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take5さん
平均点: 6.62点 書評数: 449件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.449 5点 方舟- 夕木春央 2026/03/28 07:18
本書に対する私の書評は8点です。
3年前に初読し、他に機会を得ない
そのため8点のままです。

直前お三方の書評がのべ5回されて
1.10.10.10.10点です。
1の方に対するご指摘の意味を込めて
複数回されている書評と見ますが、
結果的に評価操作の矛盾が生じます。

評価には様々な方法があります。
絶対評価、相対評価、個人内評価等
書評に点数をつける行為そのものに
矛盾を感じるきらいはありますが、
絶対評価は不可能という前提までは
私たちは共有できると思います。

ある一人の方のこれまでの読書体験を
相対的に鑑みた結果、点数がつくなら
その相対評価は個人内なら矛盾しない
ただし、他者との相対性に目がいくと、
途端に違和感を感じる。なぜなら本来
自分の中で相対評価していた行為が、
絶対基準に則る行為と混同するからです。

そういう意味では、私に有り得ない
とんでもない評価をする方がいても、
そういう人だとして、その方の他の
書評は私の参考にならないなあという
スタンスがよいのではないでしょうか。

長々と書いてしまい恐縮ですが、
私の今回を含む直接書評でない3つ
5.10.10を除いた書評平均点に
近づくための点を入れてしまいました。

繰り返しますが本書は素晴らしい
私の中では8点の作品です。
かつて飢餓海峡を高評価した後に
別の方に個人的には分からない
低評価を受けて残念に思った経験が
ある故に10点の方の理解はできます。

蛇足になります。複数回書評するのは、
時を経て再読した際に読者論に基づき
評価が変わった場合でしょう。しかし
一人一回と思う方もいらっしゃるでしょう。

No.448 8点 灼熱- 葉真中顕 2026/03/26 15:17
とんでもない熱量、660ページ超に
大好きな葉真中顕作品ではあっても
さすがに躊躇しましたが、拾い読み
したページで一気にはまれました。

ブラジル移民の敗戦への受け止め方
一言で言えばテーマはそういう事、
しかしそこに単純な対立構造でなく
例えば風説の流布は如何に起きるか
など示唆に富む内容盛り沢山です。

池上彰さんの説明を以下要約します。

戦争を勝ったとする勝ち組と、負けを
認める負け組の思想対立のなかで、
勝った日本の円の価値がこれから上がる
と言って、敗戦で紙くず同然になった
旧円を売りつけるなどの詐欺が相次いだ
のです。被害者は、もちろん「勝ち組」
でした。人々は、信じたいことを信じる。
フェイク情報が氾濫する現在、ブラジル
での事態は、決して過去の遠い地のこと
ではないのです。そんなブラジルで、
日本人たちはどの様に懸命に生きたのか。
物語は、沖縄で生まれ従弟夫婦とともに
移住した勇と、祖父の代に移住しブラジル
で生まれ育ったトキオ、二人の人生を軸に
進みます。日本へ共に帰ることを誓った
親友同士の道は、しかしやがて大きく
分かれていくことになります。

地球の裏側だからこそ、天皇を神格化し
そこに救いを求める。戦争被害者として
女性がいかなる立場にいたのか。等々、
取材をしっかりされているからこその
熱量を、独りよがりでない作品として
落とし込めるのだと、私は強く感じます。

No.447 7点 777 トリプルセブン- 伊坂幸太郎 2026/03/22 21:01
殺し屋シリーズ今のところ最新刊
伊坂幸太郎は文章の疾走感が顕著
2時間ほどで読めてしまいますが、
資本主義や日本政治に一言申す等
なかなか盛り沢山でございます。
バトルシーンの描写もうまいです。
ホテルで色々と起こり最後に収束。
まさにグランドホテル型ですね。
深みはまあないですね。本も薄いし。

No.446 6点 そして、海の泡になる- 葉真中顕 2026/03/21 17:11
葉真中顕による昭和平成史をたどる作品。
実際にあったバブル期の巨額詐欺事件が
下敷きなのでほぼノンフィクションです。
主人公の女帝をめぐる顛末を取材で追う
最後この取材の反転でミステリだと思うが
そこよりもむしろ戦後復興からバブル崩壊
そしてコロナ禍まで、人が如何に同じ轍を
踏みまくっているかを考えるのに良いです。

それから女帝の言うわがままに生きる事が
タイトルとリンクしているのが一番ハッと
します。

「私、人間の世界に恋焦がれているの。」
「尾びれを足に、そんなことが可能ですの?」
「恋を成就させねば人でいられないとはどういうことですの?」
「何もかも失って、そして、海の泡になる。それでも、人間になりたいわ。」
「私、人間になって、自由に好き放題、わがままに生きたいわ。」

No.445 8点 激しく煌めく短い命- 綿矢りさ 2026/03/20 15:23
青春小説であり社会派小説。
二人の恋の炎がある時は静、
またある時は全てを焼く激。

京都そして東京を対比する、
お好み焼きともんじゃ焼き。

傷つけるのはこわい久乃と、
一見自由奔放な同級生の綸。
惹かれ合う二人と周囲の偏見
同性の愛を密かにさぐる二人
傷をえぐる多くの目と圧力と。

二人に訪れる決定的な別れと、
十数年後の思いがけない再会。

圧巻の1300枚600ページ超え。
一言で言えば破壊と再生の物語
または、躊躇から覚悟への物語

人間の日頃蓋をしている思考の
機微にこれ程繊細に光を当てる
綿矢りささんはどうしたら是程
書けるのか私にはミステリです。

No.444 8点 カリフォルニアの炎- ドン・ウィンズロウ 2026/03/10 20:57
カリフォルニアの乾いた風が
太平洋を見下ろす豪邸を焼く
火災査定人ジャックウェイド
彼が知る炎の言葉は、巧妙に
仕組まれた殺人を暴いていく。

500ページオーバーなのに
この読みやすさ。登場人物も
しっかりキャラが立っていて
どんでん返しも盛り込まれる
豪華な作品。ハードボイルド
な終わり方もかっこいいです。
保険会社や消防学校の知識も
筋に必要な描写故に好ましい。

こちらでお二方の書評を見て
読みました。出会いに感謝。

No.443 7点 真綿荘の住人たち- 島本理生 2026/03/04 19:00
各章が次第に収束する中見えてくる別の絵

①進学のため真綿荘へやってきた大和葉介
「青少年のための手引き」タイトルからも
痛めの青さを読者として許容するスタート
②付き合いを隠している八重子と椿の関係
「清潔な視線」お互いの信頼とちょっとの
ズレが繊細に描いている島本理生本領発揮
③意外な鯨が好きな荒野先輩「シスター」
こういう恋愛は生い立ちが素、説得力の元
④サークルの絵麻と駆け落ちさせられ葉介
「海へむかう魚たち」受身から少しの成長
これは好きです。男性として読み応えあり
⑤下宿主:千鶴と画家:晴雨の出会いの話
「押し入れの傍観者」種明かし編で反転。
⑥千鶴と晴雨の再出発の話「真綿荘の恋人」
少し不幸で少し幸せ少し不思議なラストは、
賛否が分かれるところですが綺麗事はなし。

No.442 8点 ふたたびの虹- 柴田よしき 2026/03/01 11:50
こもとさんと同じ感想を最初に
持ちました。『香菜里屋』とは
どちらが先なのか。優しい料理
真っ直ぐな眼差し。両方が一体
そういう読んでいて豊かになる
素敵な読書になりました。感謝

No.441 6点 正月十一日、鏡殺し- 歌野晶午 2026/03/01 09:23
虫暮部さんメルカトルさん他が触れて
らっしゃいますが、前5つが捨て駒か
という位ラスト2つとの差を感じます。
多重視点の妙と人物像が書けていると
感じる後半がなければ、がっかりした
ところでした。あきらめず読んでいて
よかった。しかし歌野晶午作としては
五指には入らないかなという私見です。

No.440 7点 女王様と私- 歌野晶午 2026/02/22 18:26
歌野晶午さんの作品は数あれど、
こんなに前評判の低いのは稀で、
逆に興味から手に取った訳です。

結論からいうと私には意味あり。

会話が多く2時間半で一気読み。
お金出してまで読まない内容に
図書館で借りてよかったーとか
読み手としてキモオタ無いわー
と達観している自分がいる事に
認知が及ぶと、読み終わって後
そこまで作者に見透かされた感

イヤミス、バカミス、そういう
捉えがあるのも納得。なぜなら
設定からして数ページで主役の
空想物だとわかり、かつ空想で
語られるいつ.どこ.誰.なぜは
恣意的で構わないから、ずっと
破綻したリアリティを笑う様な
テイストで進む訳です。其故に
私には胡蝶之夢的な薄ら寒さを
感じます。例えはリアル殺人の
伏線回収が最終盤にに無くても
これは鬱屈した心情を、笑うに
笑えない、シビアなミステリだ
そう思いました。怖い怖い一一

No.439 6点 魔術はささやく- 宮部みゆき 2026/02/22 11:09
宮部みゆきさんのかなり初期作
その後の大作よりも展開が早く
人物の境遇は重いが作品はまだ
重くなく、読みやすかったです。

デ・キリコの作品、効いてます。
主人公、守の境遇や葛藤などは
よく書けています。魔術が故に
エンタメ色は拭いきれませんが
後の社会派の香りはしますね。

No.438 8点 ある男- 平野啓一郎 2026/02/13 19:41
登場人物の境遇が重いです。が、
それを追う主人公の悩みがまた、
繊細に刺さる。重さよりも寧ろ。

日頃は無意識に見ないでいる事、
日常に潜む事を、ある者は故意
ある者は環境にえぐり出されて
突きつけられてしまう。ただの
入れ替わり事件ではなく、私達
の今をも揺さぶる深い作品です。

No.437 4点 アミュレット・ワンダーランド- 方丈貴恵 2026/02/08 14:56
前作アミュレットホテルを
読んだはずなのに書評せず
本作高評価なのにはまれず
作家さんの評価もサイト内
第10位で高いのに何故か
刺さらず理由わかりません。
他の方のお勧め書評を信じ
どうぞお読みくださいませ。

No.436 7点 紫の傷- 連城三紀彦 2026/02/01 13:49
十年ぶりに再読しました。
掲載順に、「唯一の証人」
「ゴースト・トレイン」
「落書きの家」
「眼の中の現場」
「紫の傷」5編収録です。
叙述の反転は連城らしさを
感じますが。短編集なので
技巧は、なるほど程度かと。
時代社会の様子が変われど、
人間の性は変わらないなと
感じさせる、作品集でした。

No.435 6点 架空犯- 東野圭吾 2026/01/26 22:10
五代巡査部長と山尾警部補のバディが
形を変えて最後の真相まで走り切る。
457ページ中291ページになって
題名の架空の犯人が登場。確かに架空
その歴史的背景はいささか強引だった。
五代作品は『白鳥とコウモリ』の方が
私には合っていたかなと思いました。
しかし東野圭吾作品のリーダビリティ
そこはさすが。※印刷文字が大きい!?

No.434 8点 君が手にするはずだった黄金について- 小川哲 2026/01/18 18:30
君のクイズが良く、これも私良かった。
次は拳かな、でもあの厚さは躊躇する…

小説家小川哲は、極めて真面目な人で、
その小説の流儀や作成課程もそこに滲む
私小説のような本作。他人を観察する目
そして自身を観察する目が真っ直ぐ故に
紡がれる6つの短編がどれも刺さります。

高評価でも数多ある小説の中には、文体の
好みはあるでしょうが、作家さんメタ認知
できていない?と痛さを感じるというか、
書いていて盛り上がっちゃったのかとか、
俯瞰で捉えてしまい、没入できない読書、
そういうものもありますが、小川哲さんは
極力自家中毒を排除しようとする誠実さを
感じます。←私の書評自体が痛いという、
矛盾そこは読み手は素人なので許して頂き
やはりプロの方の小説には、こちらの世界
そのものを揺さぶって頂けるようなものを
例え熱を感じてもそこに作為でなく熱だけ
伝わるものを求めます。その熱は単に勢い
ではなく、広い知見と生みの努力と葛藤の
結晶なのだと、改めて感じる次第です。

No.433 6点 ラストラン ランナー4- あさのあつこ 2026/01/17 19:05
ランナーシリーズ4作最終章
ついに2人のレースが始まる。
終わり方が意外ですが、2人の
走ることに対する答えとして
あれだったのだなと思います。

作品の深みとしては、シリーズ
1、2作目の方がありましたが、
無事に読み終わり。ホッとした
そんな自分がいます。1時間で
読め、リーダビリティ高いです。

No.432 6点 レーン ランナー3- あさのあつこ 2026/01/17 17:41
正直ミステリではないですが
2を登録したので本作3と4も
読みましょう。高校生2人の
交差するランナーの有り様が
お互い触発されて、どうなる?
1、2作よりも希望のある内容。
次作で完結です。決戦迫る!?

No.431 7点 長恨歌 不夜城完結編- 馳星周 2026/01/12 22:32
400頁以上を一気読みでした。
5時間位でしょうか。完結まで
頁をめくる手を止めたくなくて。

3冊で完結、よい頃と思います。
これ以上酷いことは読者も辛い。
最後救いのない終わり方が真の
社会の縮図なのかもしれないと、
小説に理想、寛容、救いを求め
そんな名作も世に数多いですが
逆に、この様な主人公を含めて
人生の業を背負い生きる逞しさ
そんな世界も読み物ならアリです。

No.430 6点 鎮魂歌 不夜城Ⅱ- 馳星周 2026/01/12 14:59
前作よりも暴力沙汰が
更に増え、女性を虐げ
発砲で色々と飛び散り
最後も救い無しで終了。
次回が最終話という事、
楊偉民と健一の決戦!?

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take5さん
ひとこと
古今東西ミステリーは沢山ありますが、
すばらしい古典に出会った時、
人間が描かれている作品に出会った時に、
ああ読んでよかったと思います。
そういう作品に一つでも出会えればと、
このページを覗...
好きな作家
決められません
採点傾向
平均点: 6.62点   採点数: 449件
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連城三紀彦(16)
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