皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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虫暮部さん |
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| 平均点: 6.20点 | 書評数: 2344件 |
| No.1024 | 6点 | 無関係な死・時の崖- 安部公房 | 2021/08/03 12:59 |
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| この人の短編は言うほど鋭くなくて玉石混交に感じるな。
ミステリ的なオチでは「誘惑者」「なわ」。SF的展開の「人魚伝」。 安部公房は戯画的に描かれる諸々の“営み”が肝だと思っていたが、特に面白い前記の作品は、顔のある人物のキャラクター的な深み(褒め過ぎ?)がポイント。自分がそのポイントに惹かれたのも意外だ。 |
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| No.1023 | 6点 | 極上の罠をあなたに- 深木章子 | 2021/08/03 12:58 |
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| 登場人物が少なくて、捻るならこの人しかいない、って人がやっぱり鍵になっている。そういう意味での遊びの無さが気になった。葬儀社の諸々は面白い。 | |||
| No.1022 | 6点 | 実験的経験- 森博嗣 | 2021/07/31 13:07 |
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| 手抜きのようなミステリよりはこっちのほうがまし。一種のミステリ論・文化論のようなものではある。外来語の語尾にーを付けない問題の答も此処に。 | |||
| No.1021 | 8点 | 三体- 劉慈欣 | 2021/07/30 10:41 |
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| 物語の基盤はさほど珍しくもないファースト・コンタクトのヴァリエーション? しかしその上に盛ったトッピングが美味珍味全部乗せ!
小林泰三もびっくりの人列コンピュータやら、西尾維新も顔負けの巨船攻略やら、長編数冊分のネタを惜しげもなく投入。“中国” と言う偏見まで味方に付けて、そのくせちょっといい話もそれはそれで泣ける。 そして、それらの配置が整然としていて、混沌としたイメージになっていないのが、迫力不足どころか、本作に於いてはプラスに作用しているところが面白い。作者がエンジニアだからね(偏見?)。 |
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| No.1020 | 5点 | ボーンヤードは語らない- 市川憂人 | 2021/07/29 10:22 |
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| 事件関係者(犯人に限らない)の心情が妙に入り組んでいて、しかしそれが解きほぐされてもさほどスッキリ納得出来るわけではなく、謎を複雑化させる為に心理的裏付けをでっちあげている感じ。良くない意味で都筑道夫みたい。表題作は比較的シンプルで良かった。
あと、私はこのシリーズをキャラクター小説として楽しんではいないなぁと気付いた。各人にクローズアップした短編集だけど、そのへんはどうでもいいや。 |
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| No.1019 | 7点 | ヨハネの剣- 山田正紀 | 2021/07/27 12:33 |
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| 全体的にあっけない結末で、まぁそこが短編である意義でもあるのだろう。ユーモラスなアイデアが光る「アナクロニズム」、曖昧なアイデアを雰囲気で描き出した「優しい町」が良い。表題作のテーマは短編で使い尽くすのはちょっと勿体無いか。登場人物が過激派と言う設定は展開上結構有効? | |||
| No.1018 | 6点 | 櫻子さんの足下には死体が埋まっている 蝶は聖夜に羽ばたく- 太田紫織 | 2021/07/27 12:31 |
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| 今更ながら、シリーズ・キャラクターのトラウマをこんなにガンガン積み上げて、それを燃料にして走る、しかもジャンルがミステリ、とは一体何なんだろう。
本書は前後の巻を結ぶツナギに過ぎず、開き直るにも程があるだろとは思うが、蘭香の視点が新鮮で意義はある。 |
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| No.1017 | 7点 | 砂の女- 安部公房 | 2021/07/25 10:17 |
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| 俯瞰的に見ているうちは、集落が砂に埋もれていくメカニズム等、具体的なヴィジュアルとしてはイメージしづらい設定が,言葉で無理矢理頭の中に捩じ込まれる。
物語に或る程度以上没入すると、暑さやじゃりじゃりした砂の感触と言った皮膚感覚がやけに鮮明。 “左肩が、割箸を割るような音をたてた”とか“トンボの羽に火をつけたようなあっけなさ”とか、文芸っぽいくせにエグい表現が散見されて、痛過ぎて笑っちゃう感じが持続する。総じて、瘦せ細った足腰で心許なく踊り続けたような読後感。 |
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| No.1016 | 8点 | うらんぼんの夜- 川瀬七緒 | 2021/07/21 10:13 |
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| ミステリの目眩ましにホラーを用いたとも、ホラーの捻りにミステリを取り込んだとも言えそう。こういうタイプの作品にはあまり耐性が無いので、私はかなり驚いたぞ。そこに謎が在ったことにすら気付かなかった。前半は話がどっち方向に進むか摑めず微調整を繰り返している感があったが、それも広い意味で伏線(主人公の軸が割とぶれやすい点とか)。
田舎の閉塞感みたいなものは、上手く書くほど却ってパターン通りになってしまって、オリジナリティの観点では不利かな~と言う気がした。 私はこの結末、或る意味“健気で爽やか”と感じたことも特記しておこう。 |
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| No.1015 | 8点 | 目を擦る女- 小林泰三 | 2021/07/20 12:22 |
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| 私にとって、小林泰三作品で最も忘れがたいのは「予め決定されている明日」であるようだ。“好き”とはちょっと違う。初読から十数年。世界の向こう側で忙しなく蠢く算盤人たちの朧な影は、私の頭の中にくっきりと刻み込まれたままである。嗚呼イヤだイヤだ。 | |||
| No.1014 | 7点 | 馬疫- 茜灯里 | 2021/07/20 12:20 |
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| 獣医学ミステリの力作。説明が上手いので、最初は珍紛漢だった感染症や馬業界のネタも判ったような気になれた。新しい要素を逐次投入して引っ張る計算も的確に機能していると思う。ラストは悪ノリ気味だが、エンタテインメントだし此処はやらなきゃね。
2021年の現実を一部引き継いでの2024年が舞台。独特の臨場感を伴って読めるのは今だけかも? これはやはり、馬に託したコロナ禍の批評なのである。 |
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| No.1013 | 7点 | 欺瞞の殺意 - 深木章子 | 2021/07/20 12:18 |
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| 本作に限らず、往復書簡による小説に対しては、つい苦笑してしまうのだ。
そういう“形式”なのだから突っ込むのは野暮だと知りつつ、延々と長い手紙を送り付け合う登場人物の精神性に引っ掛かってしまう。私信特有の大仰な表現、更に本作の場合は彼等の年齢も相俟って、どうにも気持悪い。 と思っていたところが、読み進むにつれて話の展開と気持悪さが絶妙にリンクし始めた。こういう風にこじれた奴がこういう犯行、非常に説得力がある。深木章子史上屈指のキャラクター小説に仕上がったのではないか。 |
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| No.1012 | 5点 | 狂風世界- J・G・バラード | 2021/07/20 12:17 |
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| この“狂風世界”と言う魅力的な設定を、自然科学的にハードSFとして処理しないのは、そういう作風だとはいえ勿体無い。
その点を別にしても、個々のエピソードがなかなか走り出さず、後半の3章で急にスピード・アップ、しかし時機を逸したか、ようやく気分が乗った途端に終わってしまった。R・Hについてはもっと掘り下げて欲しかったなぁ。 |
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| No.1011 | 6点 | 殺人は容易だ- アガサ・クリスティー | 2021/07/18 13:18 |
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| ラスト4分の1くらいで表面化する、某氏の異様な自己認識(『 DEATH NOTE 』みたい)について、もっと読みたかった。
因みに私は、真犯人は秘かに某氏を愛していて、某氏の視線から“この者を殺せ”とのメッセージを(勝手に)読み取って実行しているのかな、ディープなラヴ・ストーリーだな、と推理したのだが……。 |
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| No.1010 | 5点 | ガーデン殺人事件- S・S・ヴァン・ダイン | 2021/07/16 13:37 |
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| この動機。犯人は随分と自信家だこと! EQの1943年の長編と似た構図である。
事件に関わる面々のキャラクターや、ザルのように思える賭博システム(あんな方法で大丈夫なの?)は面白かった。 解決編でヴァンスは“同じ条件のもとで実験してみたと想像します”と語るが、“とある場所での銃声が他の場所で聞こえるかどうか”を独力で調べるのは大変。勿論必要とあらばそういう仕掛けは作れるが、一言も言及していないのはつまり作者がその点に気付いていなかったのだろう。 |
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| No.1009 | 7点 | 白き日旅立てば不死- 荒巻義雄 | 2021/07/13 12:39 |
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| SFと言うより、記憶喪失ネタのサスペンスをゆったり書いたもの? 欧州カジノ紀行文にして心理ミステリ? 独特の静けさを孕んだトーンは確かに“白き日”って感じだ。常軌を逸した部分がもう少し前面に出ても良かった気はする。後半はフランツ・カフカみたいだと思っていたら作者も影響を認めている。 | |||
| No.1008 | 6点 | ミネルヴァの報復- 深木章子 | 2021/07/13 12:37 |
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| 本作単独でなら面白いが、この作者は似たようなネタを繰り返し使うので、論理ではなく書き方で犯人を当てられてしまった。
ネタバレしつつ書くが……殺人の後始末の共犯者を事後に調達しようと考えるのは無茶。通報される可能性の方が遥かに大きいだろうに。 第二章の冒頭。某が事務所へ来訪。話した内容は電話一本で済むような質問。それっぽっちの為にわざわざ? 真相を踏まえるとコレはちゃんと伏線になっているのだが、作中でその点を説明していない。作者も気付かなかったのかな? |
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| No.1007 | 4点 | 火曜新聞クラブ 泉杜毬見台の探偵- 階知彦 | 2021/07/13 12:36 |
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| キザハシではなくカイ・トモヒコ。そのまますぎて却って読めない作者名。
アガサ・クリスティ関連の言葉がアレコレ盛り込まれており、未だ修行中の私には早過ぎたかもしれない。 作り物めいた登場人物。解説する為に起きたかの如き事件の様相。色々と既視感があり今一つ。 意地悪く言えば表紙イラストから逆算して書いたような雰囲気なのに、青春モノとしても妙に堅い。特に、主人公を変えた“過去の小さな事件”がつまらなかった点が残念。 とか言って、実はクリスティマニアが読めばネタ満載で全然違った世界が見える作品だったらどーする? |
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| No.1006 | 7点 | 名探偵なんか怖くない- 西村京太郎 | 2021/07/06 11:43 |
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| “探偵好みの犯人は文学的人間”とか“読者への挑戦”の内容とか、ユーモアを含みつつ見事な批評性。結末でいきなり出て来る手掛かりも、フェアプレイの定義を問うているのである。しかし有名作とはいえ元ネタ作品の犯人名を明かすのは許しがたい。 | |||
| No.1005 | 6点 | 殺意の演奏- 大谷羊太郎 | 2021/07/06 11:42 |
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| ネタバレしつつ書くが……動機が人物間を伝播した点が特徴的。作者が意図した二重解決より面白い。
Aが殺された。犯人Bの動機は“自らの能力を証明して劣等感を払拭したい”と言ったものだった。Cは、それを看破し、ほぼ同じ心理でBを殺した。 では、それを看破したDは……? Dにもやはり同じ心理が伝播したのではないか。Dは自分が誘惑に負けるのを恐れてCに自首を勧めたのではないか。Cがあっさり自首したのは殺されると思ったからではないか。結末の部分はそういう風に読めた。 |
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