皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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蟷螂の斧さん |
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平均点: 6.09点 | 書評数: 1660件 |
No.18 | 6点 | 青い罠- 阿刀田高 | 2022/12/20 20:45 |
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①隣の女 7点 隣人は私に嫌味や嫌がらせをするが、夫にはいい顔をする・・・最後の一行
②凶事 7点 病弱な姉が飛行機墜落事故にあったとの連絡。姉からは数々の被害を受けてきた妹。ずっと独身なのも姉のせいだ。姉が死んだ。思わず笑みが・・・一喜一憂 ③ギャンブル狂夫人 8点 旅先で知り合った夫人と煙草の種類当ての賭けをする。妻には内緒で賭け金は30万円。8本中6本まで当てられ残り1本・・・泣き笑い ④干魚と漏電(「夢判断」所収) 5点 引っ越してきた家の電気代が高い。漏電しているようだ・・・失踪事件 ⑤嘘つき 7点 夫は嘘をつくのがうまい。それを理由に離婚できるか弁護士に相談するが・・・本物の嘘つき ⑥危険な絵本 5点 私は娘と二人暮らし。愛人が娘へ簡単な経済学の絵本をプレゼントした。娘は私に質問をする。ママは・・・経済の基本 ⑦猫を飼う女 4点 飲屋のママにぞっこんな常連客が三人蒸発した。海外出張で3年ぶりに帰国した俺。ママのマンションを訪ねると三匹の猫が・・・怪奇 ⑧女に向かない仕事 5点 朝のゴミ出しは夫の仕事。夫婦喧嘩の末つい手を出してしまった。あたり所が悪く妻は・・・男の仕事 ⑨当たらぬも八卦 6点 占い師は株の占いで3回続けて外してしまった。電車内で偶然、占った男と出くわす。だが、もう一回占えという・・・理由 ⑩ホームタウン 4点 マンションに出前だけを頼む女が住んでいる。顔は絶対見せたことがない。訪ねてみると・・・怪奇 ⑪ 運のいい男 8点 「マイ・ベスト・ミステリーⅠ」で書評済 運が悪い? |
No.17 | 6点 | 最期のメッセージ- 阿刀田高 | 2022/12/12 20:56 |
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(再読)42編のショート・ショート集。7点以上の作品
①七日夜物語 7点 恋人の二人は金曜日しかデートできない。二人は「織姫と牽牛はかわいそう。一年に一回しか会えないのだから」・・・大空では ②ジプシー占い 8点 金策に困った社長は場末でジプシー占いを。それによると大金を得て幸せな家庭が見えるという・・・夢か幻か ③再会 7点 医学部を目指す二人の受験生。一人だけ合格。来年、大学で会おうと約束するが・・・数年後 ④金魚を飼う女 7点 二匹の小さな金魚は、夫々赤子を堕した時に買ったもので名前を付けている・・・パパ金魚 ⑤ホーム・ゴルフ 7点 妻を庭に埋め、芝を張りパター・ゴルフ用に・・・カップイン ⑥サラリーマンの死 7点 松本氏は仕事に自信を失っていた。社長と部長の声がする。松本はダメだ。北海道がいいだろう・・・転勤? ⑦最期のメッセージ 8点 惚れた女は、らつ腕ホステスだった。貯金をつぎ込み、挙句の果て会社の金を使い込んだ。当然、会社はクビ。5年がかりの復讐を実行したのだが・・・ダイイングメッセージ |
No.16 | 5点 | 異形の地図- 阿刀田高 | 2022/11/30 17:55 |
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(再読)
①菱形慕情 5点 女を知らずに亡くなった友人。しかし亡くなる前日、スナックのママと艶話をしていた・・・エロティシズム ②火垂るの海 5点 私は、石廊崎で出会った男が夜中に筏に火をつけて沖へ流すのを目撃する。何を乗せて?・・・怪談 ③檜原湖まで 5点 学生の私は、夫が蒸発したという人妻と出会い・・・湖の風景 ④踊る指 5点 ホテルのラウンジで指ダンスをする男と出会う。その男の人差し指と中指の長さは同じであった・・・幻想? ⑤ゆらめく湖 6点 女中が坊さんに一目惚れ。100日間、湖の対岸にいる坊さんのもとに通えば・・・伝説 ⑥マングローブ樹林 5点 景色のいいところで会うと、その人もいい人に見える・・・男心 ⑦雪惑い 5点 雪を見たいという女。ホテルの部屋は二つとるが・・・女心 ⑧鈍色の雨 5点 二十六聖人のレリーフ、その足は・・・ 相似 ⑨午後の潮騒 6点 6年ぶりに旅先で元彼女に逢うが、別れた理由が思い出せない・・・叙述 ⑩鳥瞰図 4点 天狗きのこを食べると高い所に登りたくなる・・・借金相殺 ⑪分水嶺 5点 世の中には不幸な結婚があった方がいいという・・・出雲の神様の悪戯 ⑫瑠璃色の底 5点 女が十和田湖で自殺。遺書にあなたとの文学論争が楽しかったと。そんな覚えはないのだが・・・幻想 |
No.15 | 6点 | マッチ箱の人生- 阿刀田高 | 2022/11/06 08:33 |
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①首飾り 7点 母からもらった真珠の首飾り。夫婦仲を守ってくれる宝石という。さて?・・・おまじない
②マッチ箱の人生 6点 スナックのママが旅行に。そこに同席した女性がママの店のマッチ箱を持っていた。昨日、作ったばかりで3人にしか渡していないが・・・殺人事件 ③教育ママ 5点 同窓会で教育ママに会う。私は子どもはまだ。でも・・・将来 ④鍵 4点 マンションの合鍵を男に渡す女性。その心理は・・・愛の数 ⑤未亡人 5点 不良品?の消火器を売りつけられた。娘夫婦に文句を言われると思い・・・婿への裏切り ⑥掌の記憶 5点 学生と付き合う26歳の女性。夢の後、手のひらに柔らかい感触が・・・予見 ⑦匂う女 6点 ホテルで男が死んだ。女性は別の男をホテルに呼んだ。そのわけは・・・迷信 ⑧黒い電話機 6点 優しい姪が一人しかいない老婆。偶然、電話機から漏れてきた姪の声・・・相続 ⑨虚像 5点 夫が死亡。夫の親しい友人や夫が世話したという後輩たちの態度が・・・見栄 ⑩プラスの関係 7点 利口な女十人と付き合うよりバカな男一人と付き合う方がプラスになるという・・・バカミス ⑪坂道の女 6点 坂道のどこからとなく子供の声が。その場所で子供が自殺したという・・・ホラー ⑫嫉妬 5点 偶然、元カレと会いホテルへ。二人とも既婚。彼女の思うことは・・・独りよがり ⑬熱病 6点 ドラえもんの「どこでもドア」を体験した子供が高熱に。父親も同様な体験をする・・・願望 |
No.14 | 6点 | 東京25時- 阿刀田高 | 2022/06/19 19:11 |
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裏表紙より~「真夜中の向こう側、眼りかけていた10の殺意が静かにはじける男と女の25時―」~
①膝頭 7点 少年時代、未亡人よりの依頼。夫の好きなシェクスピア全集を海に流して欲しい・・・今、俺は家具用シェクスピア全集を ②夜の声 7点 離婚した妻とよりを戻したい。息子が訪ねてきている。そんな時、愛人から電話があり、記念日の今日、もし元妻と会っていたら殺そうと思っていたという・・・父親は? ③眼には眼を 5点 娘をひき逃げした犯人は、奴しかいない。しかし警察には言えない事情が・・・アンチを狙った? ④見えない窓 5点 病室の窓から向かいのマンションを覗く少年が言った。看護婦さんに似た人が人を殺したと・・・未来図 ⑤忘れ坂 5点 結婚10年。昔の彼女の夢を見た。そこを通ると一番心に強く残っていることを忘れるという坂、いったいどこにあるのだろう・・・別れた原因すら ⑥青いひとで 7点 愛人からもらった青いひとで。願い事が叶うと動くという・・・妻はそれを毛嫌い ⑦銀色のフラスク 7点 マンションの住人より毒薬を預かる。この毒で女たらしのあいつを殺したい・・・男は毒殺されたとのニュース ⑧ネクタイ関係 6点 彼が新しいネクタイを締めていた。結び目が逆。新しい彼女からのプレゼント?・・・彼は言い訳を ⑨夜のアスパラガス 7点 指のきれいな人妻と待ち合わせ。待ち合わせ時間に来ない。酒を飲み、好みのアスパラガスを食す・・・届け物が(ホラー) ⑩熊の話 6点 熊は餌を盗られると、必ず取り返す・・・人間で言うならば |
No.13 | 6点 | 危険信号- 阿刀田高 | 2022/06/15 16:05 |
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(再読)
①子宝温泉 6点 子宝温泉は黒々と眠り続けている。おや、かすかに夜が笑った・・・場違いなところに現れた男の行方(SF的) ②雨あがり 6点 未亡人が墓参りに行くと、墓の前で若い女性が涙を流していた・・・策略 ③鳩の血 6点 中世のヨーロッパでは、花嫁は生娘でなければならない・・・騙すためには ④女ごころ 6点 宝くじ。日付と女性の年齢をならべた番号を買うと一等が当たるという・・・正夢 ⑤幼い脅迫者 3点 娘がいなくなった。夜、知らない4歳の子供から何回も電話がかかってくる・・・役者の子供 ⑥糸の女 4点 男は何かに曳かれある場所へ。女も同様に・・・見知らぬ意志 ⑦赤鰊 6点 手品師は赤鰊(レッドへリング)を使って、大切なものを拝借したという・・・何を盗られたのか ⑧裸で殺そう 4点 風呂場での感電死を計画するが・・・したたかな妻 ⑨奇妙な儀式 7点 夫は妻の万引きを知る・・・思い当たることが(エロティック) ⑩女の戦争 8点 夫の後輩が出世。後輩の妻が社長に取り入っているようだ・・・知っているのよと言うと ⑪走る男 6点 男の飼っていた金魚、インコ、仔猫が相次いで死んでしまう・・・同棲の女が殺したのか?(サイコ系) ⑫危険信号 7点 腹痛の後には必ず悪いことが起こった。初デートの時も腹痛が・・・でも、そこに策略が(人生の縮図) |
No.12 | 6点 | 東京ホテル物語- 阿刀田高 | 2022/06/10 10:48 |
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(再読)裏表紙より~「東京のシティ・ホテル。ファッション感覚で選ばれる都市の非日常的空間。今日も男と女が出逢い、そして意外な結末が訪れる。」~ミステリー要素は少なく、男と女の心の機微を描いた短篇集。
①シャワー・キャップ 5点 男の漕ぎだす船にちょっと乗ってみよう。でも既に浴室に濡れたシャワー・キャップが・・・女心 ②泳ぐ男 6点 プールで昔の知り合いに似た女性に声をかける・・・男の妄想 ③甘い薬 7点 新婚初夜に胃痛。「いくつ飲むのかしら、飲みにくそうね」「糖衣錠ですよ」・・・まるで落語 ④黒子 6点 ホテルのボーイは有名人の世話を何回もするが、顔を覚えてもらえない。自分が有名人になってみると・・・見えるものが見えない ⑤雨 6点 ホテルの客待ちタクシーではなく、目の前に止まった客を降ろしたばかりのタクシーに乗ろうとしたら、ボーイが止めた・・・イマジネーション ⑥マルガリータの夜 5点 惚れた女が、風俗で働いていたと分かるが・・・男の癖 ⑦笑う女 6点 28才、小じわが増えた。今日は結婚式。どうして結婚することになったのだろう?・・・含み笑 ⑧旅立ち 4点 真夜中のホテルのエレベーター。37階、34階、29階に止まったが誰も乗っていない。ボーイの横で待っている女性は・・・怪異 ⑨花の刺繍 8点 レストランで同席した手品師は、昔、歌手になった恋人を亡くしたという。しかし、今、目の前で歌っている歌手が昔の恋人という。頭が変?・・・幻?イリュージョン? ⑩うしろ姿 6点 別れるのが本当の恋愛。「俺のこと、厭になったら、その日は香水なしにしてくれ」・・・嫉妬 ⑪危険な場所 6点 ゴンドラでの窓ふきの二人。「遊びに来いよ。女房の手料理で飲もう」。そのゴンドラを見上げる女性・・・浮気 ⑫お人よし 5点 通子はコンパニオン。お人よしだから男の誘いを断れない・・・オカルト (余談)1989年、石川秀美さん主演でTVドラマ化(4回放送)されています。主題歌は松任谷由実さんの「リフレインが叫んでいる」 |
No.11 | 7点 | 一ダースなら怖くなる- 阿刀田高 | 2021/04/27 17:45 |
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(再読)著者らしいブラックユーモアが堪能できました。
①妖虫 7点 合成樹脂を食べる虫を発見、金もうけを夢見るが・・・。発表当時はインパクトがあった。しかし今ではオチはすぐわかってしまう ②スリランカ気質 3点 その意味の説明だけかい? ③友を裏切るなかれ 9点 友と買った宝くじが当たり、友を殺してしまう。やがて刑事が来て・・・これぞ短篇のどんでん返し ④進化論ブルース 6点 結婚まじかの二人。お互い告白することが・・・思わず噴き出した。SF風 ⑤結婚嫌い 7点 結婚を考えている若者に、離婚経験者が語る。結婚なんて止めた方がいいと。ほんとに「余計な」お節介をしてしまったものだ ⑥湖畔の女 6点 生き血を吸う代わりに夢を与えてくれるという謎の女性。私は血を吸われた? ⑦閉じた窓 8点 窓の外の庭に幽霊が現れる?ブラック系ホラー ⑧雪うぶめ 8点 少年期のあやまりが20年後に・・・陰鬱で重い。幻想ホラー系 ⑨格子模様の夜 7点 主人公(作家)が小説の中から現実の世界へ抜け出すと・・・小説へ戻ってからのオチ ⑩女難 6点 女運のない男。死ぬときも運がない ⑪背後の女 5点 心中の片割れが幽霊に? ⑫青い瞳 6点 戦後、不明となったダイヤを探す旅へ。欲をかくと・・・ |
No.10 | 5点 | 恐怖同盟- 阿刀田高 | 2018/06/09 22:23 |
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「顔」「血」「耳」「妖」「老」など、題名は一文字のみの10篇。文体は手紙形式、電話形式、二人称形式、擬人化形式など工夫されています。内容は、覗き、カニバリズム、ドラキュラ、嫉妬、幽霊、幻などバラエティに富んでいます。たまにはブラックユーモアで気分転換という意味での再読でした。 |
No.9 | 4点 | 街の観覧車- 阿刀田高 | 2016/06/08 10:53 |
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(再読)裏表紙より~『人生は観覧車、めぐるゴンドラ。人は他人と繋りながら生きている……。私鉄沿線の古い住宅地を見下ろす観覧車からの眺めのなかに、ふと目をひいたさまざまな人間模様。愛する人との邂逅、別れ、突然の死、憎しみ、殺人、避けられぬ運命、幸運とのすれちがのい―10のゴンドラで著者が奏でるロンドの世界。』~
ロンドといっても前の作品に登場した人物が、次の作品の主人公になるといったもので、ほとんど意味がありません。毒気が弱いのでこの評価。 |
No.8 | 5点 | 食べられた男- 阿刀田高 | 2016/04/21 20:17 |
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(再読)落語風からSF風までバラエティに富んだショートショート42編。ベストは「時間外労働」・・・「職場に午前4時に着かなければならない。車を飛ばし、信号無視をした途端、男が飛び出してきた。刑務所から脱走した死刑囚の男らしい。死刑囚をひき殺しても罪にならないでしょうと警官に言うのだが・・・」。表題作は”食の奇譚”として「新婚のS君は、妻に食べられる夢を見るという。そういえばS君に変化が・・・」
”食の奇譚”ランク付け ①「おとなしい凶器」(『あなたに似た人』)ロアルド・ダール氏 ②「爪」(『マネキンさん今晩は』)コーネル・ウールリッチ氏 ③『特別料理』スタンリイ・エリン氏 ④『二壜の調味料』ロード・ダンセイニ氏 ⑤「恋人を食べた話」(『お・それ・みを』)水谷準氏 ⑥「親愛なるエス君へ」(『瓦斯灯』)連城三紀彦氏 ⑦「特別料理」(『眼球綺譚』)綾辻行人氏 ⑧「豚」(『キス・キス』)ロアルド・ダール氏 ⑨「わたし食べる人」(『冷蔵庫より愛をこめて』)阿刀田高氏 ⑩『食べられた男』阿刀田高氏 ⑪「閏の花嫁」(『煙の殺意』)泡坂妻夫氏 ⑫「新鮮なニグ・ジュギペ・グァのソテー。キウイソース掛け」(『異形家の食卓』)田中啓文氏 という結果、もう満腹です。 |
No.7 | 6点 | 壜詰の恋- 阿刀田高 | 2016/02/10 12:45 |
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裏表紙より~『砂丘でめぐり会い、めくるめく一夜をともにした気高い美女は、翌朝姿を消してしまった。そして枕元には香水のびんが……。それ以来、わが部屋にこの香水の匂いをまきちらすとき、かならずあの美女がそっとあらわれ、熟れた身体をひらいてくれるのだ。「奇妙な味」の小説の名手のブラック・ユーモア秀作集。』~
(再読)初期(6冊目)の短編集です。ベストは「賢者の贈り物」・・・匿名の女性から手袋、ネクタイ、ポートレート、鍵、地図が順次送られてきた。男はそのマンションを訪れてみると、女の死体が・・・。そこへ不審人物がいるとの通報で警官がやってくる。さて男の運命は?そしてその仕掛けとは?。著者はあとがきで、推理小説としてはあえてアン・フェアな道を選んだと言っていますが、三人称を一人称で描けば、その問題は解決か?。なお、長編で読んでみたいなあと思うような作品でした。表題作の小粋な短篇から、グロテスクな結末を予想させるブラック・ユーモアまでバラエティに富んだ作品集です。気の向いた時に、書棚から著者の作品を引っ張り出して再読するのですが、過日も歌野氏の作品テーマを見つけたりしました。本作の中にも京極氏、島荘氏、黒研氏の作品のモチーフがあるのを発見。これも読書の一つの楽しみですね。 |
No.6 | 6点 | 過去を運ぶ足- 阿刀田高 | 2014/08/23 10:28 |
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(再読)著者のデビュー作(1978単行本)と同時期の短編集(1972~1977の作品集)。今思えば、当時は星新一氏のショートショートを読み漁っていた頃で、阿刀田氏のちょっとエロティックな大人の世界にぶち当たり、とても新鮮に感じて、それにハマってしまったのでしょう(笑)。その路線では、「蠢く夜」がいいですね。ある人妻は年一度だけアバンチュールをしてみたくなる。知り合った男は肩から三角巾を垂れていた。怪我でもないらしい。さて、そのわけとは・・・。全編に共通しているテーマは「死」です。基本はブラックユーモアなのですが、数編推理小説らしき展開のものもあります。表題作「過去を運ぶ足」はテレビドラマになったようです。~夫が帰宅すると、実母は倒れており、妻は浴槽(水)に浸けられていた。押し入り強盗が牛乳に睡眠薬をまぜたらしい。妻はそれが原因で流産する。その後実母は交通事故死。義父も心筋梗塞で死亡する。義父の葬儀のとき、義父の足が夫の弟(二卵性双生児・既に死亡)にそっくりなことを発見する・・・。~その他「記号の惨殺」・・・図書館のハイミスが自分を弄んだ後輩を殺害するアリバイトリックもの。「不在証明」・・・妻を殺害しようとし、ホテルの電話を利用しアリバイ工作する。しかし偶然愛人が同ホテルにおり、共犯扱いされる。などがミステリー風味があり楽しめました。 |
No.5 | 4点 | 仮面の女- 阿刀田高 | 2013/01/14 19:16 |
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(タイトル・女⑥・再読)10篇のブラック・ユーモア集。表題作は。「女性はいろいな顔を持っている。恋人の前、知人の前、他人の前で様様な役を演じている。仮面の下に隠された女の小さな秘密とは?」・・・彼女は、確か近視のはずであるが、夫はそれを知らないらしい。ということは、○○を行ったことなど知る由もない・・・。全篇を通じ、切れ味は今一つでした。 |
No.4 | 5点 | Aサイズ殺人事件- 阿刀田高 | 2013/01/10 11:56 |
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(再読)ブラック・ユーモア(短編)を得意とする氏には、珍しい連作の短編推理小説です。通勤時間の合間に手軽に読めるので、氏の作品はかなり読破してきたのですが、最近は、やはり長編ミステリーに嗜好が変わってきているので、物足りなさは否定できませんでした。表題の「Aサイズ殺人事件(旧題・Aカップの女)」は本格っぽい味わいがありました。 |
No.3 | 5点 | 夢判断- 阿刀田高 | 2013/01/10 11:54 |
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(再読)図書館がしばらくの間休みなので、好きな作家で、本サイトに登録してある本作を書棚より引っ張り出してみました。氏のデビュー作「冷蔵庫~」に強烈な印象が残っていますので、本作はやや毒気が薄い感じがします。収録の「ベター・ハーフ」が歌野晶午氏の某有名作品のモチーフを先取りしていることがわかり、新たな発見をした思いがします。やはり、短編は印象が薄いですね。 |
No.2 | 7点 | ナポレオン狂- 阿刀田高 | 2012/04/29 18:56 |
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(再読)別サイトで4000冊以上のミステリー書評をしている方が「切れ味について、短編ミステリはナイフ、阿刀田短編はカミソリ」と評しています。全く同感です。本作は直木賞。うち「来訪者」は日本推理作家協会賞受賞。歴代の同協会理事長には著者をはじめ、松本清張氏や東野圭吾氏が就任していますので、『才能』は認められているのでしょう・・・。著者は”人間性を描いたものが「純文学」娯楽物は「大衆文学」、前者の対象が「芥川賞」後者は「直木賞」、そのような区別は避けるべき”との旨発言しています。・・・そのようなことはさておき、長編ミステリーの合間には、手ごろな読み物と思います。 |
No.1 | 8点 | 冷蔵庫より愛をこめて- 阿刀田高 | 2012/04/29 18:55 |
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書評200冊目は著者の処女短編集(18話)です。当時007「ロシアより愛をこめて」をもじった題名に引かれ拝読。その後同著者にハマりかなりの冊数を読みました。今回再読。ブラック・ユーモア(奇妙な味)の世界です。「冷蔵庫より愛をこめて」・・精神病院を退院してみると、妻に愛人がいる様子。彼は貸し冷蔵庫業を思いつく。「趣味を持つ女」・・近所で葬式があるたびに女が現れる。どうも趣味らしい。「あやかしの樹」・・種を育てると女性の形をした樹となるという。そのためにはあることをしなければならない。~この作品がエロティックで一番好みで、オチは思わずニヤリとしてしまいます。印象に残っている1冊です。 |