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ボンボンさん
平均点: 6.51点 書評数: 185件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.6 7点 キングを探せ- 法月綸太郎 2020/01/05 14:37
冒頭のトランプから最後のアントクアリウムまで、一々の仕掛けに絶対に何かあると判りながら、全く答えは出せず、予想もしなかった正解を教えてもらう気持ち良さ。ほぼ数学の勉強をしているような感覚だった。
イクル君、夢の島、カネゴン、りさぴょん、といった絶妙なネーミングや各章はじめの引用句など、小道具使いも素晴らしい。
とにかく技巧に優れた作品だ。これはもう、どうしたってキングを探してしまうだろう。
ただ、正解よりも仮説や騙し部分の印象の方が鮮明で、終盤の説明がこちゃこちゃと小振りに感じられたのが少し残念。

No.5 6点 頼子のために- 法月綸太郎 2018/11/19 14:56
冒頭の異様な手記を迂闊にも素直に読んでしまい、はじめ法月綸太郎は下手なのかと思ってしまった。お恥ずかしい。手記を基に調べが進み、徐々に複雑な事情が見えてきて、悪夢のような終盤を迎えるという見事な流れだった。
しかし、どことなく安易な感じが拭えない。都合よくとんとん拍子に関係者に会え、皆がどこまで本当か分からないことを順序良くぺらぺらとしゃべり、キャラがそれなりにありそうな人々が次々に使い捨てられていく。(嬰児の血液型は確定できるのだったか?猫は本当にご主人さまのために戦うのか?)
ある種のホラーだと思って読めば、窓を開けてしまう綸太郎も操られていたということでOKになるのだろうか。

No.4 7点 一の悲劇- 法月綸太郎 2018/08/12 22:37
一つの事件について、様々なパターンの推理が色々な必要に迫られて次々と披露される。最終的に「これが正解」となっても、特に意外性がある訳ではない。それまでの長い推論の反復運動を楽しむ感じ。
語り手の信頼度が微妙なので、ずっと不安定な読み心地になっているところが何とも良かった。
しかし、子どもに対する親としての感覚について、山倉史朗の感じ方、考え方には、違和感があったな。他の親たちは自然なのだが、やはり、この語り手は、どこかずれていて、自己中心的でこわい。それを意図して書いているわけではないのだろうけれど。
そして、もう言わなくていいのだが、どうしても言いたい。ダイイングメッセージは余計だ。「~と考えて間違いないのです。」とまで言い切るのはどうか。

No.3 7点 法月綸太郎の功績- 法月綸太郎 2018/07/12 23:38
なるほど!これがアームチェア・ディテクティブか!という感動(『都市伝説パズル』『縊心伝心』)。いつまでも延々と読み続けていたい気持ち良さ。どの作品もスッキリきっぱりと切れが良く、きれいだ。贅肉が一切ない。
ただ、「ロジック+ドラマ」好きの自分としては、『スイス時計の謎』に軍配。

No.2 6点 法月綸太郎の新冒険- 法月綸太郎 2018/06/02 17:12
体調が悪かったせいか、単に歳のせいか、面白いのに、読んだ先から忘れて行ってしまうような感覚。それだけ精密にロジックロジックしているということか。
すでに十分完成度の高い展開をしてきたところへ、さらに加えて、最後は忘れずに驚きのひねりを用意してくれるので、来るぞ来るぞ、来たーっ、という満足感を得られる。

ところで、綸太郎と穂波の会話を見ていると、昔、フルーツポンチと柳原可奈子がやっていたコント「通ぶる2人」というネタを思い出す。
「というと?」
「○○○、とあなたは言いたいわけね」
「さすがに飲み込みが早いな」

No.1 7点 法月綸太郎の冒険- 法月綸太郎 2018/05/13 23:25
前半3編は素晴らしい。後半の図書館シリーズは楽しい。しかし、前半後半で、法月綸太郎のキャラさえ変わってしまうほどのギャップがあり、短編集全体の統一感が無さ過ぎだ。短編「集」としては、かなり残念なつくり。
『死刑囚パズル』:こんなにエラリー・クイーンに寄せ過ぎて大丈夫なのかと思うほどカブレ気味だが、最後の動機部分には脱帽。
『黒衣の家』:やはり翻訳物から借りてきたような匂いが漂うが、短編としての巧さ、面白味満点。
『カニバリズム小論』:カニバリズムはともかくとして、こういう雰囲気、構成は大好き。法月綸太郎の態度やリアクションを読み返して、スルメのように味わった。
図書館シリーズは、「図書館の自由」の件で随分もめたり悩んじゃったりしたようで、長いあとがきや追記ですっかりケチがついて、がっかり。「図書館の自由」は確かにとても大切なことだが、法月警視からだだ漏れる捜査上の秘密は別にいいんだろうか。

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ボンボンさん
ひとこと
読書日記的に書かせていただいているので、過去に読んだものをどうしようか思案中です
好きな作家
宮部みゆき、伊坂幸太郎、高村薫、有栖川有栖、服部まゆみ、などなど
採点傾向
平均点: 6.51点   採点数: 185件
採点の多い作家(TOP10)
有栖川有栖(39)
宮部みゆき(16)
東野圭吾(13)
北森鴻(11)
三上延(7)
アガサ・クリスティー(6)
服部まゆみ(6)
法月綸太郎(6)
エラリイ・クイーン(6)
柚月裕子(6)