皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
虫暮部さん |
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平均点: 6.22点 | 書評数: 1843件 |
No.12 | 8点 | 掟上今日子の挑戦状- 西尾維新 | 2015/08/24 10:37 |
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「アリバイ証言」がなんか変だ。登場人物の台詞通り、“そんな仕掛けは必要ない”のでは。お湯をちょろちょろ流しても、ドライヤーを直接湯船に浸けても、後始末する人間がいるなら最終的に公開される事件現場は同じでしょう? |
No.11 | 8点 | ヒトクイマジカル- 西尾維新 | 2015/08/19 10:33 |
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いの字がみいこさん相手に切れる場面が痛くて好き。剣玉の場面も微笑ましくて好き。
少年漫画みたいな世界観ゆえにOKなトリックを持ち出すあたり、自分が何をやっているかはちゃんと判っていますよ、という感じで良い。 |
No.10 | 8点 | サイコロジカル- 西尾維新 | 2015/08/07 09:37 |
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《堕落三昧》斜道卿壱郎博士の存在感が弱いというかそんな化け物のようには感じられないところが物足りない。博士への畏怖、忠誠、反動、といったものが登場人物の言動に大きく影を落としている割に、本人はこの程度の老人? 研究施設も例えば鴉の濡れ羽島のような異常な場という感じではないし、“特異性人間構造研究”もイメージしづらいので兎吊木垓輔や玖渚友が拘束されることの重さがピンと来ない。全体として、具体的な切迫感があまり感じられないのに、一部の人間だけが妙にテンパっているような印象。
いーちゃんが犬を殺すシーンが好き。 |
No.9 | 8点 | クビツリハイスクール- 西尾維新 | 2015/07/28 11:37 |
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いくら好きでもこれをミステリとして高く評価するのは難しいが、贔屓目に見るなら小うるさい約束事で自縄自縛になるミステリに対する批評として機能していると言えなくもない。面白いんだからいーじゃん。子荻ちゃんが好きです。 |
No.8 | 10点 | クビシメロマンチスト- 西尾維新 | 2015/07/22 14:31 |
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何度目の再読か。ミステリ部分は小粒かもしれないが、ストーリーとキャラクターにガツンとやられたこの作品。私のミステリ生涯ベスト10に選びます。巫女子ちゃんは印象深かったミステリ登場人物ベスト5に入ります。何度読んでも後半1/3は指が痛いよ~。
“X/Y”についての色々な考察をネットで読んだがすっきりしない。あれが瑕と言えば瑕かな。 |
No.7 | 8点 | 掟上今日子の推薦文- 西尾維新 | 2015/05/07 09:10 |
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登場人物が4人(うち2人は探偵と語り手)という、ミステリとしてはなかなか挑発的な構造で、しかもストーリー自体は結構単純で、紆余曲折で引っ張るわけではない、にもかかわらずこのサイズの長編に仕立て上げて面白く読めてしまうのだから作者の筆力恐るべし。
ところでこのシリーズで私の印象に最も残るのは、一見萌えキャラのような今日子さんの“忘却探偵”ゆえの深い孤独(前作の語り手・隠館くんが影も形も無い)。そしてそれを平然と飲み込んでいるっぽい彼女のメンタリティの不気味さ、である。 |
No.6 | 9点 | 掟上今日子の備忘録- 西尾維新 | 2014/10/17 20:11 |
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意外なほど読後感が悪くない。いや、でも読後感の悪さを期待していたのだから、読後感が悪くないというのは良くないことなのか。ラノベの文章でくるんでトラウマティックな話をこれでもかと盛り込むいつもの作風を期待していたら、小ネタを上手く生かしたソフトなミステリだった。カセットテープに関する豆知識なんて初めて知った。例によって巧みな文体でまんまと読まされてしまう。グッジョブ! |
No.5 | 10点 | クビキリサイクル- 西尾維新 | 2014/10/07 12:27 |
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何度読み返しても面白い、西尾維新のデビュー作。この段階で“あの”文体も世界観も出来上がっており、“初期作品”という印象が全くしないのに驚く。それどころか既にここからガンガン風呂敷を広げ始めていたんだな~。
“信じるとは、どういうことか?”というくだりで、自分が以前からなんとなく思っていながらも上手い言葉に出来なかったもやもやをしれっと言語化されて、作者と握手をしたくなった私である。 |
No.4 | 7点 | 難民探偵- 西尾維新 | 2014/09/19 12:26 |
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この程度の謎をこれだけのページ数に拡大して、しかもしっかり面白いというこの作者の語り口はえらく巧みであると、改めて思う。“就職活動が上手くいかず、人気作家である叔父の許に居候することになった”というだけの序章でこれだけ読ませるとは。
“売れた作家は人格が崩壊する”って自分のことか? “出版社には警察も手を出しにくい”って何かの批評か? 等と勘繰りたくなるエピソードを、よりによって“講談社創業100周年記念出版 書き下ろし100冊”にぶつけてくる、メタ的に際立った1冊(というところも作者は意図していると思う)。 |
No.3 | 8点 | 終物語- 西尾維新 | 2014/05/22 11:05 |
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<物語>シリーズ自体は、ジャンルでいうなら青春オカルト・ファンタジーといったものに該当するのだろうが、『終物語』の上巻は、刑事事件ではないけれど“日常の謎”と呼ぶにはシビアな内容の中篇3本による連作ミステリである。特に第一話「おうぎフォーミュラ」は、西尾維新の作風自体をミスディレクションに用いたかのような快作というかグッド・アイデア。尚、中・下巻は本筋の怪異譚に戻る。 |
No.2 | 8点 | 暦物語- 西尾維新 | 2013/07/01 13:03 |
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<物語>シリーズ自体は、ジャンルでいうなら青春オカルト・ファンタジーといったものに該当するのだろうが、『暦物語』は怪異譚の体裁をとった日常の謎的な連作短編集なのである。概ねきちんとミステリ的なオチが用意されている。
全体的に小粒なネタが多く、風呂敷をどんどん広げて行く西尾維新のいつもの作風とは少しベクトルが違うけれど、粒は揃っている。与太話でぐいぐい引っ張っていつの間にか核心を通り過ぎる文章力は相変わらず。「こよみサンド」が特に面白かった。 |
No.1 | 10点 | 不気味で素朴な囲われた世界- 西尾維新 | 2011/11/02 10:30 |
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ミステリ的小ネタをキャラクターで拡張した感じ、と書くと批判のように見えるが、同時にそのまま褒め言葉でもある。こういうニコニコした殺伐さはもしかすると近年よくある世界観なのかもしれないが、これだけ鋭いのはやはり見事。
TAGROのイラストのせいで『変ゼミ』とイメージがかぶってしまうので困った。 ところでシリーズを続けて読み返して初めて気付いたが、前作中で登場人物が解説していた後期クイーン問題を実践したのが本書なのである。2冊の刊行時期には4年の間がある。気の長い伏線である。 |