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虫暮部さん
平均点: 6.22点 書評数: 1681件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.8 10点 クビシメロマンチスト- 西尾維新 2015/07/22 14:31
 何度目の再読か。ミステリ部分は小粒かもしれないが、ストーリーとキャラクターにガツンとやられたこの作品。私のミステリ生涯ベスト10に選びます。巫女子ちゃんは印象深かったミステリ登場人物ベスト5に入ります。何度読んでも後半1/3は指が痛いよ~。
 “X/Y”についての色々な考察をネットで読んだがすっきりしない。あれが瑕と言えば瑕かな。

No.7 8点 掟上今日子の推薦文- 西尾維新 2015/05/07 09:10
 登場人物が4人(うち2人は探偵と語り手)という、ミステリとしてはなかなか挑発的な構造で、しかもストーリー自体は結構単純で、紆余曲折で引っ張るわけではない、にもかかわらずこのサイズの長編に仕立て上げて面白く読めてしまうのだから作者の筆力恐るべし。
 ところでこのシリーズで私の印象に最も残るのは、一見萌えキャラのような今日子さんの“忘却探偵”ゆえの深い孤独(前作の語り手・隠館くんが影も形も無い)。そしてそれを平然と飲み込んでいるっぽい彼女のメンタリティの不気味さ、である。

No.6 9点 掟上今日子の備忘録- 西尾維新 2014/10/17 20:11
意外なほど読後感が悪くない。いや、でも読後感の悪さを期待していたのだから、読後感が悪くないというのは良くないことなのか。ラノベの文章でくるんでトラウマティックな話をこれでもかと盛り込むいつもの作風を期待していたら、小ネタを上手く生かしたソフトなミステリだった。カセットテープに関する豆知識なんて初めて知った。例によって巧みな文体でまんまと読まされてしまう。グッジョブ!

No.5 10点 クビキリサイクル- 西尾維新 2014/10/07 12:27
 何度読み返しても面白い、西尾維新のデビュー作。この段階で“あの”文体も世界観も出来上がっており、“初期作品”という印象が全くしないのに驚く。それどころか既にここからガンガン風呂敷を広げ始めていたんだな~。
 “信じるとは、どういうことか?”というくだりで、自分が以前からなんとなく思っていながらも上手い言葉に出来なかったもやもやをしれっと言語化されて、作者と握手をしたくなった私である。

No.4 7点 難民探偵- 西尾維新 2014/09/19 12:26
 この程度の謎をこれだけのページ数に拡大して、しかもしっかり面白いというこの作者の語り口はえらく巧みであると、改めて思う。“就職活動が上手くいかず、人気作家である叔父の許に居候することになった”というだけの序章でこれだけ読ませるとは。
 “売れた作家は人格が崩壊する”って自分のことか? “出版社には警察も手を出しにくい”って何かの批評か? 等と勘繰りたくなるエピソードを、よりによって“講談社創業100周年記念出版 書き下ろし100冊”にぶつけてくる、メタ的に際立った1冊(というところも作者は意図していると思う)。

No.3 8点 終物語- 西尾維新 2014/05/22 11:05
<物語>シリーズ自体は、ジャンルでいうなら青春オカルト・ファンタジーといったものに該当するのだろうが、『終物語』の上巻は、刑事事件ではないけれど“日常の謎”と呼ぶにはシビアな内容の中篇3本による連作ミステリである。特に第一話「おうぎフォーミュラ」は、西尾維新の作風自体をミスディレクションに用いたかのような快作というかグッド・アイデア。尚、中・下巻は本筋の怪異譚に戻る。

No.2 8点 暦物語- 西尾維新 2013/07/01 13:03
<物語>シリーズ自体は、ジャンルでいうなら青春オカルト・ファンタジーといったものに該当するのだろうが、『暦物語』は怪異譚の体裁をとった日常の謎的な連作短編集なのである。概ねきちんとミステリ的なオチが用意されている。
 全体的に小粒なネタが多く、風呂敷をどんどん広げて行く西尾維新のいつもの作風とは少しベクトルが違うけれど、粒は揃っている。与太話でぐいぐい引っ張っていつの間にか核心を通り過ぎる文章力は相変わらず。「こよみサンド」が特に面白かった。

No.1 10点 不気味で素朴な囲われた世界- 西尾維新 2011/11/02 10:30
 ミステリ的小ネタをキャラクターで拡張した感じ、と書くと批判のように見えるが、同時にそのまま褒め言葉でもある。こういうニコニコした殺伐さはもしかすると近年よくある世界観なのかもしれないが、これだけ鋭いのはやはり見事。
 TAGROのイラストのせいで『変ゼミ』とイメージがかぶってしまうので困った。
 ところでシリーズを続けて読み返して初めて気付いたが、前作中で登場人物が解説していた後期クイーン問題を実践したのが本書なのである。2冊の刊行時期には4年の間がある。気の長い伏線である。

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虫暮部さん
ひとこと
好きな作家
泡坂妻夫、山田正紀、西尾維新
採点傾向
平均点: 6.22点   採点数: 1681件
採点の多い作家(TOP10)
山田正紀(89)
西尾維新(68)
アガサ・クリスティー(63)
有栖川有栖(50)
森博嗣(48)
エラリイ・クイーン(47)
泡坂妻夫(38)
歌野晶午(28)
小林泰三(27)
島田荘司(24)