皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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ボンボンさん |
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平均点: 6.51点 | 書評数: 185件 |
No.19 | 5点 | ブラジル蝶の謎- 有栖川有栖 | 2016/07/20 18:25 |
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「人喰いの滝」は、真相の情景もなかなかのものだが、犯人との対決場面の絵面のシュールさが衝撃的だった。淡々と振る舞うアリスの様子もホラーというか哀しげというか。
「蝶々がはばたく」は、素直に傑作と言ってしまってもいいのではないかと思う。もう二度とない奇跡の一作だろう。 他の4篇もそれぞれピカッと光る部分を持っていて、良く出来ているのだが、個人的には何となく気分が落ちるような要素がチラホラ気になって、浸りきれなかった。 |
No.18 | 5点 | 高原のフーダニット- 有栖川有栖 | 2016/06/27 18:19 |
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「オノコロ島ラプソディ」と「高原のフーダニット」は、ともに遠出をした先、自然豊かな地での事件捜査の話。そして2つともトリックが嘘みたいにバカバカしい。
それでも、「オノコロ~」は登場人物それぞれに関する挿話が効いているし、脱力系の笑いも楽しめた。火村に謎解きの閃きをもたらすアリスの調査報告が可笑しい。 「高原の~」の火村は、珍しく感傷的で変な感じがした。火村が死んだ者にこんなにも心を寄せる話は他にあっただろうか。 そして、この2編の間に挟まれた問題の「ミステリ夢十夜」。あまり好意的に見られていないようなので、少し緊張して読んだが、私としては、かなり楽しめた。皮肉っぽく、自虐的な含みがあっていい。 火村シリーズは、本当に汎用性が高いというか、自由だ。掌編、短編、中編、長編。日常、イベント、旅先。陰鬱にも、爽やかにも、ギャグにも、ホラー風味にもなる。どうやっても火村とアリス、そして ”本格愛” が揺らがないので、相当趣向が変わっていても、今回はこう来たか、と認めて読むことができるのだと思う。 |
No.17 | 7点 | 長い廊下がある家- 有栖川有栖 | 2016/06/23 23:45 |
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4編の作品いずれも題名がとても巧く付けられているなと思った。
「長い廊下がある家」は、最も魅力的な題だ。内容も興味をひかれる設定や運びで読ませてくれるが、肝心のトリックがあまりに簡単で気持ちがしぼむ。トータルでは嫌いではないけれど。 「雪と金婚式」は、地味な題で、なぜそんなにこれに拘るのか読みながら気になったが、納得の結末だった。高齢の登場人物の心情がたっぷりと語られている良いお話だ。 「天空の眼」は、180度違う方向から持ってきた2つの天空の眼が目新しい。アリスが単独で活躍する大変珍しいパターン。でも、何かちょっと寂しくて、読後、アリスにつられて変にしょんぼりしてしまった。 「ロジカル・デスゲーム」、これは噂どおりすごい。肝の数学も勿論だが、不確実な賭けの部分も、犯人の狂気も、隙を窺うドキドキも、一瞬の判断も、ガタガタしたアクションも、全部いい。おまけに本筋に関係ないアリスまでいい。大満足。一瞬、あれ?『SHERLOCK』(英ドラマ)?と思ったが、こちらの方が先だったし、元ネタも全然違ったようだ。 |
No.16 | 7点 | 火村英生に捧げる犯罪- 有栖川有栖 | 2016/06/21 01:13 |
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色々な形の短いもの8篇なので、まとまった評価はしづらいが、ざっくり言えばファンとしてのんびり楽しめる1冊。(表題の凄さにつられて、「このシリーズで初めて読む1冊」にはしないほうがいいかも。)
基本的にどれも、火村が犯罪者を冷徹に糾弾したりしないし、アリスが人間の深淵を見て哀しくなったりもしないので、人が死んでいるのに謎解きを楽しんだりして少々不謹慎だなあと思うくらい気楽な小噺系。 その中でも「あるいは四風荘殺人事件」と「火村英夫に捧げる犯罪」は特に巧いと思った。 前者は『いかにもある種の本格ミステリ』に対する愛なのか皮肉なのか。作者ならではのオトナな態度と奥ゆかしさが成せる技で絶妙な形に仕上がっている。表題作である後者は、ショートショートの寄せ集めのようなノリで進みながら、ちゃんと見事に落してくれる。アリス本人が事件解決装置になる使われ方が面白い。 |
No.15 | 6点 | 妃は船を沈める- 有栖川有栖 | 2016/06/17 01:05 |
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(ネタバレかも)
妃沙子の異様な人物像が不快で、その取り巻きの男たちの雰囲気も気持ち悪くて、なかなかいい気分では読めないが、見どころはしっかりあると思う。 まず、ジェイコブズの短編「猿の手」の解釈を巡る火村とアリスの議論は、非常に興味深い。作者のはしがきにあるとおり、答えの正否はさて措いて、友人とこんな深読み対決が楽しめるなんて愉快で幸せ。これを一つの事件の解決につなげてしまう火村のナイスショットも悪くなかった。 二年半後に話が移ってからは、大地震の被災下という特殊な、しかし今の日本人には実感しやすい舞台設定に乗っかり、あっちに間違い、こっちに気を取られしながら進んでいくのが面白い。 犯罪の手口についてはきっちり論理的に解明した火村だが、今回は何故か珍しくグズグズと悩んだりする。最後に、歪んだ人の心を見抜いて敵に突き付け、ついに陥落させた(と思われる)のは、アリスだ。火村は、アリスの洞察に脱帽してしまう。二人で一人前の名探偵。 |
No.14 | 4点 | 海のある奈良に死す- 有栖川有栖 | 2016/06/13 13:32 |
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最悪、というほどではないが、やはり残念の一言。
粗くて、下世話で、(敢えてなのだろうが)やけに艶っぽさが散りばめられている雰囲気があまりよろしくないため、そもそも小説の出来として有栖川有栖の知的な清潔感からは遠い。 トリックにしても、丁寧に扱えばもう少し印象が違ったかもしれないのに、とにかく肝心の火村がはしゃぎ気味な謎のテンションなので、乱暴過ぎて話にならない。ちょいちょい非常識な行動や現実味のない展開があって引っかかる。結果、本作のヒロイン役がデコボコとグロテスクなことになってしまっている。さらに、いつもは効果的に働く薀蓄の披露が、素材丸出しのまま、度を超して大量投入されるので、生煮え感がいや増す。 とまあ、だいぶ悪く書いてしまったが、赤星楽を弔うために、失われた小説「人魚の牙」を復元するという筋書きは良かったし、特に最後の<一枚の奇妙な地図>は面白かった。 |
No.13 | 8点 | 暗い宿- 有栖川有栖 | 2016/06/08 11:00 |
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なかなか刺激的な変化球を堪能した。どれも思わせぶりな雰囲気たっぷりでいて、最後には敢えて外して落としたり、結局ミステリにしなかったりで、面白かった。
宿には、「怖い」や「恐い」が付き物。廃線跡やつぶれた旅館、イーグルスのホテル・カルフォルニア、霊が視える話などの舞台装置が、ほどよくゾッとさせてくれる。でもその陰では、やっぱり愚かな人間の行いが悲劇を招いていて、火村にビシッと糾弾されるのだ。 「異形の客」は、ミステリとしてはストレートで本書のメイン処なのだが、あともう少し整理整頓したら読みやすくなるのに、と少し勿体なく思った。冷徹で厳しいラストは、緊張感があってギュッと引き締まる。 「201号室の災厄」は、とても珍しい火村目線のコミカルなアクションもので、ワクワクする。実に火村らしい窮地からの脱出劇が秀逸。 |
No.12 | 7点 | 乱鴉の島- 有栖川有栖 | 2016/06/06 18:47 |
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前半の謎の世界への引き込み方は圧巻。絶品。そのまま最後まで爆走してくれればいいものを、後半は、驚くほど大人しくなってしまう。当然、構成も論理もしっかりしているのだけれども、期待が膨らみ過ぎてちょっと損をしているのかも。
また、強烈に印象深い人たちがいる一方で、重要な役回りの人物の輪郭が最後までイマイチはっきりしなかったり、背後にある目的はともかくとして、現時点で大の大人が孤島に集まってやろうとしていることが薄ぼんやりと甘っちょろいものだったりするところも気になった。 全体に、高尚なものと卑俗なもの、古典と最新の科学や経済をバリバリとミックスして投げつけてくるような書きぶりは良かったと思う。でも、その高尚なところを担っているはずの知の巨匠が浅はかな感じの人になっているのはどうか。こんな事態にならないと分からないのか、命の意味が。卑俗部門の人たちのほうが、悪いながらも力強い筋が通っているのが皮肉だ。 アリスの気遣いの素晴らしさ、細やかな感性は健在。勉強になります。かくありたいものだ。崖のやばい急勾配を下りるとき先頭に志願する場面が好き。 |
No.11 | 7点 | マレー鉄道の謎- 有栖川有栖 | 2016/05/29 16:00 |
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マレーシアを旅行中の火村とアリス。二人の掛け合いはいつにも増して軽妙だし、アリスの頭の中(地の文)も相当愉快なので、笑って読める。
しかし、全編通して薄暗い心を持った人たちがぞろぞろ出てくるので爽快感はない。 悪とは何か。それが生き残るための手段であっても、例え法に触れないとしても、人としてやってはいけないこと、赦されないことというのは厳然としてある。ということかな。 密室、連続殺人、ダイイングメッセージ等々、豪華に各種取り揃えながら、火村の「蓋然性の検討」をもって謎を突破する。時間軸も人間関係も人々の心情も、すべてが見事に連鎖していて、最後には、あんな冗談みたいな「目張り」まで含め、細部に亘って「初めから当然これしかなかった」と納得させるのだから、実に有栖川有栖らしい技だ。(ただし、「目張り」の種明かしは、珍しく文章で分かりにくかった。) そのほか、旅の高揚感や自然描写の美しさ、さらには、普段見えにくい火村の人間味が漏れ出たり、アリスのアクションシーンもあったりで、お楽しみ満載。 |
No.10 | 7点 | モロッコ水晶の謎- 有栖川有栖 | 2016/05/18 15:12 |
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人間の手前勝手な内面世界を暴き、厳しく鞭打つ中編3つ+α。 どれも捻りが効いていて良い。作者のネタ一発勝負の短編は、自分にはあまり合わないので、これくらい書き込まれているとだいぶ楽しめる。
表題作の実に繊細で微妙な結末は、「これぞ有栖川有栖」と言っていいと思う。さすがだ。この真相のアイディアは、文章が上手じゃないと、なかなか怖くて手を出せないのではないか。 3作とも、平均以上にアリスが積極的に推理して一生懸命言葉を発しているタイプのものなので、軽快で愉快な読み心地。 そして、そして、何と言っても3作の間に挟まったおまけ漫画のような「推理合戦」が可愛らしい。こういうのが短編集とかに毎回入っていればいいな。 |
No.9 | 7点 | ダリの繭- 有栖川有栖 | 2016/05/14 17:07 |
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確かにミステリとしてずば抜けたものがある訳ではない。一つ一つ可能性を潰していく地道で丁寧な真相究明の作業。そして答えも極々当たり前の風景の中から拾われてくる。それでも、作品トータルとしては全然悪くない。いや、とても良かった、と思うけど。(ずいぶん評価低いですね・・・。)
際立つのは、ダリひげ社長の徹底的な憐れさだ。めちゃくちゃな巻き込まれ方をする吉住の一連のドタバタ劇も面白かった。被害者学(被害者の有責性の検証)も興味深い。 それにしても、ダリとガラの物語、そして人それぞれの「繭」をテーマに持ってくるところがすごいと思う。「人間とは」という意味でも深いけれど、このシリーズ的には、「火村英夫とは」というところにもつながっていくんだろう。 ほかにも、他者に対してたとえ共感はできなくとも理解は可能でありたいという姿勢とか、「みじめな想い出」という抽斗に分類されて眠る記憶を引っ張り出して悲鳴をあげるとか、ドラマの途中で差し挟まれるアリスの思索が心に刻まれる。 |
No.8 | 6点 | 白い兎が逃げる- 有栖川有栖 | 2016/05/08 20:27 |
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表題作よりも、他の3作の方が納得できたし、好きだ。
どれも使い古されたネタと状況の中で、スレスレの間隙をぬって鋭く突いてくるオチが見事。特に「比類のない神々しいような瞬間」の落とし方は素敵だった。 表題作の「白い兎が逃げる」は兎関連の話題をこれでもかと詰め込んでくるところが、もはやダジャレ風味。どうしても「なんで、人を殺した?」というところが、弱くて残念。 |
No.7 | 8点 | スイス時計の謎- 有栖川有栖 | 2016/04/27 23:17 |
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表題作「スイス時計の謎」には感服した。火村の無駄のないたたみ掛けに、土下座する勢いで感服した。そんなに本格ファンでもない自分が、こんなにロジックそのものにブンブン頭を縦に振ったのは初めてじゃないか?
アリスの「閉塞した現在と不安な未来」についての心の動きも物語の裏支えになっている。他の3作も含め、もがきながらも人生に向き合っている人たちの日々が切ない。 それでもやっぱり、表題作以外の3作の物足りなさは残念かな。「あるYの悲劇」はまだいいが、他の2作のような短編は、面白く読むことはできても、火村とアリスである意味が薄いし、トリックの無理っぽさが悪目立ちしてしまう。 |
No.6 | 8点 | 絶叫城殺人事件- 有栖川有栖 | 2016/04/23 22:22 |
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どういう加減なのかすっかり嵌ってしまった。一篇一篇が沁み入るように心に残る短編集。どれもサクッとしたトリックのアイディア一つを、しっかりと読みごたえのある物語で丁寧に包み込む、さすがの仕事ぶりだ。
全体に苦しくなるほどの精神的な歪みや悲嘆を夜の情景の中に描くという統一感があり、大変よくまとまっていると思う。 一つ挙げると、「壺中庵」は、(特別好きだとか、良い作品だと言うわけではないのだが)、事件の見た目の間抜けな滑稽さを「人間の尊厳をはく奪する愚劣」と糾弾する火村の台詞につなげるところなど、繊細で微妙な感覚を言葉で説明できる作者の力量がモノを言っていると感じた。 また、アリスの優しさ全開エピソードが満載で、暗澹たる話の中で救いとなる。月光に照らされる「月宮殿」に見惚れたり、子どもと真剣に遊んだり、ベタな恋愛映画に涙するアリスの感性にほっこり。 |
No.5 | 5点 | ロシア紅茶の謎- 有栖川有栖 | 2016/04/16 13:27 |
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6つの短編。どれもトリックがイマイチだったり、しょぼかったりだが、楽しく読めたからいいかな、ということにする。6篇とも、話としてはなかなか面白い。
火村シリーズの長編はすごくきれいで好きなのだが、この短編集は、何かもう、長編世界のおまけとして、火村とアリスの日常の小噺を楽しむという感じか。 そんな中でも、火村の台詞がキュッと話を締めるうまい終わり方のものがいくつかあって、印象に残った。 |
No.4 | 5点 | 朱色の研究- 有栖川有栖 | 2016/04/04 14:43 |
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かなり複雑な諸々について、綺麗にまとまられているとは思うが、肝心要の動機の部分でスコーンと納得することができなかった。心情が分からないでもないし、そんなこともあるかもしれないとは思うものの、人殺しまでしてしまうかどうかとなると、残念ながら今回は有栖川有栖のやさしさにうまく丸め込まれてしまうことができなかった。
しかし、怖いような凄みのある日没に地獄やら救済やら様々な色を見ながらの展開は美しい。そして、アリスの心折れている人への共鳴っぷりは見事だ。泣ける。 |
No.3 | 6点 | 46番目の密室- 有栖川有栖 | 2016/03/28 14:26 |
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この頃、有栖川先生もまだまだ若かったんだなあ、という印象。推理小説に対する情熱というか、崇高な想いというか、視線も高くキラキラしたものに心打たれたので、その分プラス1点。
トリックや謎解きの流れは結構普通なので、多少めんどくさく感じてしまったが、文章が巧いので、物語には引き込まれた。基本的には、品の良さや思いやりの深さが根底にあるので安心して読める。 しかし、あんな人間関係なのに、みんな「まあいいか」的にわざわざクリスマスパーティに参加するんだ。自分だったら絶対行きたくない。 |
No.2 | 7点 | スウェーデン館の謎- 有栖川有栖 | 2016/03/21 18:47 |
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しんみりと哀しい気分で読み終わる。
事件が始まる前に、後々のため、いろいろ言い訳めいた説明(というか、いまいちスマートじゃない伏線?)があったのが少し気になった。しかし、全体的には流れるように美しくまとまっており、きちんと状況や心情が語り尽くされているので、普通じゃないトリックが際立つような展開をあまり好まない私でも、違和感なく納得できた。登場人物もみんな無駄なく活躍し、いろいろな詰め込まれた要素も一つ一つ十分に楽しめた。 本筋に関係ないが、火村先生が語った即興の童話(?)がすごく良かった。 |
No.1 | 5点 | 菩提樹荘の殺人- 有栖川有栖 | 2016/03/15 20:40 |
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著者の作品を初めて読んだ。考えていたよりキャラクター色が薄く、著者の物事に対する考え方、批評などが多めに語られていたりするのが意外だった。
4篇とも事件の真相は、シンプルでおとなしい。何でそんなことをしてしまったのかという部分で、人の心情の説明が随分素っ気ないんじゃないかと思うものもあったが、その中でも表題作は、ワクワクと前のめりで楽しめた。 全体に優しげな雰囲気が漂い、やっぱり関西弁はいいなあ、というじんわりした読後感。 |