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虫暮部さん
平均点: 6.22点 書評数: 1823件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.103 7点 いつまでもショパン- 中山七里 2013/07/15 06:27
ドアノブに毒を塗っておくというのは、殺す相手を選択出来ないという点でリスキーなのでは。あと、ラストで“戦場の奇跡のファンタジー”みたいになってしまったのは余計だと思う。

No.102 7点 猫柳十一弦の失敗- 北山猛邦 2013/07/09 20:48
 事件を未然に防ぐための名推理、というのは面白いアプローチだし、それに全て成功するというのも或る意味“意外な結末”だったりする。
 語り手のクンクンがあまりに無色透明というか、これといったキャラクター性が感じられないのは“探偵助手”という設定ゆえかもしれないが、そこが少し物足りないなあ。

No.101 6点 最悪のはじまりは、- 塔山郁 2013/07/03 09:56
『ターニング・ポイント』と改題して文庫化。最終章で聡が天野の元妻と対面するシーンは印象的だった。ふと思ったけど、あれは『カイジ』(福本伸行)に出て来る或るエピソードに対するアンチテーゼ?
 私はパチンコ未経験なのだが、今後もやるまい。という気持にさせられる筆力だと思う。が、自分の好みとは少し違う気もする。 

No.100 8点 暦物語- 西尾維新 2013/07/01 13:03
<物語>シリーズ自体は、ジャンルでいうなら青春オカルト・ファンタジーといったものに該当するのだろうが、『暦物語』は怪異譚の体裁をとった日常の謎的な連作短編集なのである。概ねきちんとミステリ的なオチが用意されている。
 全体的に小粒なネタが多く、風呂敷をどんどん広げて行く西尾維新のいつもの作風とは少しベクトルが違うけれど、粒は揃っている。与太話でぐいぐい引っ張っていつの間にか核心を通り過ぎる文章力は相変わらず。「こよみサンド」が特に面白かった。

No.99 7点 ビブリア古書堂の事件手帖3- 三上延 2013/06/28 11:16
 古書市場に関するあれこれが興味深かった。
 第二話で、“トービク”の正体は偶然判明するが、ミステリ的にそれは如何なものか。

No.98 5点 さよならのためだけに- 我孫子武丸 2013/06/28 11:15
離婚のための共闘によってお互いへの理解が深まる、という展開は予想通り。というか、基本設定がこれだと、順当な落としどころはそうなるだろう。その意味で意外性は感じられなかった。あと、深尋のキャラクターが非常にベタだなー。
 例えば西澤保彦あたりだと、特異な設定をした上で更にそれをひねるようなストーリーを持ってくるけれど、本作は設定だけで走り切ってしまった感がある。

No.97 7点 リカーシブル- 米澤穂信 2013/06/24 09:10
真綿で首を絞めるようにじわじわと明かされる諸々のネタと、思春期の主人公の心情が巧みに絡み合って、非常にスリリング。“何を描くか”ではなくて“どのように描くか”がやはり重要なのである。
 ところで、この作品が悪いわけではないが、こういった“本当は違和感を感じているけれど、空気を上手に読んで、学校内のヒエラルキーに対応して、友達関係を維持しないと……”という類の設定には最近少々食傷気味である。

No.96 5点 猫色ケミストリー- 喜多喜久 2013/06/19 18:11
ミステリ風味でSF風味のラヴコメディ、といった感。手堅く読み易い筆致に好感は持てるが、登場人物が全般的にステレオタイプだと思う。しりとりについての考察は、成程と思った。

No.95 7点 オーダーメイド殺人クラブ- 辻村深月 2013/06/17 13:04
語り手である小林アンのキャラクター設定が絶妙である。或る程度の共感は覚えつつ全面的に好きにはなれない彼女の内面描写は、私の中にもある自意識過剰や差別意識を容赦なく浮き彫りにする。アンのモノローグに頷くことは同時に、イタい自分を直視させられることでもある。
作者はこれをきっと意図的にやっていると思うのだ。なぜなら、このタイトルであの表紙の本を選ぶ時点で(というかそれ以前にミステリの読者という時点で?)、読者の小林アン度は結構高い筈だから。作者から読者への挑発である。
そしてその向こうにあるのは、“それでも、精精楽しんで、生き抜け”というメッセージに他ならない。
 

No.94 5点 誰もが僕に『探偵』をやらせたがる- 白石かおる 2013/06/17 13:04
ミステリ的には少々物足りないが、変に気取った一人称の文体で主人公の性格を上手く表現していて、キャラクターものとして面白かった。

No.93 7点 生者の行進- 石野晶  2013/06/07 11:23
 絡み合った感情のミステリに説得力を持たせる登場人物の造形は立派である。
 しかし、「ドッペルゲンガーの正体=生き別れの双子のきょうだい」という推測は即座に思い付いて然るべきではないか。その点を引っ張り過ぎなのが不自然に感じた。

No.92 8点 コモリと子守り- 歌野晶午 2013/05/20 04:28
 タイトルを最初に考えたのかとツッコミたくなるが、いやいや、作者は“シリーズ探偵もの”に対する疑問を持って、その回答として“成長に伴いスタンスが変化する探偵役”を書いたのではないか。面白かった。
 ただ、エピローグはあまり共感出来なかった。いい風に書いているが、彼の兄へのこだわりは、子を虐待するくせに親権に固執する親の気持と同類項に思えるのだ。あ、本編と対比してる?

 ところで、レジの店員は以前来店した客が再び来たときに何割くらい気が付くか、といった台詞があった。この話、気付かなかった場合は気付かなかった事にも気付けないので、ちょっとしたパラドックスである。ネタなのだろうか?

No.91 7点 公開処刑板 鬼女まつり- 堀内公太郎 2013/05/17 10:44
なんか意図的にB級臭を狙っている感はあるが、諸々の真相はなかなか挑発的だと思う。

No.90 7点 ノックス・マシン- 法月綸太郎 2013/05/17 10:40
全然ミステリではないがミステリ読みにこそ真価が判るSF作品集、という法月綸太郎らしい遊びである。中でも「バベルの牢獄」は神林長平のパロディみたいで楽しい。ところで表題はどうしても「セックス・マシン」に見えてしまうのだ。ゲロッパ!!

No.89 7点 論理爆弾- 有栖川有栖 2013/05/17 10:39
この犯人像は、本格ミステリに誠実に向き合ってきた作者だからこそ、ひとつのネタとして有効。“探偵を禁じられた世界”という設定に対して“フェアプレイで解きようのない動機”をぶつけるという制約によって、却って妙なリアリティ及びミステリに対する批評性が生じている。

No.88 6点 ヘンたて2 サンタクロースは煙突を使わない- 青柳碧人 2013/05/09 08:58
“ヘンな建物”縛りの“非日常の謎”は好調。特に第1話は諸々の要素が上手く噛み合って佳作に仕上がっていると思う。ところで、2巻目の第2話にして、ようやく登場人物のネーミングの元ネタに気が付いた。

No.87 8点 インディアン・サマー騒動記- 沢村浩輔 2013/04/22 14:11
“日常の謎”に見せかけて着地点が見事。本作の成立過程(既発表の短編三本を取り込んで異なる解釈を与える)を見ても、作者はホラ吹きの才があるようで楽しみ。

No.86 7点 神国崩壊- 獅子宮敏彦 2013/04/22 14:08
架空の歴史物語と荒唐無稽なミステリネタが上手く噛み合って、なかなか面白かった。但し、「輦の誕生」でメタ的に挿入される“読者への挑戦”めいたものは余計だろう。また、表紙イラストに疑問がある。顔に布を巻いた人物、あの巻き方では肌の色は隠せていないだろう。

No.85 7点 さあ、地獄へ堕ちよう- 菅原和也 2013/04/11 19:07
前半はネタの羅列という観があるが、後半、物語が思いがけない方へ走り出して、不安定な着地点が却って爽快感をもたらしたりする。一方で、或る登場人物の“痛みは想像力だ”という台詞は本当にそうで、読んでいると“あいたたた……”という描写が続出で非常にイヤな後味も残されてしまった(褒め言葉)。

No.84 8点 ビブリア古書堂の事件手帖2- 三上延 2013/04/04 19:43
敢て文句を付けるならば、第二話で栞子さんがいったん問題の本を見落とすのはちょっと御都合主義的展開では。司馬遼太郎というヒントは既に出ていたわけだし。
 

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虫暮部さん
ひとこと
好きな作家
泡坂妻夫、山田正紀、西尾維新
採点傾向
平均点: 6.22点   採点数: 1823件
採点の多い作家(TOP10)
山田正紀(97)
西尾維新(71)
アガサ・クリスティー(68)
有栖川有栖(50)
森博嗣(49)
エラリイ・クイーン(47)
泡坂妻夫(39)
歌野晶午(29)
小林泰三(29)
島田荘司(24)