらしく、心待ちにしたい。 (ただ、本作最後の展開を見ると、次はミステリというより、ホラーとかSF要素が強くなりそうな・・・) |
No.3 | 6点 | ダンガンロンパ霧切1- 北山猛邦 | 2014/08/14 22:23 |
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ビデオゲーム「ダンガンロンパ」のノベライズがあると聞き購入してみたら、作者が、あの「物理の北山」だったとは! ゲームのシナリオ担当者とかでなく、外部の作家がノベライズを書くというのは珍しいのでは?
ゲーム舞台の前日譚という設定なので、ゲームを知らなくとも楽しめます。多分。 本がB6サイズなのだが、上下に必要以上に大きく余白が取られていて、資源の無駄使いな気分。(読者が推理するために書き込むスペースなのか? と思うほど) 作品ごとの独特の世界観を売りにする作者だが、原作ゲームという与えられた世界ありきの本作は、当然そういった「世界観との馴染めなさ」は発生せず、(そもそも原作ゲーム世界を許容したファンしか買わないのだから当然だが)ノベライズには相性の良い作家なのではないかと思った。 ぶっ飛んだ世界観の割に、結構本格ミステリしていた原作ゲーム同様、本作も意外に、と言っては失礼だが、楽しめた。 ゲームの事件が起こる前の話のため仕方ないのだが、人気キャラの「モノクマ」(声:大山のぶ代)が出てこないのは残念。 |
No.2 | 5点 | 『瑠璃城』殺人事件- 北山猛邦 | 2014/08/12 01:59 |
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前作「クロック城」を読んで、「この作者のはもういいかな」と思ったのだが、書店の棚を覗くと、最新作「私たちが星座~」以外の作品はもう置いていない。というのが数軒続き、飢餓感で一冊だけ置いてあった本作を購入した。
突然登場人物が「生まれ変わり」云々言い出して、「これは何かトリックの一環だな」と思ってたら、本当に生まれ変わりでびっくり。西澤保彦が得意とする、超常現象前提ミステリだった。 その生まれ変わりのルールがいまひとつ飲み込めず、漫画「デスノート」のような、作者が作劇を行うに当たって都合の良いようにいくらでもルールを変えられる現象。という感じで、話にのめり込めなかった。 ただ、各時代で発生するトリックはどれも豪快で、「物理の北山」(学校の先生みたい)の面目躍如といえる。 ひとつのトリックで数百ページ引っ張るような作品と比べたら、そのサービス精神はすばらしい。 次のシリーズも、書店で見かけたら、買う、かもしれない。 |
No.1 | 5点 | 『クロック城』殺人事件- 北山猛邦 | 2014/07/19 09:04 |
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ノベルズ時にはトリック解明ページが袋とじされていたという曰く付きの作品。解説が有栖川ということもあって購入してみた。(解説で有栖川も、『大掛かりな物理トリックがあるので、読中パラパラとページをめくったりしないでほしい』と警告していた)
多くの方が指摘されているように、この作品のキモはその物理トリックではなく、首切りの理由のほうだ。作者は恐らく、このような理由で首を切る人物が登場してもおかしくないようにと、この世界そのものを作ったのだろう。 かつてミステリ作家は、トリック成立のために周辺環境を作ったが、今やトリックのために世界そのものを作るまでになってしまったのかと、感慨深いものがあった。 これも他の方ご指摘の通り、出てくるだけで特に話に絡んでこない謎の組織など、消化不良の感はある。(しかし、アマチュアの応募作は、それ自体で作品が完結される話が求められると思うのだが、こんな思わせぶりな消化不良の作品が受賞したというのは不思議だ) |