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ボンボンさん
平均点: 6.51点 書評数: 185件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.6 8点 白昼の悪魔- アガサ・クリスティー 2020/02/12 22:32
丁寧に作り込まれた良作だと思う。気になる出来事や発言が散りばめられていて、チェックポイントに赤線を引いていったとしたら、全編ページが真っ赤になるのではないか。ポアロが最後にそれらを豪華にまとめあげてくれるのが快感だった。
加害者の化けの皮が剥がれる反転も面白いが、被害者の人物像の評価が変化していくところも見どころだ。
実際の犯行は、ドタバタと忙しくてちょっと滑稽だが、偽真相の方は、後日談も含め、いいストーリーだった。「殺したいという願望と殺す行為とは全く別」と諭すポアロとか、「どたんばでけおとすようなまねはするまい」と言う騎士道精神の人とか。
そうだ、ほんの数行だけ、後日、ポアロがヘイスティングズに「しかしねえ、モン・シェール」と、この事件について語って聞かせているシーンがあることをメモしておこう。

No.5 7点 ABC殺人事件- アガサ・クリスティー 2019/08/26 23:00
有栖川有栖の「ABCキラー」や法月綸太郎の「ABCD包囲網」などを先に読んでしまっていたので、まっさらの状態から楽しむことができなかったのが残念。
8回挿入される「ヘイスティング大尉の記述ではない」の章が効果的で面白く、何度か前に戻って読み返した。この部分のサスペンス感が好きだ。
ポアロに「霊感を与えてくれる」「大事な天才」であるヘイスティングズの「明晰な洞察がきらめく、輝かしい言葉」が、あまりにさりげなさ過ぎて、どこにあったのか探すのが大変だった。「わたしはどんなすばらしいことを言ったんですか」と本人が訊いても相変わらずすぐには教えてくれないお決まりの展開が可笑しい。

No.4 5点 葬儀を終えて- アガサ・クリスティー 2018/03/29 22:38
(ネタバレあり)
どうも、この作品とは馬が合わなかったようだ。犯人の特殊さとしては面白いのかもしれないが、そのほかの関係ないことが変に思わせぶりにたっぷり描かれ過ぎていて、わかるわけないし、最終段階で放り投げたくなった。
ポアロは、ほとんど何もしてない(元気がない)。第一、メインの犯罪について、まるで説明がない。
とはいえ、全体の構造がまるっきり大回転する迫力はさすが。犯人の動機もよく考えれば、境遇やら身分(?)の限界やらへの怒りが被害者に向かってしまったのかなあと理解はできる。また、大勢の親戚一同、使用人その他の皆さんの個性の書き分けが楽しい。まあ、大多数の人は、結局全然関係ないことになってしまうのだが。それにしても、スーザンの夫の意味の分からなさだけは、どうにも腑に落ちなかった。

No.3 7点 オリエント急行の殺人- アガサ・クリスティー 2018/02/17 23:41
安心と信頼の面白さ。無邪気に楽しむことができた。(これまでネタバレを耳に入れないように、どれだけ気を付けてきたことか。まあ、ちょっと入ってしまったが。)
ただ、意外に粗くて企画頼みなつくりなので、本当は結構深みのある話なのに、その骨組みだけで最後までいってしまうのがもったいない。
「ポアロ、二つの解決法を示す」の人間味が良かった。

No.2 7点 スタイルズ荘の怪事件- アガサ・クリスティー 2017/08/20 16:38
クリスティーのデビュー作、他の作品に比べてそれほど評価が高いわけでもないけれど、とりあえず押さえておくかな、くらいの気持ちで読んだところ、とても一作目とは思えない充実した内容だったので驚いた。濃い。少し複雑すぎて、ゴチャゴチャしたところもあるが、溢れるアイディアとそれをまとめ上げる熱意と自信が感じられる。
登場人物一人一人の情報が、例えば、第一印象、不穏な雰囲気、違和感のある行動、意外な行動、真逆の接近、本心と真実の暴露、といった具合に、こまめに何度も塗り替えられていく。それをポアロがそれこそ何通りもの思惑を隠しながら、ヘイスティングズを通してチラ見させるので、混線するのも当然。
それにしても「小さいかわいいおじさん」のキャラクターの弾けっぷりがとにかく楽しかった。

No.1 9点 アクロイド殺し- アガサ・クリスティー 2015/12/08 18:10
予備知識一切なしで読んだ。しかもポアロ初体験。本当に傑作だった。
後で振り返れば、途中で、あれ?説明が少ないなとか、おや?唐突だな、などと感じた部分がちゃんと罠になっている。結果を知って読み返しても、矛盾がなく、文句のつけようがない。
物語としては、犯人に好感を持って読んでいたので、この結末は悲しかった。都合よく使われていた面白キャラのキャロラインがどん底に放置されるその後を思うと憐れ。
また細かいことだが、翻訳これでいいのか?と気になるところが多かった。主語がなかったり、「この」や「その」の使い方がおかしかったり、台詞部分がぎこちなかったりで、少し残念。

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ボンボンさん
ひとこと
読書日記的に書かせていただいているので、過去に読んだものをどうしようか思案中です
好きな作家
宮部みゆき、伊坂幸太郎、高村薫、有栖川有栖、服部まゆみ、などなど
採点傾向
平均点: 6.51点   採点数: 185件
採点の多い作家(TOP10)
有栖川有栖(39)
宮部みゆき(16)
東野圭吾(13)
北森鴻(11)
三上延(7)
法月綸太郎(6)
エラリイ・クイーン(6)
柚月裕子(6)
アガサ・クリスティー(6)
服部まゆみ(6)