皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
虫暮部さん |
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平均点: 6.21点 | 書評数: 2040件 |
No.60 | 7点 | 真夜中の探偵- 有栖川有栖 | 2012/08/08 16:10 |
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ミステリとしてよりも、主人公の成長物語として、また架空の社会を描いた幻想味のないファンタジーとして、楽しみました。 |
No.59 | 7点 | 幽女の如き怨むもの- 三津田信三 | 2012/08/06 08:14 |
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明確な“事件”は起こらないし、どちらかというと“戦前・戦中の風俗史”のような要素がメインか、と思ったらラストに見事な背負い投げが。という感想もネタバレか。 |
No.58 | 6点 | トネイロ会の非殺人事件- 小川一水 | 2012/07/25 15:51 |
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大長編SFシリーズ『天冥の標』も好調な小川一水のミステリ作品集である。
私は、全3編のうち、「くばり神の紀」が一番面白いと思った。これは厳密にはSFに分類されるのだろうか。ただ、そのことこそが“意外な結末”でもあるわけで、SFっぽいミステリのあとにミステリっぽいSFが並ぶという収録順も効果的。 でもまあ、同作者の純SF作品ほど凄いとまでは言えない。作風としては石持浅海みたいだと感じた。 |
No.57 | 5点 | 猫柳十一弦の後悔- 北山猛邦 | 2012/06/08 07:19 |
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良くも悪くも強引な話だな~と感じた。大学の探偵助手学部(!)の学生達という設定なのに、皆あまりそれに相応しい行動が取れていないように思う。 |
No.56 | 7点 | 鍵のかかった部屋- 貴志祐介 | 2012/06/01 08:18 |
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今時、“密室縛り”という蛮勇に拍手。どれも面白いのだけれど、(「密室劇場」はともかく)妙に“小品”というイメージが残るのは何故だろうか。
「鍵のかかった部屋」という直截的なタイトルは或る種の挑発なのかと思ったが、トリックを踏まえて考えると(→どの段階で鍵がかかったか)趣深いアイデアである。 |
No.55 | 5点 | 高原のフーダニット- 有栖川有栖 | 2012/05/04 11:06 |
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「オノコロ島ラプソディ」……馬鹿みたいなトリックだが、その理由の、“嘘はつかせないから”と共犯者を説得する、という発想はリアルだと思った。“人恋しいから、金を貸した”との意見も含蓄に富む。
尚、アリスを驚かせた松本ちえこの「ぼく」はYouTubeで探したら聴けました。 「高原のフーダニット」……双子の名前が紛らわしい。犯人の行動があまりに即断即決&怖いもの知らずな気もするが、そこはまぁ人それぞれ? |
No.54 | 5点 | まどろみ消去- 森博嗣 | 2012/04/25 16:27 |
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「キシマ先生の静かな生活」は面白いのに後味が悪い。なんだろうこれ。 |
No.53 | 9点 | 封印再度- 森博嗣 | 2012/04/18 16:24 |
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森博嗣作品の中ではベスト3級に好き。
再読して気付いたこと。 1.「瓢」と「匣」の謎に関しては、出題された段階でかなりきわどいヒントが添えられていたのだなあ(ノベルス版79ページ。浜中のメールから更に考えを進めれば、具体的な知識は無くとも、そういう金属を想定することは可能)。“特定の角度で傾ければ出し入れが出来る”といった類のものなら形状をイラストで示す必要があり、それがないことがメタ的な手掛かりとも言える。アンフェアだとは思わない。 2.小ネタのひとつが京極夏彦作品でも(メインのネタとして)使われている。 3.犯人たちの動機が高尚過ぎるというきらいがなくもないが、それを探偵役である犀川のキャラクターがアリにしている構造が面白い。というか“探偵が犯人の最大の理解者”というのは本格ミステリとしては寧ろ古典的か? 4.ノベルス初版には「鰻」に「なまず」という驚きの誤ったルビが振られている。もう修正されているよね?(未確認) |
No.52 | 9点 | ルー=ガルー2 インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔- 京極夏彦 | 2012/03/28 16:48 |
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疾走のシーンで泣いてしまった私である。 |
No.51 | 7点 | 読者よ欺かるるなかれ- カーター・ディクスン | 2012/03/22 10:24 |
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ラスト前で犯人がペラペラ喋るのを皆で隠れて聞くくだりはどうかと思う(情景をリアルに想像すると笑ってしまう)が、それはともかく、面白かった。 |
No.50 | 6点 | 死の命題- 門前典之 | 2012/03/22 10:22 |
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“奇想”は買うが肉付けが甘いと感じた。
ネタバレ気味だが気になる点を幾つか。 1.毒を飲まされたことに気付いた人はまず吐き出そうとするだろう。“重労働”している場合か。 2.証拠隠滅が出来なかったからといって、逃げようとせずに自殺するものだろうか。 3.“何かの拍子に、過去に女子大生を襲ったことがある、というようなことを口にしてしまったのではないでしょうか”って、そんなことペラペラ喋るかなぁ。チンピラじゃないんだし。 |
No.49 | 7点 | 奇面館の殺人- 綾辻行人 | 2012/03/07 16:20 |
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『暗黒館~』のような大作志向ではなく、比較的軽め(あくまで比較的、である)の一冊であることについて、物足りない気持ちが半分、いやいやあれがもう一本あったらたまらないよなあという気持ちが半分。
犯人を特定する手がかりがアレだけ?というのはちょっと腰砕け。 作品の良さそのものよりも、此処でこういう作品を出してくる戦略的な上手さで“館シリーズ”を巧みに転がしたという印象はあるが(別に悪いことではない)、それも含めて、キャリアの長い作家に付き合う愉しさを感じる。 |
No.48 | 7点 | 春から夏、やがて冬- 歌野晶午 | 2012/02/23 06:43 |
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つくづく、『葉桜』は歌野晶午にとって重い枷になってしまったなと思う。こういった、人生の悲喜こもごもを描く類の長編を読むと、ついついどんでん返ししかも叙述トリック系を期待してしまうけれど、そういうネタは予め期待している時点で効果半減なのである。
本作も、先入観がなければ結末でもっと驚き、感動できたのに。ということで、いっそのことこれ系は別名で発表して下さい!! |
No.47 | 6点 | ハードラック- 薬丸岳 | 2012/02/23 06:40 |
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社会的テーマとミステリ的意外性を結び付ける手捌きが悪くはないが、しかし気になる部分もある。
ネタバレ承知で書くが、 1.「バーボン」「テキーラ」更には「ラム」も「サカイ」の関係であるなら、わざわざ仁の求人に応募して主導権をのっとるというまわりくどいことはせず、自ら求人すれば良い。仁が既に自分のプランを持っていた可能性もあった筈。 2.「ラム」の「50万円取り分を多くして」という発言はメンバー間の不和や計画の破綻を招きかねないもので、「ラム」の立場を考えると不自然。 3.真犯人が最後まで仁と行動を共にした理由があまりにとってつけたよう。メインの計画自体は概ね上手くいったわけで、さっさと逃げれば逃げ切れたように思うのだが。 |
No.46 | 5点 | ゴーグル男の怪- 島田荘司 | 2012/02/23 06:38 |
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なんか変だ。ネタバレ承知で書くが、作詞家・実相寺と真犯人との関係を考慮すると、実相寺が最初の事件の通報者になったのは偶然過ぎないか。そのせいで実相寺と刑事との間に直通のラインが出来たわけだが、もしもそれがなければ駅前での突き飛ばし事件の際に登場してすぐ消えた真犯人の名前も不明だったかもしれず、そうなると容疑者圏内に入ってこなかった可能性もあるわけだから都合良過ぎでしょう。
また、釣銭のネタは別の某作で言及されていたものの使い回しでがっかり。 そして相変わらず文章が妙に硬いなぁと感じた。 |
No.45 | 6点 | 愛娘にさよならを- 秦建日子 | 2012/02/15 16:34 |
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おそらくこの作者にとって、ミステリとは忠誠を誓う対象ではなくて、あくまでエンタテインメントの為の技法のひとつ、なのだろう。“刑事の勘”とやらがが隠れた点と点をピンポイントに結んでゆく展開は褒められたものではないが、キャラクターものとしては面白い。
しかし、シリーズのヒロインにこの仕打ちとは……。 |
No.44 | 4点 | ロートケプシェン、こっちにおいで- 相沢沙呼 | 2012/01/19 10:19 |
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教室内派閥のあれこれだとか、高校生男子の恋情と性衝動のせめぎ合いだとか、どうも紋切り型でいまひとつ楽しめなかった。地の文でどもるのが非常にわざとらしい。叙述上のトリックも途中でなんとなく読めてしまったし。
ところで、私は“酉乃”をついニシノと読んでしまうのが最後まで直らなかった。 |
No.43 | 8点 | 殺人鬼フジコの衝動- 真梨幸子 | 2012/01/04 15:53 |
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大変面白くほぼ一気読みだった、けれど、近年話題になる類の殺伐とした話題を寄せ集めて料理しただけ、という印象もある。勿論これだけ読ませればそれで充分だが、心にガツンと来ること無く消費してしまったのは否めない。「とても楽しめた」けれど、それは必ずしも「高評価」とは違うんだなぁ。 |
No.42 | 4点 | アンドロギュノスの裔(ちすじ)- 渡辺温 | 2011/12/10 10:13 |
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うーむ、時代的にミステリとしての構成や文体が未整理なことを差し引いても、“埋もれた秘宝”として騒がれる理由はよく判らないなぁ。あまり過大な評価は出来ません。
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No.41 | 8点 | モザイク事件帳- 小林泰三 | 2011/12/07 17:05 |
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『大きな森の小さな密室』と改題のうえ文庫化されたものを、同一内容だと気付かず図書館で予約してしまい、せっかくなので再読したところ話を全て忘れており、全編しっかり楽しめた私である。田村ニ吉か。
随所で暴走する論理(屁理屈?)が面白い。 |