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蟷螂の斧さん
平均点: 6.09点 書評数: 1631件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.14 5点 アポロンの嘲笑- 中山七里 2017/07/08 19:11
本作の後に発表された「月光スティグマ」も阪神淡路大震災と東日本大震災を扱っており、社会派的要素が強い作品でした。「アポロン(太陽神)」、「月」と続いたわけで、次は「星」?と思っていたら、今月発売される「ネメシスの使者」が「仮説上の恒星」という意味もあるみたい。ギリシャ神話の「女神」が正解みたいですが・・・。本作は逃亡劇を中心とした社会派人間ドラマといったところ。その面では筆力で読ませてくれ高評価です。しかしミステリーの面ではやや物足りません。著者の専売特許「どんでん返し」を期待し過ぎたか?(苦笑)。

No.13 5点 テミスの剣- 中山七里 2017/07/04 13:46
あらすじが物語全体の半分まで紹介されています。これは読むのに辛い。これからどうなるのか?の楽しみを奪われてしまう・・・。最近の著者の作品は社会派よりのミステリーが多いような気がします。本作も冤罪がらみ。後半、物語が急展開するのですが、既視感がありあり(苦笑)。他作品に比べインパクトは弱かったかも。

No.12 6点 ヒポクラテスの誓い- 中山七里 2017/07/01 14:25
内容紹介では短篇とは記載されておらず、途中まで読んで短編と知る(苦笑)。一篇毎はそれほどのオチもなく、凍死は○○であった、交通事故は○○であったと続く。それだけかい!?・・・。しかし、ラストは連作短編ということで、うまく纏まっていました。主人公の真琴と古手川刑事との絡みがあるのですが、さてどうなるのか?。続編の「ヒポクラテスの憂鬱」(未読)でもコンビを組んでいるようです。著者のインタヴューでは「古手川は女性に対して完全に不信感を抱いているタイプ」としているので、先が楽しみです。

No.11 7点 恩讐の鎮魂曲- 中山七里 2016/12/09 10:50
前作で御子柴弁護士の過去が判明した結果、「死体配達人」と揶揄され仕事も激減している。そんな中での少年院時代の恩師の殺人事件。この被告人である恩師が一筋縄ではいかない人物であった。リーガル的なテーマは「緊急避難」と耳慣れないものです。緊急避難の寓話「カルネアデスの板」は、船が転覆し海に投げ出された男が板にしがみついた。そこに別の男がしがみつこうとしたが、板は二人の重みには耐えられそうもなく、男はあとから来た男を突き飛ばし水死させた。殺人罪で裁判にかけられたが無罪となったというもの。まだ国内では殺人での判例はない?。まあ、本作の主題はやはりシリーズを通しての「贖罪」でしたね。今回は結構御子柴弁護士の内面に迫ったものが描かれていました。事務員洋子がチョイ役でかなり登場したので、次作は洋子との絡みがあるのかどうか期待するところ大(笑)。

No.10 6点 ハーメルンの誘拐魔- 中山七里 2016/04/23 18:55
~「病院からの帰り道、母親が目を離した隙に15歳の少女・香苗が消えた。現場には「ハーメルンの笛吹き男」の絵葉書が残されていた。警視庁捜査一課の犬養が捜査に乗り出し、香苗が子宮頚がんワクチン接種の副作用によって記憶障害に陥っていたことが判明する。」~
ワクチン禍に警鐘を鳴らす社会派ミステリーです。物語の展開上やむを得ない面はあるのですが、やはり誘拐ものなので、もう少し緊迫感が欲しかったですね。社会性問題を重視している作品なので、刑事・明日香の言動は、女性の立場や母性の心理を代表していることは理解できます。しかし、ミステリー的には失敗のような気がしました。まあ、真相は著者らしいと言えば著者らしいのかも。

No.9 6点 月光のスティグマ- 中山七里 2015/11/05 09:13
「BOOK」データベースより~『この傷痕(スティグマ)にかけて俺が一生護る――。月夜に誓った幼なじみは、時を経て謎多き美女へと羽化していた。東京地検特捜部検事と、疑惑の政治家の私設秘書。追い追われる立場に置かれつつも愛欲と疑念に揺れるふたりに、やがて試練の時がやってくる。阪神淡路大震災と東日本大震災。ふたつの悲劇に翻弄された孤児の命運を描く、著者初の恋愛サスペンス!』~

主人公(淳平)は、双子の姉妹(優衣・麻衣)と幼馴染であった。震災で生き残ったのは優衣か麻衣か、やがて疑念が浮かんでくる。恋愛サスペンスかと思いきや、中盤から潜入捜査(マネーローンダリング)やテロ遭遇などに展開してゆくので、やや違和感がありました。まあ久しぶりに政治ものを読んだので考えるところが多かったです。やはり一番は東日本大震災が二大政党化が端緒についたばかりであった日本の政治に大きな影響を与えてしまったことかも?。なお本日のニュースで「非正社員4割を超える」とありました。「労働者派遣法」について本書では「民生党」の失政となっていますが「国民党」が制定・改悪したのが原因かと(苦笑)。以上は余談ですが、全体的にはやや詰め込み過ぎたかという感じですね。でも一気読みはできると思います。

No.8 10点 追憶の夜想曲- 中山七里 2014/05/25 11:27
もう続編はないのか?・・・。ありがちな題材を匠の技で、実に味のある奥行きの深い作品に仕上げた印象です。久しぶりに鳥肌ものでした(笑)。ヒールもの、動機、伏線の妙、題名、ミスリード、コロンボ並みの目の付け所、法廷の緊迫感、ひねりのあるどんでん返し、思いがけない真相など、好みにぴったりでした。著者の作品は既読8冊のうち、9点以上が4冊目となり、余程相性が良いのかもしれません。「贖罪の奏鳴曲」の続編にあたります。よって、背景を理解する上では前書を先に読んだ方がラストなど心にしみ納得できると思います。

No.7 7点 切り裂きジャックの告白- 中山七里 2014/03/02 20:11
~東京・深川警察署の目の前で、臓器をすべてくり抜かれた若い女性の無残な死体が発見される。戸惑う捜査本部を嘲笑うかのように、「ジャック」と名乗る犯人からテレビ局に声明文が送りつけられた。~             臓器提供の問題を扱った医療ミステリーです。医療倫理観に関し、僧侶と医学教授との討論は考えさせられるところが多かった。といっても「カエル男」と同様なサイコ系ミステリーでエンタメに徹しており楽しめました。

No.6 6点 ヒートアップ- 中山七里 2013/10/10 20:13
「魔女は甦る」の続編ですが、主人公は変わっています。麻薬取締官・七尾とヤクザがコンビを組み、ヒート(非合法ドラッグ)の売人を追うという展開です。このコンビのやり取りは楽しめます。後半はアクション映画並みの展開となります。前作同様、ミステリーよりアクションに重きが置かれているような気がします。

No.5 6点 魔女は甦る- 中山七里 2013/10/10 20:12
ミステリーというより、パニックホラー系の作品です。前半は、バラバラ死体を捜査する刑事を中心に物語は進みます。真相が判明した後半は、ヒッチコックの有名作品+ミラ・ジョヴォヴィッチ主演映画のような展開です。被害者(男性)が、その場所へ訪れた目的は?(この真相を知りたいのですが・・・)、負傷した刑事と、被害者の恋人のその後は?と未完のままで終了。続編「ヒートアップ」でということか?

No.4 9点 贖罪の奏鳴曲- 中山七里 2013/09/27 12:43
倒叙ミステリー~法廷ミステリー~社会派ミステリーと変遷してゆき、どんでん返しも控えているという贅沢な作品ですね。展開が速かったので、じっくりと長編で読みたい気がしました。どんでん返しのテーマだけでも面白い作品に出来上がっていると思いますが、主題は、題名の通り「贖罪」(過去に罪を犯した人間が、それを償う意味は?)というヘビーなテーマです。また、ある種のタブー(カエル男も同様)に挑戦した意欲作とも感じることができました。また、悪徳弁護士の描き方がうまいですね。果たして、悪者なのか、はたまた善人?・・・読者を不思議な気持ちにさせます。やはり圧巻は、法廷場面でしょうか。

No.3 6点 おやすみラフマニノフ- 中山七里 2012/10/05 22:19
小説で音楽を奏でてしまう筆力に脱帽です。ミステリーとしては「さよならドビュッシー」には及ばないと思います。動機が「どす黒いエゴ」のかたまりのようなものだったので、殺人に発展すればサスペンス感は盛りあがったような気がします。どうも「カエル男」(かなりどす黒い)と比較してしまいますが・・・。まあ青春小説風なので致し方ないところなのでしょう。

No.2 9点 さよならドビュッシー- 中山七里 2012/10/04 19:12
映画化決定(2013年春公開予定)。これは絶対観に行きますね!。著者の作品は「カエル男」しか読んでいませんが、強烈な印象(採点9)が残っています。それにひきかえ、本書は音楽感動ものらしいとのイメージしかなかったので、これまで敬遠してきました。しかし、読んで大正解でした。ミステリーのことなどすっかり忘れ、音楽にのめり込んでしまいました。今、ギターを弾きたいがために指のリハビリ中(かなり痛い)なので、主人公に感情移入してしまいました(笑)。他の方と違い、かなり単純なので、ミステリーのオチ、こんなラストが待ち受けていようとは思いもよりませんでした。ビックリです。

No.1 9点 連続殺人鬼 カエル男- 中山七里 2011/12/11 18:31
著者のインタビューにある「一気読み、どんでん返し、最後の一行で驚いてもらう」の通り、再三のどんでん返しがあり、大変満足です。背景には刑法39条が流れており、ストーリー的に面白い。ただ、エログロ描写もかなりあります。マイナス要素は、警察での暴動シーンで、余分のような気がします。

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蟷螂の斧さん
ひとこと
ミステリーは、作家中心では読んでおらず、話題作や、ネットでのお勧め作品を読んでいます。(2013.6追加~本サイトを非常に参考とさせてもらっています。現在は、読後、類似なトリック・モチーフの作品を探した...
好きな作家
ミステリー以外で「石川達三」、短編で「阿刀田高」、思想家で「荘子」
採点傾向
平均点: 6.09点   採点数: 1631件
採点の多い作家(TOP10)
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