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HORNETさん
平均点: 6.32点 書評数: 1148件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.208 7点 嫁洗い池- 芦原すなお 2012/08/13 02:03
 前作より,河田の持ち込んでくる事件が本格的になり,「ミステリ」っぽくなっている。が,河田と主人公のお間抜けなやりとり,それを止めて「河田さん,続きを」と促す奥さんというくだりは相変わらずで,笑いが止まらないユーモアな雰囲気は健在。
 謎解きの過程は大味ではあるが,わずかな手がかりから真相を見出す奥さんの聡明さは読んでいて気持ちがよいし,何と言っても本書の魅力は「笑い」と,その奥にある登場人物たちのあたたかな人間関係。「我が身・・・」も必ず読みたい。

No.207 7点 放課後探偵団- アンソロジー(出版社編) 2012/08/13 01:53
やはり私も梓崎優と相沢沙呼という名に惹かれて読んだが,他の作品も学園生活を舞台にユニークな設定,仕掛けで存分に楽しめる。普段濃厚なミステリにどっぷりつかり,たまには肩の力を抜いてライトミステリを・・・なんてときに読んでもよいと思う。とはいえ各作品は良質。
 相沢沙呼はあの「サンドリヨン」のシリーズで,短編もGoodだった。これを読んで,「いいな」と思ったら読んでみるとよい。鵜林伸也「ボールがない」梓崎優「スプリング・ハズ・カム」が個人的には好きなタイプだった。

No.206 6点 奇面館の殺人- 綾辻行人 2012/06/03 19:37
 ファンとしては待望の館シリーズ最新刊。名前すらはっきりしない各人物の登場の仕方、全員が仮面を被るという設定、中村青司設計の館と、疑いどころ満載の物語展開で、読者もいろんな想像をめぐらせて推理し放題。つかみどころがなさすぎる感もあるが、この「妖しさ」は館シリーズ本来の魅力でもあり、久しぶりに堪能した。
 事件の凄惨な様相、強引なC.C設定も待ってましたの満足感。ただ、事件が結局一件だけであったこと、解決の決め手にパンチがなかったことなどがやや物足りなかった。
 最終作はいつになるのだろう。待ち遠しい。

No.205 6点 罪悪- フェルディナント・フォン・シーラッハ 2012/06/03 19:09
 刑事弁護士である作者が、実際の事件に基づいて描いたものとして、前作「犯罪」に続き書かれたもの。前作の好評を得て執筆されたものであるならば、自然ネタとしては前作がベストだったわけで、まぁそんな感じになる。とはいえ、「子どもたち」「解剖学」などは、これが実際にあった話だとするとすごい。「アタッシュケース」などは結局真相自体は何も分からないままでぞっとする。
 一話ずつの長さもくどすぎずに読みやすく、とんとん拍子で最後まで読んでしまう。今後も出すのであれば読みたいとは思う。

No.204 6点 密室殺人ゲーム2.0- 歌野晶午 2012/06/03 18:58
 1作目は設定自体の衝撃、面白さがあったので、同程度の内容であれば必然的に本作は評価が下がってしまう。しかも、こういうものの常かどうかはわからないが、知らず知らずのうちに「初代メンバー」に愛着を抱いてしまっている。
 最後の話は作者なりに工夫されたものと思い、確かに面白かったが、これもやはり前作のラストのほうに軍配。
 どうしても比較して評価してしまうためこうなるが、「マニアックス」もいつか読みたいと思っているので、本シリーズ自体は好きであることは変わらない。

No.203 7点 館島- 東川篤哉 2012/06/03 18:50
※ ネタバレ気味注意!!
 作者らしいユーモアタッチでありながら、推理の過程や手がかりの散逸具合など秀逸で、ミステリとして上質な作品と感じる。メイントリックはバカミスともいえるものだが、個人的にこういうのは好き。島田荘司の某有名長編ミステリを彷彿とさせる。
 登場人物のキャラクター等は相変わらずだが、作者の違う一面が見られる作品とも言える。

No.202 6点 山魔の如き嗤うもの- 三津田信三 2012/06/03 18:40
忌み山と言われる金山をめぐる揖取(かじとり)家と鍛炭(かすみ)家の対立がもとで、六地蔵の童謡に見立てた連続殺人が起こる、という本シリーズらしい雰囲気は期待に応えるもの。ラスト前に、消去される推理も全て丁寧に論じられ二転三転するのもお決まりのパターン。その、どんでん返しにつぐどんでん返しも十分に楽しめた。
 ただ、本作は特にあまりにもご都合主義的なきらいがあった。犯人のたどった道筋も、あまりにも危なすぎるのではないか(逆に言えば偶然に助けられすぎではないか)とも感じる。トリックや仕掛けの面で現実離れしているのは、こうした探偵小説的な本格ミステリではむしろ歓迎だが、偶然要素が現実離れしているのは、読者に対してある意味アンフェアな気がしないでもない。

No.201 5点 はやく名探偵になりたい- 東川篤哉 2012/04/30 09:42
 ここまでの書評(2012/4/30現在)が全部「5点」なのが一番分かりやすくこの作品評を示していると思う。まぁ、格段よいわけでもないが、楽しむことはできる。烏賊川市の私立探偵鵜飼杜夫と、弟子の戸村流平のドタバタコンビが活躍する、とても作者らしいユーモアミステリシリーズ。肩の力を抜いて楽しんで読める。「七つのビールケース」などは、仕掛けとしてもなかなかのものだった。一作目「藤枝邸の完全なる密室」は「何だそりゃ」と笑ってしまうが、こういうのこそが作者の持ち味といえる。

No.200 9点 幻の女- ウィリアム・アイリッシュ 2012/04/30 09:35
 以前から本棚にあったのだが、ずっと放置していた物をやっと読んだ。感想は、「不朽の名作」といわれる評価に納得。確かに、時代を感じさせる大味な所はあるが、そんなことは気にならない。息つく暇もない展開、巧みな筆致、高いリーダビリティ、40年近く前に書かれたものなのに今でも全く色褪せない。期待させておいて振り出しに戻ることのくり返しで、やきもきする感もあったが、それがラストの仕掛けをより引き立たせた。「幻の女」の正体は(作品としての評価とは別にして)、自分は明かされたほうがスッキリするタイプ。

No.199 8点 ビブリア古書堂の事件手帖2- 三上延 2012/04/30 09:15
 面白さは前作から全く色褪せず。微妙に進展していく主人公と栞子の関係、そこに登場する主人公の元カノ、ベールに包まれた栞子の家庭事情など、自然な流れで物語が展開し、その中に謎が散りばめられている。どれも精緻な仕組みになっているうえに、心温まる要素も盛り込まれていてよい(特に元カノの家庭の話がよかった)。
 ただ、栞子の母親の話は・・・・かな。

No.198 8点 ビブリア古書堂の事件手帖- 三上延 2012/04/30 09:03
 古書にまつわる、それにかかわる人たちの謎を、古書堂店主・篠川栞子が安楽椅子探偵ばりに解き明かしていく。一冊の本ごとに一つの謎解きが展開され、最後には栞子自身にかかわる大きな謎が解き明かされる。
 ミステリとしても秀逸な上に、栞子の口から語られる古書の薀蓄も面白い。文句なしにライト・ミステリの傑作。

No.197 6点 犯罪- フェルディナント・フォン・シーラッハ 2012/04/30 08:49
 いわゆるミステリの短編集とはちょっと違う毛色。多様な犯罪事例を、いろんな立場から描いた小噺集といった趣。無駄な装飾がなく、淡々と事実が描かれている文章展開がリーダビリティを高めている。肩に力を入れず読みはじめ、そして引き込まれて読んでしまう。時間を置いて再読しても、また楽しめそうな作品集。

No.196 5点 チヨ子- 宮部みゆき 2012/04/30 08:35
ミステリではなくホラーファンタジー。1作目の「雪娘」が中でも一番ミステリらしかったか。これまで単行本に収録されなかった短編を寄せ集めたものにも感じる。まぁ面白さは作品による。この「雪娘」「いしまくら」あたりがよかった。表題作「チヨ子」はイマイチ。

No.195 8点 ブラウン神父の童心- G・K・チェスタトン 2012/03/25 07:53
 トリックがメインに据えられたミステリ通好みの短編集。書かれた時代もあって,科学的なものや変に込み入ったものはなく,純粋に人の裏をかくようなトリック主体でその点も好ましい。また,そうした時代を考慮に入れると,ミステリについては浅学な私でもこの作品の歴史的価値は十分に感じる。「見えない男」などは,その考え方は,後のミステリで手を変え品を変え用いられたものになるだろう。
 そうした「歴史的な価値」ということを抜きにしても,現代でも十分に楽しめ,改めて作品の質の高さを感じさせられる。文調も海外翻訳物としては,むしろ読みやすいと感じる。チェスタトンのミステリ界での名声に納得する一冊となった。

No.194 7点 異邦の騎士- 島田荘司 2012/03/25 07:26
 「本当はそういうことじゃないんだろう・・・」とまでは思ってはいたが,「そういうことだったとまでは分からなかった」。真相が分かり,安堵する思いと,なんとなく悔やまれる思いがない交ぜに。ミステリの仕掛け,ヒューマンドラマ両面から評価できる傑作。ちょっと都合よすぎる点もあり差し引いたが,全体の面白さ,読後感のよさからこの評価。

No.193 8点 ジェノサイド- 高野和明 2012/03/25 07:13
 新薬研究者であった亡き父の研究を引き継いだ(というか手渡された)大学院生が,その研究にまい進するうちに,それがコンゴ紛争地帯での秘密作戦,合衆国政治,そして人類存続の問題にまでつながっていく。ネットを介したリアルタイムの戦場とのやりとり,国を越えた人々の熱いつながりなど,いろんな側面から存分に楽しめる。
 主人公と,李正勲とが協力して困難に立ち向かう姿がいい。世界規模のスケールの大きな舞台と,それを描く精緻な構成,作者の作品にかける意気込みが見事に昇華している。読後感◎。

No.192 5点 消失グラデーション- 長沢樹 2012/03/25 06:44
 女子バスケ部員がクラブ棟の屋上から転落し、その後姿を消してしまう。事故か自殺か殺人か・・・背後には、女子バスケ部員である被害者と部員との確執が。学園に侵入する窃盗犯「ヒカル」の話も伏線としてうまく絡められている。
 学校という身近な舞台と,登場人物のキャラクター,軽妙な筆致で苦なく読み進められる。が,作者の仕掛けが,事件の真相とはあまり関係ない気もする。そういう点で,騙された感はあるものの,ミステリとしての評価はそこそこ。

No.191 6点 長い廊下がある家- 有栖川有栖 2012/03/25 06:35
表題作のトリックは読めた。雰囲気のある作品で,中篇程度の長さもちょうどよい。「ロジカル・デスゲーム」が,偶然にも読む前日にその類のパズルをやっていて,「こんな偶然もあるんだな」と読みながら笑ってしまった。そのことを差し引いても面白い短編だった。
 全体的に氏の作品としては水準作。

No.190 7点 ユリゴコロ- 沼田まほかる 2012/02/11 11:29
 幾人もの人を殺めた過去が告白された「ユリゴコロ」と題される手記を発見した主人公が、亡くなった母のものではと探っていくうちに、さまざまな真相が見えてくるという話。
 手記の内容が衝撃的で、主人公とともに興味をもって読み進めてしまう。たどり着いた真相は、予想しえるものではあったが、現在のストーリーともうまく絡めてあって面白い。手記の内容からはノワールの要素が強いかと思っていたが、結末に近付くにつれハートフルな要素が色濃くなっていき、読後感も良好、いい意味で裏切られる展開だった。

No.189 6点 鍵のかかった部屋- 貴志祐介 2012/02/11 08:59
 密室ものを集めた作品集。「佇む男」は分かった。表題作「鍵のかかった部屋」「歪んだ箱」は奇抜で込み入ったトリックという感もあるが、面白いアイデアともいえる。「密室劇場」は完全なお笑い。自分はこれが一番面白かった。

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HORNETさん
ひとこと
好きな作家
有栖川有栖,中山七里,今野敏,エラリイ・クイーン
採点傾向
平均点: 6.32点   採点数: 1148件
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