海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

take5さん
平均点: 6.63点 書評数: 468件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.468 9点 永遠の仔- 天童荒太 2026/06/21 17:44
十数年ぶりに再読、初評価。
本書を、親として受け止め、
考えて血肉とする事が必要で
大切と思う年齢なのを実感。

原稿用紙2400枚、総ページ数
約1000に流れる主人公3人の
子供時代と、17年後の大人と
して再会した後とが、交互に
書かれて、進むんでいきます。

本書のテーマは、幸せや不幸が
連鎖し、またそれを断ち切る力
その力が関わりにはあるという
処だと個人的に感じました。

ただその力は他者からもらえる
のではなく最後は自己の認知が
辛くも乗り越える契機となる、
そのためにはやはり、適切な時
適切な場での出会いきっかけが
必要なんだと、矛盾する二項を
どう信じて生きるか⋯、また、
当事者として向き合う時が必ず
来るから、誠実に逃さない事が
大切かと思いました。
結論が簡単に出ない事に、読書
または人生の豊かさがあるのか
とも感じました。




No.467 6点 悪魔には悪魔 を- 大沢在昌 2026/06/14 10:11
麻薬取締官(マトリ)として密売組織に
潜入捜査していた双子の兄・良(りょう)
が突然消息を絶った。兄の身を案じた
元傭兵の弟・将(しょう)は、
兄になりすまして危険な組織に潜入する
ことを決意する。裏社会の猛者たちを
相手取り、過酷なミッションと命懸けの
騙し合いに挑む迫力満点のアクション長編。
(以上AIによるあらすじまとめ。)

500頁以上あるけれども、リーダビリティが
高いのでエンタメとしてスイスイ読めます。
しかし新宿鮫を薄めた感じで、本書をわざわざ
狙って読む必要性までは感じないという処です。

No.466 8点 探偵小石は恋しない- 森バジル 2026/06/07 19:12
久しぶりにミステリを読んだという満足感。
『方舟』『GOTH』『六人の嘘つきな大学生』
『名探偵のいけにえ』『十角館の殺人』
文中で触れる名作を読み手も思い出しつつ、
この後の反転を想像しながら、頁をめくる。

最後の方はいけにえの反転攻勢に近いです。
小説の持つ、叙述の力を再認識致しました。

タイトルが好き。個人的に改題でよかった。
文体はラノベ風を装った緻密ぶりも好ましく
唯一、ラストが題名と矛盾、次回作にも難。

あと私、鈍器本だけ未読なのでいつか挑戦を。

No.465 8点 人生劇場- 桜木紫乃 2026/05/24 17:34
ある男の小さい頃から80代までの人生劇場
綺麗事を一切排除した物語。
読んでいて辛くなります。
読み手の自分を問われ、
突きつけられていくからです。
人は弱く悲しい。
こう書いている私自身が許されたい
分かってほしいと、
主人公のタケちゃんにシンクロしてしまう。
ホテルローヤルが話題となりましたが、
後半で出てきます。
その存在もまた切ないのです。

No.464 8点 コンパートメントNo.6- ロサ・リクソム 2026/05/17 17:59
シベリア鉄道が舞台のロードノベル。
フィンランド人の少女とロシアの男。
客室コンパートメントに乗り合わせ、
モスクワからウランバートルへ向けて
接点のない二人を乗せて列車は進む。
饒舌な男と寡黙な少女、男は、人生を
受け入れるのにかかった時間を語り、
少女は心の内にモスクワの親しい人を
考える。物語終盤に、男が少女に対し
自らのナイフを差し出す場面が印象的。

大きなものに翻弄される人生そのもの
これがミステリーなのだ、一筋縄では
いかないのだと、世界の広さを知る本。

その年のフィンランド最高の本に対し
贈られる賞受賞。後に知りましたが、
カンヌのグランプリも取ったそうで、
いつか映画も見たいなと思いました。

No.463 5点 へんな怪獣- 星新一 2026/05/16 15:57
星新一の生誕100年の今年に
ショートショートの名士ぶりを
久しぶりに味わおうと思いたち
児童書のチョイスに興味をもち
読みましたがイマイチでした。
やはりボッコちゃん等は年代を
超越して刺さるので、星新一も
色々混ざっているのだと再認識
別のものを読もうと思います。

No.462 6点 幸福な生活- 百田尚樹 2026/05/10 19:04
氏の現在の有り様とは切離して
短編集としては読みやすく、又
最後の一行をあえてめくらせて
落とすという分かりやすい構成。

いくつかはなるほどと思い、又
いくつかは安直だなと思うが、
構成作家としての力は感じます。

豹変とかそっくりさんが好み。

No.461 7点 おれたちの歌をうたえ- 呉勝浩 2026/05/10 10:54
呉作品の中でも色々と盛り沢山で
ある種贅沢だが、はまれない方も
いそうだなと思います。前後する
時代の中で謎解きが成される為に
その時点の真実と後から明らかに
なるものが混雑していて難解です。
しかも永井荷風や堀口大學の言葉
による謎解きが、実は文字が〇〇
という背景や在日朝鮮人問題等と
リンクしている為に尚更難解です。
しかし読み応えはたっぷりなので
改めて呉作品の重厚さを感じます。

No.460 6点 審議官 隠蔽捜査9.5- 今野敏 2026/05/06 12:10
300ページを2時間弱で読めるタイパ本
男性の男性による男性のためのヒーロー本
竜崎にスカッとしたい人が警察機構の悪癖
やら家族の理想形やらを楽しむ本書が一定
の評価を得て続くのは令和も変わらんなと。

No.459 7点 ぼくがぼくであること- 山中恒 2026/05/04 13:33
1976年に初版発行の名作。
小学生の成長物語であり、
家族の再生物語でもある。

夏代はなぜ祖父といるのか
ミステリー色は薄いですが、
殺人事件も入っているし、
ゴールデンウィークに角川
つばさ文庫もありでしょう。

No.458 6点 さよならの儀式- 宮部みゆき 2026/05/03 14:49
近未来小説、SF小説、しかし
宮部みゆき作品なので現実を
的確に捉えて書かれています。
前半4作が私には良作でした。
後半はイマイチ刺さらなかった
ですが、400ページで8作は、
ちょうど読みやすかったです。
五指には入らないかなとの評。

No.457 6点 ナイト&シャドウ- 柳広司 2026/05/02 16:21
首藤がクール過ぎて些か食傷気味。
ラスト怒涛の伏線回収も言われたら
そうかなとは思うが人間臭さゼロ。
その事をメタで見ていると、もしや
コメディかなと思えて来ましたよ。

馬鹿にしていません。それくらいの
完全無欠のヒーローもの。太鼓判!

No.456 8点 ロング・アフタヌーン- 葉真中顕 2026/04/25 14:38
「自分で望んで選びたい。」
「愛になんか負けないで。」

葉真中顕の筆力が爆発する。
300ページに満たない中で、
作中作と現実がシンクロして
性差の社会的抑圧が解放される。

レオ・ベルサーニが、人間の
根本にマゾヒズムがあるつまり
辛い環境に癒着する面があると。
この癒着を解体するには自己の
癒着への認知と言語の力ですね。
千葉雅也さんの本に詳しいです。
そういう自己の乗り越え物語。

東野圭吾や幾人もの作品にも
文壇・編集の様子が見られますが
そのへんも興味深く読みました。

No.455 6点 弁護側の証人- 小泉喜美子 2026/04/19 12:12
ハードカバーには表題作に加えて
『深い水』を同時収録しています。

220ページと20ページという量で
これだけの内容なら費用対効果高。

クリスティのオマージュの表題作
今となっては目新しくないですが
1960年代の叙述トリック作品は
歴史的意義とリーダビリティから
評価できると思います。何しろ、
1時間とちょっとで読めましたので。

No.454 5点 アトミック・ブレイバー- 呉勝浩 2026/04/12 16:37
主人公の名前がイマイチシリーズ第二弾?
近未来小説、格闘ゲームで世界を救うって、、、
1フレームを削り合うAIとの格闘描写が密。
しかし最後まで荒唐無稽の極致で終了して、
私には他の呉作品の方がずっと推せるなと。

No.453 9点 センスの哲学- 千葉雅也 2026/04/12 16:36
ミステリをはじめとする
全ての文学作品を捉える
新たな視点を持つために
必読の書となりました。
意味を捉えるのもよいが、
その形式に見るもの有り。
目からウロコの哲学入門。

No.452 7点 迷子のままで- 天童荒太 2026/04/08 18:34
表題作である50ページ程の短編『迷子のままで』
100ページ程のやはり短編『いまから帰ります』
1つ目が児童虐待や男女不平等社会をテーマに、
2つ目が外国人差別や福島の原発処理を描きます。
短い中に人間の深い部分をぎゅっと詰め込んで、
さすが天童荒太。他人事に出来ない真剣な読書を
1時間と少しの時間で頂きました。有難い事です。

No.451 7点 悪徳の輪舞曲- 中山七里 2026/04/05 16:02
今作では実の母を弁護する御子柴礼司。
冷酷無比ぶりに亀裂が生じるが、流石
270ページほどで反転する裁判の行方。
読んでいる途中では、残りのページで
大丈夫かと心配になるほどのスピード。

中山七里は上手い書き手です。元々が
世間を震撼させた犯罪者を主人公にする
それだけで心情の描写が綻びそうなのに
今回は母子の関係までぶっ込んできます。
ただ最後はぬるいか?皆さま如何ですか?

No.450 8点 クジラアタマの王様- 伊坂幸太郎 2026/04/04 18:54
本書が世間で「予言の書」と呼ばれる事、
作品中盤まで読み進め、気づいた事があり
ネットで調べて知りました。新型コロナの
1年前に書き下ろされた本書がSNSによる
風説の流布、自動運転、ウェラブル端末等
そして新型インフルをめぐる顛末に既視感。
未来を的確に描く伊坂幸太郎は予言者です。

伊坂作品が好きな理由の一つに、極微細な
伏線回収があります。ユーモアと熱の同居、
今作では、栩木母子の描き方が琴線に触れ
それだけでもう皆さまにお勧めしたいです。

ファンタジーであり社会派でもある本書は、
意図的に挟まれた川口澄子さんのイラストも
大変効いています。作者後書きに詳しいです。

上野のハシビロコウを思い浮かべて読みました。

No.449 4点 方舟- 夕木春央 2026/03/28 07:18
本書に対する私の書評は8点です。
3年前に初読し、他に機会を得ない
そのため8点のままです。

直前お三方の書評がのべ5回されて
1.10.10.10.10点です。
1の方に対するご指摘の意味を込めて
複数回されている書評と見ますが、
結果的に評価操作の矛盾が生じます。
私はそれをすべきでないと考えます。

評価には様々な方法があります。
絶対評価、相対評価、個人内評価等
書評に点数をつける行為そのものに
矛盾を感じるきらいはありますが、
「絶対評価は不可能」という前提を
私たちは共有できると思います。

ある一人の方のこれまでの読書体験を
相対的に鑑みた結果、点数が生じる。
その相対評価は個人内で矛盾しない。
ただし、他者との相対性に目がいくと、
途端に違和感を感じる。なぜなら本来
自分の中で相対評価していた行為が、
絶対基準に則る行為と混同する為です。

そういう意味では、「私に有り得ない
とんでもない評価」をする方がいても、
そういう人だとして、その方の他書の
評価は私の参考にならないなあという
スタンスがよいのではないでしょうか。

長々と書いてしまい恐縮ですが、
私の今回を含む直接書評でない3つ
5.10.10を除いた書評平均点に
近づくための点を入れ調整しました。
高慢かもしれませんがそうしました。

繰り返しますが本書は素晴らしい
私の中で相対的に高評価の作品です。

かつて飢餓海峡を高評価した後に、
別の方に、私には理解出来ない訳の
低評価を受けて残念に思った経験が
ある故に、10点連投の気持ちは理解
できますが、行為はすべきでないと。

蛇足になります。複数回書評するのは、
時を経て再読した際に読者論に基づき
評価が変わった場合でしょう。しかし
一人一回と思う方もおられるでしょう。
そこはまだ、議論の分かれる処です。

キーワードから探す
take5さん
ひとこと
古今東西ミステリーは沢山ありますが、
すばらしい古典に出会った時、
人間が描かれている作品に出会った時に、
ああ読んでよかったと思います。
そういう作品に一つでも出会えればと、
このページを覗...
好きな作家
決められません
採点傾向
平均点: 6.63点   採点数: 468件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(32)
ジェフリー・ディーヴァー(20)
連城三紀彦(16)
寺地はるな(15)
道尾秀介(15)
薬丸岳(13)
大沢在昌(13)
辻村深月(11)
近藤史恵(10)
今野敏(10)